軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

9.シンシアの入学と学園での日常

キース殿下の誤解がとけることはないまま時間が過ぎ私達は2学年になった。

そして、学園にシンシアが入学して来た。

シンシアが寮には入らず公爵家から通いたいと言い出した時、お父様と義母はとても喜び、使用人たちはがっかりしていた。

シンシア、きっと使用人にも何かしてるのね。

「キース様ぁ。」

入学して1ヶ月もしないうちからシンシアが、キース殿下や将来の側近候補の皆さまと一緒にいる光景をよく見かけるようになった。

『マーガレットー今日は図書館いくのー?』

『王妃教育の日ー?眼鏡の日ー?』

『そうだ、眼鏡の眼鏡を新調してやろう』

妖精さん達はもはやキース殿下とシンシアがいるのを見ても何も言わなくなった。

キース殿下、妖精さん達に存在を無視されてるって将来の国王としてかなり致命的なんじゃないかしら。

「マーガレット様、貴女の妹がまたキース殿下や側近の皆さまとランチをされていましてよ。あのように品の無い妹がいるだなんてキース殿下の婚約者に相応しくないですわ。」

カナン様のお友達たちは、カナン様がいざという時に自分達を助けてはくれないということに気づき、私に嫌みを言うことは無くなった。

でもカナン様は単身で乗り込んでいらっしゃるのよね。

「カナン様、以前も言いましたが、直接、妹に言ってくださいませ。」

「言いましたわ!さきほど直接シンシア様に、婚約者のいる男性に妄りに近づくものではございません!と私はお伝えしたのです。」

さすがカナン様。そのブレない姿勢に私は少し感心してしまった。

「そうしたら、シンシア様は、貴女の妹は、泣き出したのです。」

「・・・えっ?」

公爵家の娘が、いえ、公爵家でなかったとしても、貴族の人間が、人前で泣く?

「そこにキース殿下が駆けつけられて・・・。

言いたくもありませんが、私はこんな屈辱は初めてでしたわ!」

「なんというかそれは・・・申し訳ありませんでした。」

「・・・やはり貴女に謝られてもスッキリしませんわ。」

「それは、そうでしょうね。」

「・・・貴女も苦労なさいますわね。」

初めて少しだけ分かりあえた私とカナン様は2人でため息をついた。

「マーガレット様のお弁当、変わった色をしていますね。」

緑色のソースまみれの私のお弁当を見てソフィア様は目を丸くした。

しまった。料理長にお弁当には苦い草を使わないように伝えるのを忘れていたわ。

初めての人間のお友達のソフィア様とはとても仲良くやっていて、今日はついにお互いにお弁当を用意して中庭でランチをしている。

初めてのお友達との外ランチに浮かれていた私は、料理長にお弁当を作ってほしいとお願いする時にうっかり草のことを忘れてしまい、私のお弁当には満遍なく苦い草ソースがかけられていた。

「見た目はあれだし、味もあれなんだけど、体に良いの。とっても。」

慌てて取り繕う私にソフィアはクスクスと微笑まれた。

とても平和で幸せなランチタイムだわ。

放課後はほとんど毎日王妃教育だけど、2週間に1度だけお休みの日があるので、その日は図書館に行く。

そして、図書館に行くと必ずといっていいほどルイス様がいらっしゃった。

『眼鏡ー』

『今日は眼鏡の日ー』

『早速眼鏡をずらしてやろう』

妖精さん達はいつの間にかルイス様で遊ぶことを覚えたようで、私が図書館に行く日はとても嬉しそうだ。

「王妃教育がお休みの日くらいキース殿下と過ごされたらいかがですか?」

「それは、嫌みと受け取ります。」

「違います。」

『『『えいっ。』』』

妖精さん達はルイス様の眼鏡をずらした。

「・・・最近マーガレット様といるとよく眼鏡がずれます。」

ルイス様は不思議そうにしながらも、眼鏡をくいっと直した。

『でたーどや顔ー』

『あははははー』

『次は眼鏡を曇らせてやろう』

どうやらルイス様は、眼鏡をくいっとする時に無意識にどや顔なるものをしているらしく、妖精さん達はそれを見るのがとても楽しいらしい。

同じくらいに妖精さん達がハマっているのが、ルイス様の眼鏡を曇らせることだ。

ルイス様は曇った眼鏡を拭き始めるとついつい夢中になって必死で磨いてしまい、ふと我にかえって恥ずかしそうに、

「失礼しました。眼鏡は僕の分身なので。」

と言うのが非常に楽しいらしい。

『眼鏡が分身って何度きいてもおもしろいー』

『眼鏡ってば眼鏡のこと好きすぎー』

『次はまた眼鏡をずらしてやろう』

妖精さん達につられてついつい笑ってしまった私にはルイス様の呟きは聞こえていなかった。

「その笑顔を殿下に見せれば、きっと何か変わるだろうに。」