軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

決別

「……陛下、今なんと?」

城の会議室にて集まっているのは父上と母上、そして僕だ。

更に大臣達を中心とした重鎮達が顔をそろえて、向かい側に座っているバストゥールと対面している。

この魔道士協会との会談は急遽、行われた。

理由は一つ、彼らと決別するためだ。

「バストゥール支部長。本日より、魔導士協会からの融資を拒否させていただく。そなたらは国内にて、随分と好き放題やっているようだな」

「何のことかわかりかねますな」

「あの者達を見よ」

父上が指した先でちょうど、拘束された魔道士協会の魔道士達が連れてこられていた。

同時に彼らを雇っていた悪徳貴族達も疲弊した表情を見せてやってくる。

ここにすべての証拠が揃っていると言わんばかりに、父上はバストゥールを睨んだ。

「こやつらがすべて自白した。魔道士協会があの腐れどものあらゆる犯罪行為をバックアップして、我が国内を汚しておったのだ」

「なるほど、父上。尻尾を掴めないわけですね。人を一人消すにしても、魔法ならば死体も残さないのは容易い。それに加えて協力関係である以上、あなた達への監視の目がないのは当然……」

「へ、陛下! 王妃! すべてそいつらの独断です! 我が魔道士協会は……我ら魔道士は神に選ばれし者! 断じて浅ましい行為などしませぬ!」

「……うるさいな。バストゥール」

堪えきれず、僕はバストゥールを威圧した。

奴が体をかすかに震わせるほど、僕は怒っている。

何が神に選ばれし者だ。

そんな極めて独善的な理由でこの国に悪をはびこらせたのか。

「クッ……! クリード王子、落ち着いてください。おそらくそちらの貴族と魔道士を拘束できたのは一人の少女のおかげでしょう?」

「なに?」

「二本の杖を持った黒髪の少女です。近頃、私の耳にも入ってきましてね。もしあなた達が彼女と何らの協力関係にあるのであればやめたほうがいい」

「どういうことだ」

へぇ、魔道士協会はそこまでの情報を掴んでいるのか。

それで麗しのマテリがなんだというのかな?

返答次第ではただじゃおかない。

「お聞きください。あの少女は……人間ではないかもしれません」

なんだって?

* * *

魔道士協会の支部長であるこの私、バストゥールがなぜここまで追いつめられなければいかんのだ。

今日まではうまくいっていたはずだというのに。

それもこれも焔宿りの杖を振るうとかいう小娘のせいだ。

奴が現れてから、我が支部はあっという間に窮地に立たされてしまった。

「あの少女が持つアイテム……。あれは魔道士協会が躍起になって探し回ってもなかなか手に入らないものです。しかしそれだけではだけではありません」

「そ、そうです! それにあの少女は異常です!」

援護に入ってくれたのは暗雲のラウクドだ。

顔が腫れてタコのようになっている。あの少女にやられたせいだろう。

続いて他の罪人とされてしまった魔道士達も擁護し始める。

頼むぞ、ラウクドにマリアーナ、ジグソー。

「あの少女はおそらく魔族です! 何かが憑依したかのような得体の知れない獰猛さ……。そしてあの奇声……確かファイファイファファイとか言ってた! 何らかの呪言の可能性すらある……」

「いえ、ファイファファイファファファファだったはずよ! この私の水魔法が一切通用しないほどのあの魔法……あれは未知で危険なのよ!」

「怖ぇよぉ……誰かァ……」

国王と王妃、王子が黙り込んでしまった。

いかにあの少女が強力な味方とはいえ、異常性は見過ごせまい。

ラウクド、マリアーナ、そしてジグソー。

それぞれがこれだけ必死で訴えているのだ。

いや、ジグソーはよほど恐ろしかったせいで完全に心が折れているが。

しかし我が支部の精鋭達がここまで恐れるとは。

この結界のバストゥールとて危うい。

だからここは何としてでも、王家とあの少女を切り離す。

「ほぉ……」

王子が何かを納得したかのように目を閉じて頷いた。

やはり攻めるべきはあの若造だ。

息子が考え直せば、両親である国王と王妃も少しは心が揺らぐはず。

いける、これはいけるぞ。

「やはり魔道士協会との提携は不可能だ」

「は? な、なぜです?」

「あの可憐で麗しいマテリを言うに事欠いて人間ではない、だと? 君達の目は節穴か?」

「え? か、かれん? うるわし?」

「一体君達は何を見ている……本当に不愉快だ」

いや、なんだこれは。

あの冷静沈着で知られる王子が、とんでもないことを言い出した。

しかも節穴だと?

よくわからないが、これは無性に腹が立つ。

落ちつけ、バストゥール。ここで怒ってはいかん。

ここでエクセイシアとの関係が絶たれてしまえば、私は本部にどう詫びればいい。

あの計画が破綻しては、私は魔道士協会にいられなくなる。

「お、お待ちください! クリード王子はあの少女をそこまで信頼されているのですか! それは失礼しました!」

「遅いよ。一度、吐いた唾を飲み込むな。君達は我がプリンセスを侮辱した」

「プリンセス!?」

「出ていけ。そして二度と王宮に立ち入るな」

クリード王子が怒りを露にして、剣を抜かんばかりだ。

神に選ばれし私が、こ、こんな小僧に。

それにプリンセスだと?

まさか婚約者とでもいうのか?

「そこの痴れ者を叩き出せ」

「ハッ!」

騎士達に強引に連れ出される形で私は追い出されてしまった。

私は一体どこで何を間違ったのだ?