軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

俺がコレ言うと、皆大体

「君は……」

そう、そこに居たのは予想していた幻影人ではなく、どう見ても普通の人間。

青い髪を短くざんばらに切った無造作な髪と、同じ色の青い目。

何処となくカイルと同系統に見える不敵な笑みを浮かべた少年が剣士と分かったのは、その装備故だ。

恐らくは鋼鉄製と思われる、ハーフアーマー。その下から伸びるのはチェインメイルで、腕や足などを守る部分鎧。

そして、腰に吊るした長剣。これで剣士ではないと判断するのは難しいだろう。

「オレか? そうだな……名乗ってもいいが、その前にお前は誰だ?」

「え? あ、うん。僕はイストファ」

「おい、そう簡単に……」

「くくっ! そこの魔法士の言う通りだぞ。お前の素直さは好感が持てるが、警戒心に欠けるな」

そう言った瞬間、少年の姿は消え……次の瞬間、イストファの眼前に居た。

その手は、剣を抜こうとしたイストファの手を、その上から押さえている。

「たとえば朗らかな挨拶で警戒心を解いて、その隙を狙う奴もいる。お前みたいに反応できれば話は別だろうが……それでもほら、反応がちょっと遅れただろう?」

「そうかもしれないけど、悪い冗談だと思う」

「そうだな、謝罪するよ」

そう言って、少年は笑い……「オレの事はノーツと呼べ」と言う。

「え?」

「ノーツだ、ノーツ。何度も言わせるなよ」

「あ、そっか。名前……」

思い出したように言うイストファにノーツは怪訝そうな表情を浮かべた後、何かに気付いたかのように破顔する。

「話の途中で仕掛けたのは俺だったな! ははっ、そりゃ事前の会話も頭からトぶか!」

「……それはどうでもいいけどよ。結局テメエは何なんだ」

「そういうお前は誰だ。今にも死にかけてそうだが」

「死にかけてねえよ、疲れてんだよ察しろよ。あと俺はカイルだ」

「そうか、軟弱者。もっと鍛えろよ」

如何にも興味無さそうな表情のノーツにカイルは「このやろう……」と憤るが、ノーツは知らん顔だ。

「まあまあ、カイル。私はドーマ。そしてこっちはミリィです」

「よ、よろしくお願いします」

「おう。まあ、お前等にもあんまり興味はないんだが……」

言いながら、ノーツの視線は再びイストファへと向けられる。

「それで? イストファ達はこんなところに何しに来たんだ?」

「え? えーと……」

背後から感じる何とも言えない空気を感じながら、イストファは言い淀む。

「ちょっと大変な目にあったから、休憩に来たんだけど……その、此処に居た人達、何処に行ったか知らない?」

「なんだ、仲間か?」

「んー……仲間かって言われると違うんだけど」

この様子だと知ってそうにはないな、と考えるイストファに、予想通りにノーツは「何処に行ったかは知らないな」と答える。

「チッ、するとこの拠点は放棄したってことか。何処に行ったんだかな」

「なんだ。何か用があったのか?」

「……」

面白そうに問いかけてくるノーツをじっと見ていたカイルは「こいつはねえな」と呟き首を横に振る。

「おいイストファ、こいつ態度悪いぞ。魔法士ってのはほんとプライド高いし態度悪いよな」

「えーと、ノーツに関しては自業自得だと思うんだけど……」

肩を組んでくるノーツにイストファが苦笑しながら返すと「そうかあ?」とノーツは首を傾げる。

「戦場では体力のない奴から死ぬんだぜ? 信頼性でいえば身体を鍛えてねえ奴は『下』だ。俺は好きじゃないね」

「僕はそうでもないかな。カイルは、僕に出来ない事がたくさん出来る。魔法もそうだし、頭もいい。カイルが居なかったら超えられなかったものはたくさんあると思う」

「イストファ、私はどうですか?」

「あ、ボクも……」

「ドーマとミリィも同じだよ」

屈託なく笑いながら答えるイストファを、ノーツは黙って見ていたが……やがて「くくっ」という笑いを再び漏らす。

「なるほどな。どうやらこの場じゃ、間違ってるのはオレか」

「この場はっていうか……」

「だが謝らないぞ。俺は、誰かに頭を下げるのが大嫌いなんだ」

「えーと……うん」

困ったようにイストファが頷くと、その肩をノーツがバンバンと叩く。

「そうか、良い奴だなお前! オレがコレ言うと、皆大体『ふざけんな』って言うんだけどな!」

「……いや、そりゃ言うんじゃないかな」

「まあな! だが謝らないぞ! だからオレはその度に言うんだ、文句があるならコイツで言う事聞かせてみろってな!」

笑いながら腰の剣を叩くノーツに、カイルがなんとも微妙な表情を浮かべる。

「……おいイストファ、もう行こうぜ。充分休憩にはなったしよ」

「あ、うん。じゃあね、ノーツ」

「いやいや、待てよ。お前等、この階層攻略してんだろ? この気分悪ィ所をよ」

「いや、そりゃまあ」

肩を掴まれたままイストファが答えると、ノーツはニヤリと笑って自分を指差す。

「手伝ってやるよ。理由は単純。イストファ、お前を一目で気に入った」

「いや、お前は」

「カイルだったか? 断るのは無しだ。『大変な目』に合う程度には苦労してんだろ? 自慢だが、オレは……強ぇぞ?」