軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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~国王視点~

私には意志が強く、温厚で心根の優しい幼馴染がいる。

だが、彼にはもう一つの顔もある。

一度怒らせればそれはそれは恐ろしい、国をも滅ぼせるだけの力を持つ『魔王』とも呼ばれる幼馴染のリガロ(フォーライト公爵)だ。

「我らの息子たちがダンジョンを攻略したぞ!」

「私たちもあと少しのところで断念したが・・・・・・よくやった」

「あの時リガロさえ手を貸してくれていたら俺たちも子供たちに自慢が出来たはずだ」

もう20年も前の話だ。

私たちが学園に通っていた頃だ。例に漏れず冒険者の真似事をして、私と現在は宰相のネイト、騎士団長のジオーラの3人とリガロの4人でダンジョンに潜った。

リガロに至ってはお願いして、一緒に着いてきてもらったと言った方が正しいが・・・・・・

『お前たちが戦えなくなった時点で終了だからな』

あの時もリガロは一切手を出さず、私たちが戦うのを見ていただけだった。

85階までは3人の力を合わせて何とか魔物を屠ることは出来た。

が、86階で体力も魔力も限界に・・・・・・リガロが居なければ今ごろ私たちは墓の中だろう。

結果、86階から転移陣のある90階のボス部屋までリガロは指をパチンと一つ鳴らすだけで、すべての魔物を屠ったのだ。

この時我々は思った。リガロには逆らってはダメだと。

そんなリガロだが、この頃はまだ『魔王』という二つ名はなかった。

その名が付いたのは我々も結婚をし、立て続けに子供を授かった頃。

妻の出産には必ず!何を置いても立ち会う!と宣言していた通り、陣痛が始まったと邸宅から連絡が来ると、リガロはその日から休暇を取った。

その次の日だ、夫人はかなりの難産で出産まで時間がかかっていた。

そんな時大規模なスタンピードが起こったのだ。

地元の冒険者や騎士たち総出で立ち向かうも、魔物の数が多くこのままだと隣接し合う領地にも被害が出てしまう。

当時の国王である父が頭を下げてリガロに討伐を依頼して無理やり現地に向かわせた。

実際、転移で飛び、転移で帰ってくるまで30分も掛からなかったのが、運の悪いことにその間に双子が産まれたのだ。

立ち会えなかったショックと怒りは、褒賞の一年間の休暇で収まったが・・・・・・

聞いた話では指パッチンですべての魔物を凍りつかせたらしい。これを見ていた冒険者たちから尊敬と畏怖の念を込めて『魔王』と呼ばれるようになった。

その2年後、今度は夫人が臨月の時に隣国から我が国が攻められた。その時にもリガロに依頼した。

まだ予定日には余裕があったが前回のこともあり一度はリガロに断られた。

リガロは金では動かない。権力にも屈しない。そこで褒賞を2年間の休暇を与えることで渋々戦場に飛んでもらった。

結果、我が国と隣国の間には距離にして200メートルの深い裂け目が出来た・・・・・・リガロは地面を割ったのだ。それもいつもの指パッチン一つでだ。

目の前で凄まじい力を見せつけられた敵国は戦意喪失ししっぽを巻いて撤退した。

結局我が国は被害らしい被害はなく、隣国からの賠償金と有利な交渉で戦争は幕を閉じたが、リガロの力を目の当たりにした我が国と隣国の兵士たちから も(・) 『魔王』と呼ばれるようになったのだ。

もしもリガロに野心があったとしたら・・・・・・世界も指パッチン1つで簡単に手に入れられただろう。

リガロが愛妻家でよかった。

子煩悩でよかった。

彼の愛する者たちに危害を加えない限り、リガロは温厚で優しい人物なのだ。

《命が惜しければ何が理由であろうと、絶対にリガロを怒らせるな》

あの規格外に勝てるとしたらそれは神と呼ばれるものだけかもしれない。

◇◇◇

転移で戻った私の顔を見て『無事でよかった』と抱きしめてきたのは今にも泣きだしそうな顔のレオニールだった。

どうも、私たちが転移で飛ぶ瞬間に部屋に飛び込んできたらしい。

行き先が分からないため追いかけることもできず、お母様に聞いても大丈夫としか言ってくれなくて、ずっと不安なまま帰ってくるのを待っていたらしい。

どうしてレオニールが我が家に先触れもなく、許可もない状況で飛び込んできたのかは、たまたま我が家の前を馬車で通った時に、馬車の窓から見える邸が夜とはいえ異様に黒かったそうだ。

ああ!オルセロー嬢は影を邸全体に纏わせていたから外からはそう見えたんだ。

元々ベルティナ様とリナ様が誰もいない場所で突き飛ばされたという証言からレオニールたちは黒魔法が使用されたのではと推測していたのもあり、次に狙われたのが私だと何故か確信したらしい。そうなるといてもたってもいられず門番の制止も聞かず、それどころか昏睡させて邸に飛び込んだそうだ。

心配してくれたのは有り難いけれど、一歩間違えたら罪に問われるからね?

「おい。いつまでフィオナの手を握っているんだ?」

いつものお父様とは違う低い声で言われてから視線を落とすと確かに手を握られている。

あんまり意識していなかった。というか、違和感がなかった。

「あなた、いいじゃない。レオニールくんはフィオナの旦那様になっていたかもしれないのよ?」

私の手を握るレオニールの手に力が入ったのが分かった。

確かに私が フ(・) ィ(・) オ(・) ナ(・) になった日は婚約する話し合いが行われた日だった。

「まあ皆んな疲れているでしょうからお茶でも飲みましょう」

まだレオニールが手を離さないから必然で隣に座ることになった。

お母様はニコニコしているけれど、お父様は珍しく眉間にしわを寄せている。

そのお父様をチラチラと気遣うように見ているのはジン。

面白そうな顔のサラ。

尊敬の眼差しでお父様を見るエル姉様とアル兄様。

「あ、あの、オルセロー嬢がそこに転がっているのは?」

当然気になるよね~

なんて言って説明すればいいのか、全部は話せないよね。

「ああ、彼女はゴロツキを使って我が家を襲撃してきたんだ。まずは我が家の見習い執事に私を毒殺させ、その後フィオナを殺すつもりだったようだ」

「・・・・・・は?」

なんでもない事のように話すお父様にレオニールは理解が追いつかないようだ。

「ま、見習い執事とゴロツキ共は地下牢に閉じ込めている。我が家の護衛にかかれば今頃すべて白状しているだろう」

へぇ~この邸に地下牢なんてあったんだ。

「・・・・・・え?」

「まあ、男爵令嬢如きが公爵家当主と令嬢を殺そうとしたんだ。証言も証人もいる。言い逃れは出来ない」

どんどんレオニールの握る手が強くなって痛い。けれど、いつも冷静なレオニールが怒っているのが伝わってきて何も言えない。