軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

準々決勝

八人が勝ち残り、四つの試合が同時に始まる。

東の辺境伯子息の槍と騎士爵の棒術は、見応えのある勝負になっていた。

それぞれの技術を惜しみなく繰り出している。

師匠に勝った斧使いの男爵嫡男は、 槌術(メイス) の神殿騎士と得物をガツンガツンとぶつけ合う、力任せの腕力勝負。

一撃でも受けたら大怪我になりそうだ。

騎士団長の息子は、伯爵家四男と対戦している。四男は体術が得意で、昼休みに籠手を作ってもらっていた。

四男は剣を籠手で弾き、組み手に持っていこうとする。騎士団長の息子はそれを防ぐべく、剣を刃だけでなく柄も使ってくる。

まさしく異種格闘技――どう転ぶか先が読めない。

ヴォルフと革細工師は、四男の戦いを真剣に見ている。

「籠手の帯はあの長さでよかったか? 緩いのは論外だが、筋肉の動きを邪魔したら意味がない」

「籠手の表面は板のままと曲線に削ったやつ、どっちがよかったと思う? 両方作る時間があったら、実験したかった。

昼飯をのんびり食っている場合じゃなかったよな」

ゲルトルートがヴォルフのぼやきを聞き咎めた。

「そんなことを言ったら、カタリーナが怒るわよ。今日のお昼のメニューはあの子が考えたのだから」

「作ったのは料理人でしょ?」

気安い口調で混ぜっ返す。

「それはそうよ。わたくしたちはこれでも令嬢ですから」

ゲルトルートがツンとおすまし顔になり、笑いが起きる。

ハインリヒだけ、眉間にしわを寄せた。

子爵次男の槍と魔法騎士爵の戦いは、魔法なしで行われている。

魔法剣を使いたいという申し出があった。だが全員が愛用の武具を使わないことになっているので、却下した。

それでも魔法騎士爵は互角の戦いをしている。魔法抜きでも侮れない強さだ。

歓声がどっと湧いた。

神殿騎士が男爵嫡男の斧を折ったのだ。

神殿騎士が槌を振りかぶり、男爵嫡男が手をつきだして降参を宣言した。

汗だくのまま、二人は握手を交わした。

観客席からは惜しみない拍手が送られた。

体術の伯爵家四男は、騎士団長の息子にすねを思い切り叩かれて転倒した。

四男は転がって体勢を立て直そうとしたが、追ってきた騎士団長の息子がその喉元に剣を突きつける。

勝負あり、だ。

「体術だからすね当ては邪魔になるって、作らなかったんだよなぁ」

ヴォルフが悔しそうに言った。

「真剣だったら、すねを切られた時点で試合終了じゃないか? 戦い方と武器と防具か……結構、難しいな」

革細工師が腕を組んで、空を仰ぎ見た。

難しいと言いながら、次なる工夫を考えている顔だ。

木工職人は早口で何かを呟きながら、手元の紙に書き付けていく。

姉妹の母は、目を覆ったり「ひゃあ」と悲鳴を上げたりしながら、観戦している。

ゲルトルートの方が保護者のように、母の背中をさすったりしていた。

そんな盛り上がりの中、ハインリヒの元には、既婚者あるいは婚約者がいる紳士たちからの苦情が舞い込んでいた。

「こんな楽しそうな戦いに、なぜ自分は参加できないのか」と。

だから、大会の趣旨が違うと申し上げているではないですか!