軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

グランドミッションを求めて

「マテリ、なんだって?」

夜、王宮の私室。

ミリータちゃんとフィムちゃんを交えて今後の行動指針を話した。

その内容は会食で明らかになったグランドミッションを含めたものだ。

何せこのグランドミッション、ミッションとして事前に通知されなかった。

そのくせミリータちゃんも卒倒するような激レアアイテムが貰えたんだから、そりゃ考察する。

で、私の予想としてはたぶん隠しミッションみたいなものだと思う。

「だから、その辺のミッションと違ってさ。国とか、大きなものに影響するミッションだと思う。だけどその通知はない」

「それならアズゼル討伐がグランドミッションにならなかったのはなんでだ?」

「それはわからないけど、それすらもグランドミッションに値しない小さなことなんじゃないかな」

「あの魔界最強の一角がなぁ……」

アズゼルは確かにやばい奴だったけど、私以外にも討伐できる存在がいてもそこまで不思議じゃない。

放っておけばこのファフニル国が滅んでいたかもしれないけど、考えられる事態はそれだけだ。

この国だけでもブライアスさんや一級ランク冒険者、勇勝隊だっている。

他国ともなれば、もっと強い人がいるかもしれない。

それを裏付けたのがミリータちゃんがもたらした情報だ。

「世界には魔道大国にオラの故郷であるドンチャッカ国……いろんな国がある。それに隣国の兵力はこのファフニル国をしのぐって聞いたな」

「シルキア女王様から聞いたけど、隣国の王子のスキルはかなり有名みたいだしねぇ」

「あ、そういえばあの女王様のスキルって何だったんだ?」

「彗眼。ものをより正確に捉える目だってさ」

「どこがクソスキルなんだ?」

「さぁ?」

あの王様基準だと、スキル単体で無双できるものじゃないとダメなのかな?

大切なのはスキルをどう使うかだってのにね。

クリア報酬だって私じゃなかったら、人によっては自分でアイテムを使わずに売りさばいて金儲けしていたかもしれない。

そんなことして力をばらまくメリットがないから、私は絶対にやらないけどね。

「それで次の目的地は隣国エクセイシアか?」

「そうだね。近場からミッション漁りして、いずれはミリータちゃんの故郷にも行きたい」

「ミッション漁りに里帰りかぁ」

「それとフィムちゃんの故郷もね」

「エルフの女王が治める天然の不可侵国……。海を渡る必要があるな」

侵略を阻み続けた天然が待ち受ける国も気になる。

そんな国の中でどんなミッション報酬が?

考えただけで涎が出てきた。

「あー……今からでもすぐに」

「マテリはいるか?」

「マウちゃん?」

入ってきたのは魔王ことマウちゃんだ。

フクロウ伯爵をお供につけて、神妙なお顔をしてらっしゃる。

「今回のことは改めて礼を言う。約束通り、これを受け取ってほしい」

「殺戮のカードォォォーーーーーーー!」

「……正直だな。おそらく報酬がなければ、こうはならなかっただろう」

「そうかもしれないね」

改めて近くで見ると背丈こそ小さいものの、しっかりとした眼力が備わっている。

私を見透かすように、マウちゃんは視線を動かさない。

「オウルークによれば、お前は欲望の赴くままに行動して今に至るわけか」

「オウルーク? あぁ、そこのフクロウ伯爵か」

「こやつのスキルは広く深く見通す。索敵も可能で、対象が辿ってきた過去もな。だからお前に頼んだ。そこにあるのが欲望だったとしても、事態は好転する。そのスキルによってな」

「ある程度はお見通しってわけか」

フクロウ伯爵、弱い魔族と言っていたけどすごいスキルを持ってらっしゃる。

だからあの魔王城の迷宮もするっと抜けたし、なんとか隊の接近にも気づいた。

何なら私のスキルと過去も見通している。

これがこの国にとって凄まじい力になるかもしれない。

「マテリ、誇張なしで告げる。そのスキルがあれば、世界をどうにかすることも可能だろう。その上で、己について真剣に考えるがいい」

「はぁ……そういうの苦手なんだけどな」

「この先、そのスキルを知った者がいれば間違いなく利用しようと考えるだろう。近しい者に危害が及ぶかもしれん。その時になれば報酬だの関係なく決断を迫られるかもしれん。それでもお前は欲望を優先させるのか?」

「さぁ? その時になってみないとわからないでしょ」

私のあっけらかんとした即答にマウちゃんが面食らっている。

もう少し考えろとでも言いたげだった。

「それを言うなら、マウちゃんだってこの国と和平条約を結んだ。人間だって裏切るかもしれないし、血をみることになるかもしれないよ?」

「それはそうだな。それでも私は父のようにはなりたくない。私のスキル、完全治癒では誰も殺せんからな」

「すごそう」

「魔族、魔王にあるまじきスキルだと罵られた。今回の侵略が最後のチャンスだったのだが、我ながらマヌケよの……」

「ね、お互い大して先のことなんか考えてないでしょ」

マウちゃんが笑ってくれた。

今思えば、フクロウ伯爵のスキルで私を見抜いてから殺戮のカードを餌にして利用すると決めたわけか。

見事に釣られちゃったけど後悔はしていない。

だってそこに報酬があるから。

「殺戮の名を冠して命を奪っても何も残らない。そんな父上を見ていると不安を覚えるのだ。誰も信頼せず、ただ奪うことのみを考える……。そんな理念で魔界を統一して何になる。残るのは無だ」

「お家事情は知らないけど、好きなように生きればいいんじゃない? 完全治癒なんてスキルなら絶対に重宝されるよ」

「そうだな。奪うより救うほうが気持ちがいい。それをお前に教えられた」

「何一つ教えてないけど」

奪うより貰ったほうがいい。

クソスキル扱いされてひどい目にあった身だけど、私は大した目的意識をもって動いてない。

だってそこにミッションがあるから。

「邪魔したな。明日は旅立つのだろう?」

「うん。エクセイシアに行くつもり」

「いい報酬があるといいな」

そう言ってマウちゃんとフクロウ伯爵は部屋を出ていった。

今思えばあの二人の討伐ミッションが出なかったから、敵対せずに済んだわけか。

やるじゃん、クリア報酬。

これからもじゃんじゃんミッションと報酬を頼むよ。