軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

失敗と……

鱗の残りを含めて、それぞれが1/8程度の大きさになるように切り分けた。1/8といっても、もともとが大きいのでそれなりの大きさになる。カリオピウムを丸ごと覆うほどではないが、一部は完全に隠れるだろう。

カリオピウムと反応させるにあたって、あまりに小さくてもよくわからないということになりかねないので、ある程度の大きさでカリオピウムをどれだけ触れさせるかで調整することにした。

「まずはこれくらいかな」

俺はカリオピウムの一角が少し鱗に乗るようにした。即座に反応が始まるわけではなく。チートを併用して確認しても、今のところその一角には何の変化もないようだ。

「これで時々様子を見よう。リケもちょっと気にしてくれると助かる」

「わかりました!」

俺が言うと、リケは頷いた。さて、ドラゴンの鱗をはじめるか……。

ドラゴンの鱗を加工する実験は俺とリケで手分けすることにした。俺が魔力で、リケが加熱だ。1つっきりしかなかったカリオピウムと違い、こうやって手分けできるのはありがたいな。

鱗に魔力をこめるのは、メギスチウムと同じく魔力をこめた鉄板で〝魔力炉〟を作ってやっていく。副産物として消えてしまう魔宝石ができるかも知れないが、まぁそこはそれだ。

板金を箱型に組んで、その中に鱗(の切れ端)を収める。板金で蓋をしてから鎚で叩く。もちろん、耳慣れた、鋼と鋼がぶつかり合う音が響く。

叩きながら、そろそろ鎚や金床も補修が必要かも知れないなぁ、などと考える。鎚の打面は少し広がっているし、金床も少し凸凹が目立つようになってきた。

今やってる諸々が落ち着いたら、やっておくか。

しばらく叩き続けると、板金を叩く音が多少澄んできた。これ以上は魔力が上がらないことを教えてくれているのだ。

俺は鎚を脇において、そっと〝魔力炉〟の蓋を開ける。魔力のキラキラが煙のようにフワリと漏れ出てきて綺麗だが、あまり魔力を感知できないサーミャやディアナには見えないらしいのが残念である。

中には、鱗に入り切らなかった分だろう魔力が塊となって転がっていた。魔宝石だ。ヒョイと取り上げると、思いの外早く崩れ去る。

おそらくは、あの魔宝石の魔力が少なかったのだろう。裏を返せば、ドラゴンの鱗にそれだけの魔力がこもっている……はずだ。

〝魔力炉〟から鱗を取り出そうとしたとき、リケが声をかけてきた。

「親方、加熱の方はいまいちですね」

「お、ダメだったか」

「ええ」

リケは手にした鱗を振る。ふにゃふにゃのゴムかなにかのようではないが、何かを作るのに十分な硬さとは全く言えない。

「縫い合わせて布みたいにしたほうが良いかもな」

「ですねぇ……。そちらはどうですか?」

「今見てみるところだ」

俺は炉に向き直って、中から鱗を取り出そうとした。鱗に当たった指先の感覚は硬くなっていることを伝えているが、実際のところは取り出すまでわからない。

鱗はそのままの形を保ったまま、炉から出てきた。今のところはうまくいっていそうだ。振ってみたが、形を保っている。

「おお! うまくいってますね!!」

「メギスチウムみたいな性質なのかな」

メギスチウムも粘土のように柔らかいが、魔力をこめると硬くなる性質があった。あれと似たようなものか、もしくはメギスチウムが元はドラゴンの鱗だった可能性があるなと俺は思った。

つまり、古代の樹木がやがて地層に閉じ込められ、石炭になっていったのと同じように、地層に閉じ込められた鱗が圧力などで変質しメギスチウムになったのかも、ということだ。

ここらはいずれこの世界の学者が明かすのだろうが、ちょっと気になるところだな。

リケが目を輝かせて言う。

「あれと同じなら、もっと大きい〝魔力炉〟を用意すれば……」

「ドラゴンスケイルメイルも夢じゃないかもな」

俺が言うと、リケは一層目を輝かせた。それを見て俺が笑おうとしたとき、手に違和感を覚えた。

「あれっ」

さっきまで形を維持していた鱗が、フニャフニャとリケが持っているものと同じように柔らかくなっている。

「ああ、鱗はうちの魔宝石みたいに魔力が抜けていくのか……」

つまり、魔力を保持している間は硬いが、抜けると柔らかい状態に戻ってしまうようだ。おそらくドラゴンは何らかの方法で身体に魔力を巡らせ、鱗にも供給しているのだろう。

その仕組がどうなのか、ここに生きているドラゴンは……いるにはいるが走竜と伝書竜だから、解明には役立つまい。

「うーん。こうなると魔力を保持する方法が必要だな」

「リディさんに手伝ってもらいます?」

俺は腕を組んだ。あんまり他のみんなの手を煩わせたくないのは確かだが、家族と言っておきながら手を借りないのもそれはそれで不義理な気もする。

しばらく考え、俺は結論を出した。

「魔法や魔力について詳しいのはリディだし、ちょっと手助けしてもらおう」

「わかりました!」

「おっと、その前にカリオピウムの確認だ」

「あっ、そうでした」

やはり俺とリケでは集中していると色々忘れてしまう。俺も頭をかきかき、カリオピウムを置いた場所に向かった。