軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第2期 4話「永遠の隣を歩く」

――あれを「木」と呼ぶのは、いささか無理があると思う。

目の前にそびえる世界樹は、山脈よりも高く、枝葉は雲を突き抜け、空のどこまで続いているのか見当もつかない。見上げても見上げても、その先が霞んでしまい、まるで空の天井に突き刺さっているみたいだ。

根元には街が広がっていた。

幹から張り出した巨大な根は城壁のようにそびえ、家々はその間に組み込まれるように並んでいる。屋根よりも大きな根の下を人々が行き来していて、その光景は不思議と安心感に満ちていた。まるで世界樹に守られて暮らしているかのように。

「おおっ! すげぇ!」

勇者が真っ先に声を上げる。首が痛くなるまで空を仰ぎながら、子どものように目を輝かせている。

「伝承でしか知らなかったけれど……これほどとはね」

王女様は胸に手を当て、足を止めて見入っていた。

剣士は無言のまま。けれど、その瞳に浮かんでいたのは、鋭さではなく、静かな畏れ。

* * * * * * * * * * * *

【逃げる魔法使い2期】第4話「永遠の隣を歩く」実況&感想スレ

1:風の名無しさん

今日は世界樹に行くらしい

寿命が可視化されるとか魂が巡るとか、意味わからんこと言ってる

5:風の名無しさん

世界樹ねえ

ゲームのフィールドしか思い浮かばん

12:風の名無しさん

え? あれが世界樹?

でかすぎワロタ

17:風の名無しさん

屋久杉くらいかと思ったら雲突き抜けてますやん……

21:風の名無しさん

ふもとに街があるのね

木がでかすぎて街がミニチュアに見える

28:風の名無しさん

「ようこそ世界樹の町へ! ……寿命を見たい? 広場にどうぞ」

あっさりだなwww

33:風の名無しさん

王女様、魔法使いちゃんのことすげー顔で見てるんだが

37:風の名無しさん

「安心してください! 私、実は残り寿命がすごく長いんです! いい加減ここでそれを証明しようと思って」

笑顔の魔法使いちゃん、逆に怖い

42:風の名無しさん

いやこれ、長命種ニキの言ってた「寿命ある」ってアピなんじゃない?

45:風の名無しさん

あ、案内人みたいなの出てきた

「世界樹は、世界に現存する遺物の中で最古のもので……およそ4500年前にできたと言われています」

47:風の名無しさん

化石かな?

50:風の名無しさん

現実だと縄文時代くらいらしい

古すぎて草

52:風の名無しさん

「こちらがこの街の名所でもある、寿命を見る宝珠です! 覗けば寿命に応じて光りますよ! よかったらどうぞ!」

58:風の名無しさん

そんなもん入ってすぐの広場に置くなよ

怖すぎるわ

63:風の名無しさん

人通りあるのに誰も近寄らなくて草

名所とは

67:風の名無しさん

寄らんの当たり前やろ

71:風の名無しさん

魔法使いちゃんが迷わず行ったー!

広場ざわめき始めたぞ

75:風の名無しさん

これで分かるな

長命種ニキの説が本当かどうか

78:風の名無しさん

「見ててくださーい!」って台詞がフラグにしか聞こえん

80:風の名無しさん

宝珠をのぞく魔法使いちゃん

⇒「バキッ!」って粉々に砕け散る宝珠

⇒広がる静寂

84:風の名無しさん

あっ(察し)

88:風の名無しさん

少なすぎるとこうなるんだ……

93:風の名無しさん

さ、さすがにそれはなくない……?

95:風の名無しさん

だって明らかに不吉だし……

99:風の名無しさん

覗いた後から、王女様の顔が映されないのがまた不穏

103:風の名無しさん

やべぇよ……やべぇよ……

108:風の名無しさん

えっ⁉

こんな状態からでも入れる保険ってあるんですか⁉

111:風の名無しさん

「い、いきなり壊れちゃいましたね」

いやタイミング的に君が壊したんよ

117:風の名無しさん

パソコン初心者がよく言うやつで草

122:風の名無しさん

……長命種ニキ?

説明してくれる?

127:長命種ニキ

あ、あれ? そ、そんなはず……

* * * * * * * * * * * *

「いいか、お前の寿命の問題は、何とかしてみせる。お前の問題は俺の問題だからな」

「俺? 『俺ら』の間違いじゃないかしら?」

勇者と王女が睨み合っていると、その間で、魔法使いの少女は困ったように笑った。

「私の問題なのかなぁ……」

市場は樹の根を削って作られた石畳に、露店がぎっしりと並んでいた。乾いた果実や鮮やかな染布の匂いが風に流れ、香ばしい穀物の香りが漂う。

人々のざわめきのなかで、魔法使いの少女はひときわ楽しそうだった。

杖も持たず、ただ両手を後ろで組んで、にこにこと笑いながらあちらこちらを覗き込む。

広場では、白髭の長老が囲まれていた。

彼の語るのは――死してもなお、再びこの世に姿を現す術。

「肉体は朽ちても、心を澄ませ続けた者は影となって留まる。その影は人を導き、戦場を駆けるとも言われる」

魔法使いの少女は「ふむ」と顎に指を当て、小さく頷いた。

小声で呟くその調子は、珍しい玩具を見つけた子どものようだった。

そして、次に彼女が足を止めたのは、錬金術師が語る奇怪な話。

「魂を器に宿すこともできる。ただし器は選ばねばならん。生涯を懸けて磨き抜いたもの。だが、前提として、果てしないこの世への執着が必要となる」

「うーん……ちょっと難しそうかな……?」

魔法使いの少女は困ったように笑い、手に取った小さな装飾品を軽く振ってみせた。

仲間たちは、その横顔をじっと見守っていた。

勇者は眉を寄せ、言葉を飲み込む。

剣士は目を伏せ、拳を握りしめた。

王女は無理に微笑を作ろうとして、唇を震わせた。

――彼らには、見えてしまうのだ。

楽しげに市を巡るその少女が、実は己の残りわずかな時を測っているのではないかと。

死の後も在り続ける手段を、笑顔のまま探しているのではないかと。

胸の奥を冷たい手で締めつけられるような思いに、三人は互いに目を合わせることもできなかった。

けれど、当の魔法使いの少女は市場の喧騒に紛れて、ただ軽やかに歩き続ける。

楽しげな笑みの裏に、どんな本心を隠しているのかは、誰にもわからなかった。

市場を抜け、石段をのぼった先に、古びた学堂があった。円天井の広間に、色あせた壁画と古文書が並ぶ。

その中央に腰掛けたのは、背筋をぴんと伸ばした学者風の老人。鋭い鷹の目で周囲を見回し、聞き手たちに威圧感を与えていた。

「――生まれ変わりとは、魂が輪を描くように巡ることです」

老人は高らかに言う。

「人は死ねば魂を手放し、その魂は次の器へと流れ込む。こうして世界は絶えず循環を保っておるのです」

魔法使いの少女は最前列にちょこんと腰を下ろし、目をきらきらさせていた。まるで楽しい見世物でも眺めているかのように、にこにこと微笑んでいる。

「でも」

小さな声が広間に響いた。

魔法使いの少女が、まるで当たり前の疑問を口にするように首を傾げる。

「みんながみんな誰かの生まれ変わりなら……今、世界の人の数って確か増えてますよね? 魂が足りなくなってしまわないんですか?」

広間が一瞬、しんと静まった。

老人は鼻を鳴らし、ゆったりと顎鬚を撫でた。

「おお、鋭い子だ。そう、その矛盾に気づく者は少ない」

得意げに立ち上がると、老人は、胸を反らして続けた。

「魂はこの世界だけに閉じておらん。空の向こうにあるという他の世界から流れ込み、また他の世界へと溢れ出す。魂の輪は、ひとつの世界を越えて幾重にも重なっておるのだ。」

「へえ……」

魔法使いの少女は楽しげに頷き、まるで新しいお菓子の味を知った子どものように目を輝かせた。

「じゃあ、どこか別の世界にいた人が、こっちに生まれてくることもあるんですね」

老人は満足げに微笑んだ。

「その通りだ。ゆえに生まれ変わりとは、世界を渡る旅でもある。生まれ変わってなお自分を保っている者は珍しいがな。何百年に1度と言われておる」

「そういえば、これまで何人か見たことあるかもです」

「……えっ……?」

「そういえば、お前の言ってた寿命が見える仕組みって、広場のアレのことだったの?」

「違うよ! えーっと、こっちにあるはず……」

魔法使いの少女は先頭に立ち、道をゆっくりと歩いていく。段々と家や店が少なくなり、木の代わりに道の両側に曲がりくねった樹の根が生えている。

「――ここ!」

少女が案内した広場は、何もなかった。

白い石畳が果てまで敷き詰められ、音を吸い込むように静まり返っている。

その奥、中央にそびえる世界樹は、幹だけで城壁ほどの高さ。

枝は頭上のはるか彼方、空の彼方へと伸び、その影すら地上には届かない。

「奥の世界樹まで歩いていく間に、その人の寿命の数だけ、葉っぱが落ちてくるって言われてるの」

魔法使いの少女は、一歩ずつその根元へ向かっていく。

足音は石に吸い込まれ、代わりに衣の裾がさらりと擦れる音だけが響く。

仲間たちは少し離れた場所から、息を呑んで見守っていた。

「1年で、1枚。数えててね。前は失敗しちゃったから」

ふいに、視界の上のほうから、何かが舞い降りてくる。

一枚、また一枚。

金色に透けた葉が、ひらりひらり、と。ゆったりと空を泳ぎながら落ちてきた。

その速度は驚くほど遅く、葉脈の一筋一筋まで目で追える。落ちる間に、光を受けて表と裏が何度もきらりと反射する。

3枚目が地面に触れたとき、魔法使いの少女の足はまだ、幹までの道の半分にも届いていなかった。

仲間の胸に、不安が広がる。

「……少なすぎる」

互いに視線を交わし、唇を噛む。

しかし次の瞬間、4枚目が降り、そのあとすぐに5枚目、6枚目と続く。ひらひらと舞うたびに空気が揺れ、魔法使いの少女の頬や髪に触れては離れていく。

さらに歩を進めるごとに、落ちる葉は瞬く間に数を増していく。一面の石畳に金色の葉が積もり始め、そこから若芽が顔を出す。芽はたちまち幹を伸ばし、枝を広げ、影を作る。広場は、みるみるうちに深い森へと姿を変えていった。

それでも葉は落ち続ける。新しく生えた森からも降り注ぐ、金色の無数の葉の渦。石畳は既に金色で覆い隠され、何重にも重なった葉が軽い音を立てている。

見上げれば、金色の粒がゆっくりと降り注ぎ、空の青を隠していく。雪のようであり、滝のようでもあり、しかしその動きは限りなく穏やかで、永遠を思わせた。

仲間たちは言葉を失う。

ただ、葉の降る音なき音に包まれ、立ち尽くすしかなかった。

魔法使いの少女の歩みだけが、その中心で静かに続いていた。

「……ねえ、何枚だった?」

「お前さ、何歳?」

「あれって残り寿命だから今の私が何歳とか関係ないよね?」

「おう。で、何歳?」

「さすがに世界樹より若い……よ?」

「おい嘘をつくな」

「私が前に『どっちかと言えば年上が好きかな~』って言ったの根に持ってるの?」

「いきなり俺の心の柔らかい部分を攻撃してくるのやめてくれる?」

しかし、勇者はそこで安堵のため息をついた。少なくとも、彼女が数年で死ぬということがない、それが分かったのだ。むしろ、寿命が多いということは喜ばしいことではないか。それこそ、多ければ多いほどいい。

だから、本気で分からなかった。勇者は、黙ったまま立ちつくしている仲間の方を、何気なく振り返った。

「――え? なんでそんな暗い顔してんの?」

* * * * * * * * * * * *

204:風の名無しさん

長命種ニキを1度も疑わなかった者だけが石を投げなさい

210:風の名無しさん

いや私は最初から信じてましたよ!

222:風の名無しさん

だってなんか自信なさげだったし……

238:風の名無しさん

ともかくこれでハッピーエンドだよね!

もう寿命とか気にする必要0なんだから!

249:風の名無しさん

いやーよかったよかった

260:風の名無しさん

魔法使いちゃん年上好きらしいぞ

お兄ちゃんとか呼んでくれるのかな?

271:風の名無しさん

どけ!!! 俺はお兄様だぞ!!!

272:風の名無しさん

どけ!!! 俺はお兄ちゃんだぞ!!!

275:風の名無しさん

>>271

>>272

2人はどういう……?

280:風の名無しさん

長命種ニキはなんで喜んでないの?

もっと喜びなよ当たってたんだから

291:長命種ニキ

だってこの後って

いえ何でもないです

300:風の名無しさん

いいから言ってみなよ

いえ教えろください

306:風の名無しさん

……そういえば

309:長命種ニキ

1000年後も生きてるのって魔法使いちゃんだけですよね?

仲間はみんな死んでますよね? ラストシーン的に

317:風の名無しさん

え?

326:風の名無しさん

まあそりゃ……うん

341:長命種ニキ

じゃあまた1人になっちゃうなって

350:風の名無しさん

あんなに「ずっと一緒にいる」とか言っといて?

366:風の名無しさん

勇者と魔法使いちゃんが結婚すれば良くない?

それで子供と一緒に暮らせば……?

ほら魔法使いちゃんの子ならたぶん長生きでしょ?

374:風の名無しさん

抱けえっ!!

抱けーっ!!

383:風の名無しさん

え、いや、どうすんの?