軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

11 エフィナ、寝る

エフィナは口にしなかったが、ライトの安全を考えていた。

推しであるライトのレベルはしっかりと記憶している。その上で先日のゼムとの一騎打ちでボコボコにしてしまったことや魔法専門教師リエルの結界をあっさり壊したこと。

その教師たちよりもライトのレベルの方が今は低いことを考えると、ドラゴンがウヨウヨいる層にまで行っては危険なんじゃないかと考えた。

そのためドラゴンが辛うじて出現するであろう中層域の深めの場所を選択したのである。

もちろんこのことはライトには黙っていた。

中層域へ転移すると、突然エフィナにひとつの瓶を手渡そうとした。

「そうだ。これも飲んでおくと良い」

「なんですこれ?」

「ダンジョンに潜るときには普通飲むだろう?」

「は? はい。もらっておきます」

エフィナはもらった飲み物を全部飲み干した。

すると突然ニヤリと微笑む。

「雰囲気も私が通っていたところとほとんど一緒ですね」

「通っていた……か」

「でもモンスターたち、今までのと比べても少しはマシかも」

「マシ?」

「これなら痩せら……れそうです!」

「は?」

「あっちにドラ……ゴンっぽいモンス……ターがいっぱいいま……すね」

「え、わかるの?」

エフィナはモンスターがどこにどれほどいるのか、経験上気配でなんとなく理解していた。

だが不思議と説明が面倒になっていてこれ以上の会話はしなかったのである。

「ん……んん……」

「どうした?」

「あ、いえ。すみません。ちょっと眠気が……」

「そうか」

普段のエフィナならば夕方に眠気が襲ってくることなどない。

ましてやダンジョン内で睡眠なんてするわけがなかった。

しかし、異常な眠気に襲われ正気を保てていないほどである。

「あ、ほら。ドラゴンたちがいましたよ」

「ひ……!」

ドラゴンを直視した瞬間身体がガタガタと震えていた。

エフィナは眠気と戦いながら、ダイエット活動をしっかりと遂行していく。

眠気が強くともドラゴンを数体倒す程度なら、わけがなかった。

なるべく派手に動いたほうが身体の燃焼に効果がある。

そう思っているため、いつもどおり派手に動き回りボカスカと滅多撃ちするのであった。

この状況下でも倒してしまう事実を目撃し、酷く驚いていた。

「本当にレベル130なの?」

「はい?」

「本当は最初の999だった測定が正しいんじゃ……」

「え、だってファーゼント殿下は知っているじゃないですか」

「そ、そうだったそうだった……」

いよいよ眠気のピークを迎え、エフィナはその場で座ってしまった。

すると金色の瞳に似合わずゲラゲラと大声で笑い始めた。

「ふ……ふふふふふ! それはそうと、ここでお別れですわね、エフィナ=フォゲルダ様」

「ん? ん?」

銀髪は金色に変わり、瞳も茶色へ、さらに服装までもが変わっていく。

そして姿が見覚えのある女性へと変わったのだ。

高身長でスタイルが抜群だったため、エフィナの記憶にも残っていた。

「同じクラスの……」

「ミモザですわ。こんなにあっさり騙せるなんてねぇ」

「ああ……そういう……」

「そう。入学早々ライト様に可愛がられて……!」

眠気がピークのエフィナでもなんとなく状況を理解しつつあった。

元々ライトの発言や行動、様子もおかしかったため、すぐに納得できた。

「まさかエフィナが本当に異常なレベルだったことには驚きだったけど、おかげでわたしも簡単に深層まで来ることができましたわ」

「それが目的で? 私に飲ませたあの飲み物に……」

「そう、睡魔を激増させるための薬。本来モンスターに振りまいて使うものなのですけれどね。まさかゴクゴク飲んでもこんな長時間起きていられるなんて、さすが高レベルでしたわ」

「なるほど……」

「わたしも元々ダンジョン経験者。小指には変装の指輪をつけていましてね、これでいざというときはモンスターに化けて身を守っていましたの。人間に変装したのは今回が初めてですわよ。声までそっくりになれるだなんて知りませんでしたわ」

エフィナは返事すらできないほど眠気に襲われていた。

それもそのはずで、本来人間が飲んでは危険。

モンスターでも皮膚に触れるだけで麻酔のごとく寝てしまうのだが、エフィナは飲んだにも関わらず数分耐えていたのだ。

「じゃ、わたしは人差し指に身につけている帰還の指輪で帰りますわ。そのまま眠ってダンジョンで死んじゃったってことにしておきなさいね」

「……………………」

エフィナは眠ってしまった。

「このままでは本当に見殺し……。さすがに……やりすぎかしら。いえ、このままじゃライト様に直々にお願いできるチャンスが永久にやってこなかったでしょうから……」

眠ったままのエフィナに振り返り、心苦しい気持ちが止まらなかった。

だが、ミモザは覚悟を決めて帰還の指輪を発動させ脱出した。