作品タイトル不明
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~クスター・オルセロー男爵令嬢視点~
思っていた展開に進まないことでずっとイライラしている。そして今日も女たちに絡まれている。
あ~ウザい!
上品ぶって完璧に身につけたあたしの礼儀作法やマナーに文句を言ってくる。
結局、モテるあたしが気に入らないだけなんでしょ!
こんな口だけの女たちを黙らせるのは簡単だ。
でも、あたしにもか弱く庇護欲をそそるってイメージがあるだけに言い返すこともできない。
まあ、俯いて泣くふりをすればモブたちがあたしの代わりに言い返してくれるから笑うのを我慢していた。
そんなあたしの耳に不快な言葉が聞こえてきた。
『おい、あれフォーライト公爵家の姉妹だぜ』
『今日もエルシア様が美しい~!女神だ!』
『フィオナ嬢も可愛い!天使だ!』
『2人を同時に拝めるなんて幸せだ!』
『あの2人以上の美貌はこの学院にはいないな』
はあ?
確かにエルシアは綺麗な顔をしていたけど、キツい顔立ちだったわよ!
あたしとはタイプが違う!そんなの比べんな!
で、フィオナって誰よ?エルシアの妹?
フンっ!どんな顔か見てやろうじゃないの!
俯いていた顔を上げて周りを見渡した。
どこ?どこにいるのよ!
その間もフィオナって女の情報が耳に入ってくる。
"全属性を同時に出せる天才"
"勉強も作法も完璧"
"飛び級しているけれど本来なら1年生"
そんな目立つ女なら何であたしが知らないのよ!
!!
目が合った瞬間、あれが"フィオナ"だと直感で分かった。
クソ!クソ!クソ!
ちょっと見た目がいいだけじゃない!
あの子がいるから攻略対象者たちがあたしに見向きもしないんじゃないの?
ダメだ!ダメだ!ダメだ!
あの子はいつか必ずあたしの邪魔になる。あの子の存在を抹消しなければいけないと直感が伝えてくる。
邪魔だ!邪魔だ!あの存在を何とかしないとあたしが1番になれない・・・・・・
じっと見ていたらフィオナの顔がどんどん青くなっていった。
はあ?デカいくせに何か弱いフリをしているのよ!
そのままふらりと倒れそうになったところを男子生徒が支えたみたいだ。
すぐに抱き上げて歩き出した男子生徒は遠目に見ても長身でスラリと引き締まった体に青い短髪。顔も攻略対象者と遜色ないレベルの美男子。
・・・・・・いいわね。彼のことも調べないと。
そして分かったことは、レオニール・サウナ。公爵家の嫡男。婚約者なし。
そして、やはり彼も生徒会の1人。
いいじゃない!いいじゃない!気に入ったわ!
本来なら男爵令嬢が嫁ぐのは無理な高位な家格でも、ヒロインのあたしなら狙える。
彼もあたしに夢中にさせてやるわ!
皆の憧れの男たちを独り占めにしてチヤホヤされるのはあたしよ。
今の醜い嫉妬や妬み蔑まれている状況を、そのうち羨望の眼差しに変えてやる。
まだあたしは逆ハーエンドを諦めていないからね!
今までは何もしなくてもイベントが起こると思っていたし、実際に攻略対象者の条件と一致する高位貴族の子息とも王子とも出会うことができた。
ただ、その場で一目惚れされたり、好感度が上がったような気配はなかった・・・・・・
だからね、やっぱりイベントが起こるのを待つのはやめた。
積極的に自分から動けば、チャンスはいくらでも作れるからね。
まずはターゲットをレオニールに絞って、彼の行動を調べた。
彼が2年の校舎から出るのは移動教室の時と、食事に行く時だけ・・・・・・その食堂も生徒会の専用個室を利用しているから近付くこともできない。
チャンスは移動中しかない!
まずは彼の前でハンカチを落としてみた・・・・・・素通りされた。
次はタイミングを合わせてぶつかってみた・・・・・・チラッと視線は向けられたけど顔色一つ変えずに、無言で去って行った。
その次は目の前で転んでみせた・・・・・・また素通りされた。
おかしくない?
可愛い女の子が目の前で転んだら普通なら手を貸すでしょう?
レオニールってもしかして頭おかしいの?
いつも1人だし、無表情だし、友達とか居ないんじゃないの?
取り柄と言えば顔が良いことと、公爵家の嫡男ってことぐらいじゃないの?
・・・・・・もう優しくないレオニールはいらないかな~、て、逆ハーメンバーから外そうかと考えながら歩いていたら向こうからレオニールがこっちに向かって歩いて来るのが見えた。
よし!小賢しいことはやめて正面から抱きついてやろう!
これであたしに反応しないようなら逆ハーメンバーから外せばいい。
・・・・・・レオニールに勢いよく抱きつく予定が横から出てきた女にぶつかって弾き飛ばされた。
走っていたあたしが吹き飛ばされるってどんなデブだよ!
って、フィオナじゃんか!
それに何?レオニールが後ろからフィオナを抱きしめていない?
『いったーーい!』
『レオニールさまぁ』
甘えた声で手を伸ばしたのに・・・・・・
『フィ、フィオナ嬢大丈夫か?』
そんな声だったのね。渋いいい声じゃない。
『え、ええ。ありがとうございます』
『昼食に行く途中だろ?・・・・・・一緒に行こう』
いつも無表情なのにフィオナには穏やかな目を向けている・・・・・・
おい!あたしは無視かい!
こっちは尻もちをついているのに何でフィオナの手を握って、そのまま去ろうとしているのよ?
『ま、待って、待ってください。その人のせいで足を挫いて立てないの、レオニール様助けてください』
『・・・・・・なに人のせいにしている?ぶつかってきたのお前の方だろ』
あたしを見下ろすレオニールの目が冷たい。
なんで?信じられない!
あたしはヒロインよ!
・・・・・・ コイツ(フィオナ) のせいね。
やっぱりフィオナがあたしの邪魔をしているんだ。
おかしいと思ったのよ!
イベントが起きても攻略対象者たちがあたしに興味を示さないから。
どうする?
どうすればいい?
このままだと逆ハーどころかモブしかゲット出来ないじゃん。
イライラして爪を噛んでいたら突然閃いた!
・・・・・・ああ、簡単じゃない。
あの子が消えてしまえばいいんだ。
ふふふふふふっ、悪いわね。
あたしにはね、あの人がついているの。
あの人に与えられた力を使えば・・・・・・
だからね、あたしの幸せのために・・・・・・死んで?