軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

王族からの待遇がえげつない

「大変申し訳ありませんでした」

私がいた世界にて、古来から伝わる伝統の作法を王様達の前で披露した。

華麗なる土下座で私は誠意を示している。

この場には目が覚めた騎士団長がいて、まともに顔を合わせられない。

頭髪のことは黙ってますので、ここはどうか許してください。

「顔をあげよ。器物破壊については不問とする」

「もうホントにありがとうございます!」

「そなたはこの国の危機を救ったのだ。あれの破片を宮廷魔道士に調べさせたところ、三つとも爆破されたら城が崩壊する代物のようだな」

「わぉ」

私は最初からそんなところだと思っていたよ。

だから器物破壊なんて気にしてる場合じゃない。

冷静に判断した上で、爆発物処理に当たっていたんだ。

騎士団長が難しい顔をして今は兜をかぶっているけど、本当に許してほしい。

正義のお心をもったあなたならきっと理解できるはず。

「マテリ殿にはこれまで何度も助けられている。あまり気に病まないでほしい」

「騎士団長、ありがと……」

「犠牲になったのが抜けた数本の毛でよかった。本当な」

「海より深く反省します」

やだ、すごい根に持ってそう。

エリクサーで髪の毛とか生えないのかな? ダメ?

ごめんね、名前も知らない騎士団長さん。

ミッションで毛生えドリンクとか出たら、真っ先にプレゼントします。

「マテリ、一体どうやってマジックボムの存在に気がついたんだ?」

「魔道士協会が何かを企んでいるのは私も気づいてました。バストゥールという男、この城にも来てましたよね?」

「あ、あぁ、よくわかったな」

「あのプライドが高くて計算高いバストゥールが何もせずに帰るとは思えません」

バストゥールなんてろくに顔も知らないけど、私の正義の勘がそう告げたんだからしょうがない。

クリード王子が感心したように唸っている。

「……君にはつくづく驚かされるよ。すべてお見通しというわけか。バストゥールがそこまでする男だとは思わなかったよ」

「そこまでする男だったんですよ」

「マテリ、迷惑かもしれないがますます惚れたよ。君は気高い志を持っているようだけど、僕は諦めない」

「マジで迷惑ですね。やめてください」

クリード王子の決意を認めるかのように、王様と王妃が拳をグッと握ってる。グッじゃないんだわ。

暴れたら眠くなってきちゃった。そろそろ寝かせてほしい。

でも王様が咳払いした後、口を開く。

「ところで先日、マテリ達が壊滅させた魔道士協会支部なんだが……。くまなく調べたところによると、魔法生体研究所なるものの存在が明らかになった」

「ち、父上。それは一体?」

「それが詳しいことは不明でな。ただ一つ、ハッキリしていることは奴らは我々王族の目を盗んで何かを企んでいるということだ」

「そ、そんなことが……。だとすれば早急に調査を」

「あ、それ潰しました」

目が点になってる場合じゃない。

爆発物処理に続いて、魔導士協会のろくでもない計画を食い止めたんだ。

そろそろ報酬の一つや二つや三つや四つや五つや六つや七つくらい貰ってもいい。

「マ、マテリ。それは、ほ、本当かい?」

「じゃあ今から確認します?」

「どうやって……」

「ちょっと失礼します」

王族どもを巻き込んで私は転移の宝珠を使った。

* * *

「マジだった」

王様らしからぬ一言だ。

研究所跡に転移してから、また王の間に戻ってきた。

瓦礫の山になった魔法生体研究所でしばらく呆然としてたな。

戻ってきてもまだショックを受けたままだった。

「マテリ……。君はすでに先回りして、彼らの施設を壊滅したのか。いや、それより……」

「な、なんでしょうか?」

「君のその力が不思議でならない。魔道士協会の支部の魔導士達……特にラウクドやマリアーナは単体で騎士団の小隊に匹敵するほどの実力者だった。彼らほどじゃなくても、魔道士とはそれほどの存在なんだ。だからこそ、のさばらせてしまったのだが……」

「魔道士協会の支部を調べたなら、私の力がどんなものかはわかってるんじゃないですか?」

「……彼らは神器と呼んでいたな」

王様や王妃、クリード王子が黙り込んだ。

さて、これで私の役目は終わりかな。

あの意味不明な研究所の調査もこれから始まっていくだろうし、私達はそろそろ旅立とう。

「まずは今回の件を含めた報酬を受け取ってほしい。おい、もってきてくれ」

「はい。こちらに……」

召使いがジャラジャラと音がする袋を両手に持っている。

なんだか素敵な音ですね。ワクワクします。

「今はこの程度しか用意できなかった」

「えーと、これいくらあるんですかね」

「二千万ゴールドだがやぁーーーー!」

「うわっ! ミリータちゃん!? ホントに!」

運ばれてきた硬貨の量がえげつない。

これが王族の風格と気前か。

「もちろんこれからの働きに応じて、報酬を追加しよう」

「ホントにですかぁ!」

「あぁ、報酬と聞いた時の君は実に輝いている。素敵だよ」

「アリガトウゴザイマス」

なんか微妙に気持ち悪くて素直に喜べない。

でもお礼を言わないほど私は非常識じゃないよ。

人として当たり前だよ。

「それと君達については僕達が可能な限り、バックアップする。国内各地の有力な貴族達、駐留している騎士達に君達の支援を約束させるよ」

「クリード王子、私はあなたを色ボケのスットコドッコイだと誤解していました」

「現地で困ったことがあれば、領主を訪ねるといい。この偽造不可の王印証もきっと役立つ」

「突っ込みをスルーするその貫禄、さすが王子という立場なだけありますね」

この王印証とかいうの、あの印籠みたいな感じだ。

この印籠が目に入らぬかってやればいいのかな?

なんだか心がフワフワしてきた。

なんたってミッション以外でここまで手厚い恩恵を受けられるなんて、夢にも思ってなかったもの。

特にこの王印証、この触り心地。

「お、王子。お言葉ですが王印証はさすがに……。それを提示してしまえば、国で立ち入りを制限している土地やダンジョンへ入ることができてしまいます。国の治安を一身に抱えている騎士団としては安易に賛同できませぬ」

「騎士団長、気持ちはわかるがすべての責任は僕達が持つ。これは父上と母上と相談して、前から決めていたことなのだ。僕は……いや。僕達はマテリを信じている。万が一にでもマテリの失態があれば、それは王族の責任だ」

「そ、そこまでとは! いや、その……いかがかと! それは本当にいかがかと!」

二回も言うんじゃない、騎士団長。

あまり怒ると頭髪に響くよ。

せっかく私の正義が認められたんだからさ。