軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

3、レベル999以上の魔力

数々の理不尽な疑いをかけられ、たまらなくエフィナが教室を飛び出した。

行くあてもなくなんとなく向かった先は、学園長室だ。

ドアをノックして許可を得てから入室する。

椅子に座っている学園長の周りには数名の教師も一緒にいる。

入ってきたのがエフィナだと知ると、誰もが酷く驚いていた。

「先ほどはすまぬな。だが、どうしてもすぐに信用するわけにもいかず」

「いえ。私にもなにがなんだかわからなくて……」

「左様か。大変すまないが、緊急会議の結果決まったことを今ここで実践したいのだが……構わないか? これでキミのステータスが偽りか本物かハッキリするだろう」

「それなら是が非でも!」

学園長の横にいたガタイの良い男がエフィナに近づき一歩止まる。筋肉教師である。

「彼は武道専門の教師。身体能力レベルは240。現役王宮直属の騎士でもあり、武力ならば国王陛下直属護衛の次に強い」

エフィナは今までダンジョンに潜っていた経験から、次になにが起こるのか予想がついた。

それほど目の前にいる男の殺気が強く、まるでモンスターと対面したかのような雰囲気があったのだ。

「安全のため魔法陣を頼む。魔力レベル200近い其方の魔法陣ならば、ある程度の魔法にも耐えられるはず」

「はい」

杖を持った別の教師が、エフィナと筋肉教師の周囲に結界を作ったのである。

「これで部屋は壊れることはないであろう。思う存分戦ってくれたまえ。本当に高レベルなら、彼を簡単に倒せるだろう」

「レベルが桁違いならおまえさんは模擬刀など使う必要もないだろう? 俺にハンデが欲しいくらいだよ」

筋肉教師はそう言うと持っている模擬刀を手にする。エフィナはなにも持っていない。

それを知ったうえでいきなりエフィナに襲いかかった。

筋肉教師は手加減などする様子などない。むしろ、インチキをした生徒に対しての罰だという気持ちで致命傷を与えるつもりだった。

エフィナとしてはあまりにも突然過ぎてどうしたらいいのかわからない。

だが、ドラゴンの中でも最強種を倒した経験もあるエフィナにとっては、まるで筋肉教師の動きがスローモーションを眺めているかのようだった。

とっさにこう思う。

(様子を見るために手加減してくれているのかな。でも、こっちは汚名を晴らすためにも、本当のステータスを判断してもらわなきゃ!)

「なっ! 俺の渾身の模擬刀を避けた!?」

「手加減ありがとうございます。でも、もう少しは本気出して大丈夫ですよ」

エフィナは自分のステータスが間違っていると思い込んでいた。

確かにほかの生徒よりは毎日ダンジョンに潜っていたしダイエット活動は真剣だった。レベルがそのときに少しは上がったのだろうと考えている。だが、桁違いのレベルとは考えられなかったのだ。

そのため、自分でできる最高の力を披露することにした。

それを見てもらい、的確なクラスへ移動できることを望んでいたのである。

最高の力を披露……。

それがどのようなことになるのか、エフィナは想像もつかなかったのである。

――バゴッ……!!

「ぐわっ!?」

いくら実戦とは言え、教師を殴るという踏ん切りはつかなかった。

そのため、模擬刀に向けて渾身の平手をおみまいした。

普段モンスターを倒すときにやっていることで、エフィナにとっては日常的な運動である。

模擬刀はこなごなに砕け、反動で押された筋肉教師も後方に吹っ飛ばされた。

魔法陣の外側から見ていた教師たちは絶句。

さらにエフィナはまだ足りないと思い、次の行動にでた。

すかさず止めようとした学園長だが、すでに遅かった。

――バキバキバキバキ……!!

エフィナの魔力を解放した。

今までは窮地に追いやられたときに、魔力を放ちモンスターを追い払っていたのである。

しかしそれはエフィナが十歳になる頃までの話だった。

久しぶりの魔力を使ったのだが、あきらかにおかしいと思ったのはエフィナ本人だ。

結界が壊され、学園長室の部屋も乱されてしまった。

慌てて魔力を止める。

しかしすでに遅い。

ここにいた誰もが口を開いたまま呆然としていた。

「これが……レベル999以上の魔力か……」

「私の渾身の結界が……国王様直属魔術師も騎士も壊せなかった結界が……意図も簡単に壊されるなんて……」

「が……あわわわわわ……」

最も被害を受けたのは筋肉教師である。

模擬刀を意図もあっさり壊されその衝撃で吹っ飛んだ。

さらにその直後、同じ魔法陣の中で絶大な魔力に圧倒されたのである。

今まで潜ったダンジョン内におけるどのモンスターよりも圧倒的な威圧。これにより、恐怖に襲われ床が水浸しになってしまうほどであった。

エフィナは気がつかないうちに、本当に人類未踏の域へ踏み込んでいたのだとようやく知ったのである。