軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

聖女誕生?

「聖女様、起きてください」

「ミッション!?」

ガバッと起きると、そこには見知らぬ女の人だ。

室内にある豪華な調度品とふかふかの大きなベッド、絨毯。

そうだ、私達はお城の一室に泊めてもらったんだった。

「ど、どちら様?」

「シルキア様の命により、聖女様のお世話をさせていただく者です。本日は戴冠式となっておりますので、ご準備のほうお願いします」

「たいかんしき? あぁー……。あれ? ミリータちゃんは?」

「あの方なら朝早くに鍛冶をされておられます」

「鍛冶ィーーーー!」

「あ! どちらへ!」

ベッドから出て高速で着替えを終えると、城の中をダッシュで駆けた。

城内にある鍛冶場でミリータちゃんはカンカンと鍛冶に勤しんでいる。

報酬の不死鳥の羽とその他、武器や防具の強化は欠かせない。

鍛冶場につくと、ミリータちゃんがちょうど仕事を終えたところだった。

「お、マテリ! ちょうどよかった! 不死鳥の羽、すっげぇぞ!」

「すっげぇの!?」

「光の髪飾りにくっつけたら、ほれ!」

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光の髪飾り+3 → 不死鳥の髪飾り+3

効果:防御+130 魔防+160 精神耐性+100% 常にダメージを回復する。New!

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「こ、これつけちゃっていいの?」

「アイテムはマテリのスキルで手に入れたからな。オラはその辺、口出ししねぇって約束だ」

そうだった。

ミリータちゃんは一歩引いて私に譲ってくれている。

これって無敵になったということ? いや、さすがにね。

「うん、心地いい」

「はぁ……はぁ……せ、聖女様。戴冠式のお時間が……」

召使いの人がようやく追いついてきた。

ようやく朧気だった記憶が少しだけよみがえる。

アズゼル討伐の功労者として盛大に祝ってくれて、ご馳走をたらふく食べたんだ。

その際になんだかほんわかする飲み物を飲んで記憶が曖昧になっていた。

「今日は聖女様として国民に向けて意思表明をしていただきます。もちろん準備はお済ですよね?」

「は? あれ、そんなことになってた?」

「『聖女? まーかせてまかせてぇ』と聖女様が仰っておりました」

「おい、私」

ほんわかしたせいで適当なことを口走った記憶があるようなないような。

ホントなにやってんの、マテリ。

誤解を解かなかった私が悪いし、今更だけどハッキリ言おう。

聖女なんて柄じゃないし、すべてはクリア報酬のためだったと。

* * *

戴冠式。

あの王様は約束を守ったようで、王位をシルキア様に譲ってくれるみたいだ。

そうするしかなかったといったほうが正しいかな。

ブライアスさん率いる兵隊が警備に当たっているけど、数がずいぶんと少ない。

アズゼルの四魔将に殺された人が多いせいだ。この国はこれから大変だろうなぁ。

王様はというとよほどシルキア様に王位を譲りたくないのか、苦悶の表情だ。

ぷるぷると手を震わせながら、自分の王冠をシルキア様に被せようとしている。

「……以上、これより……ファフニル国はぁ……シ、シルキアが、女王となり……しょ、しょ、諸君を……導くぅ!」

「うおぉぉーーーーーーーーーーーー!」

「クソスキル税から解放されるーーーー!」

地震かと思うほどの歓声だ。

王様はもっと大変かもしれない。

私にしたことが城内で知れ渡ってしまって、家臣達からはすっかり手のひらを返されてしまった。

というのも私を見込んだのがシルキア様だから、相対的に王様の評価は地の底へと沈む。

王位を退いた上に城内にも居場所がなくなり、近いうちに城を追い出されるかもしれないとか。

「あの時、追放しなければぁ……クソッ、クソォォ……」

もうずっと同じことを呟いてるらしい。シルキア様によれば、寝言もこれみたいだ。

彼女も実の父親とはいっても王としてやったことは許せないらしく、きっちりと償わせると言っていた。

デスやもぐらおじさんみたいな王様の裏方にいた人達も軒並みいぶり出されて、すっかり干されている。

挙句の果てには私のところにもやってきて先日は――

「私は気づいた! そなたこそが真の聖女だと!」

「お引き取りください」

都合よく気づいた王様がしつこく食い下がってきて大変だったよ。

その後も、しがみついて涙と鼻水だらけになって食い下がってきたから兵士達にひき剥がしてもらった。

もう一回、討伐ミッションこないかな?

それより今は戴冠式、いよいよ私の出番みたい。

「続いてはこの国をお救いくださった聖女様よりご挨拶があります」

うへぇ、仕方ない。

大勢の前でシルキア様に恥をかかすことになるかもしれないけど、きちんとしよう。

皆が私の言葉を心待ちにしている。

「えーと、その。実は私、聖女ではありません」

予想通り、皆が困惑した様子だ。どよめいて、何事かと囁き合っている。

これでいいんだ。期待させ続けるのはあまりに酷です。

私は聖女なんて立派な人間じゃない。

どこにでもいる物欲にまみれた女の子です。

「アズゼルを討伐したのは確かですが、それには理由がありまして」

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ミッションが発生!

・ビリー・エッジを討伐する。報酬:エンチャントカード・回復増

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「ファイアボアァァァルァァ!」

「ぎゃあぁぁぁぁーーー!」

警備をかいくぐってシルキア様の背後に迫っていた暗殺者風の男が火の玉に焼かれていった。

報酬の香りが私の鼻腔をついた以上は見逃さないよ。

「な、なんだ! 刺客か!」

「こいつ、ビリー・エッジ! 国内でも五指に入る殺し屋だ!」

騒然となった戴冠式だけど、私は報酬を手にしてほくほくだ。

そっとカードをヒールリングに差し込んだ。

今日は実に素敵な戴冠式になった。あれ? 皆さん?

「す、すごい……。無言でビリー・エッジを仕留めて当然のような佇まいだ……」

「皆さん! ご覧になられたでしょうか!」

お、王女様?

なにか嫌な方向に話を進めようとしてません?

「こちらの方がまさに聖女様だと、ご理解いただけましたか? そう……彼女は私達を救済するために、現世に降臨なさったのです」

「おぉ……!」

「さぁ称えましょう! ファフニル国の繁栄と共に!」

「聖女様ーーーー!」

「ありがたやーーーー!」

皆が私を称えている。

あのブライアスさんなんか、涙を流して拍手していた。

あの、やめて?