軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

事前の説明

「さて、今のうちに明日について軽く説明をしておこうか」

マリウスがそう言ったので、俺とヘレンが手にしていたカトラリーを置こうとすると、彼は身振りでそれを止めさせた。

「食べながらでいい。真剣に聞かなくちゃいけないような複雑な話じゃないし、エイゾウたちにして欲しいのはごくごく単純なことだしね」

「分かった」

俺が頷くと、マリウスも満足そうに頷いて話し始める。

「〝遺跡〟が見つかった経緯と、王弟閣下がいらっしゃる話はもういいな? まぁあれ以上は話のしようがないんだが」

そう言って肩をすくめるマリウス。俺とヘレンは無言であることで話の先を促す。

「見つかって間もないし、本格的な調査はこれから……と言っても、最低限の調査はしていてね。で、ついさっき報告を受けたところだ」

マリウスは懐から羊皮紙のようなものを取り出した。普通ならボーマンさんに持ってこさせるようなものだと思うが、そうしないあたりが「らしい」なと思う。

「これによると調査できたのは地下一層まで、とある。つまり、何層あるかもわかってないということだな」

マリウスは小さくため息をつく。

「その範囲で魔物の発生は確認できていないし、下層へ降りる階段などもなし、か」

「本当に何一つ見つからないまま、ってことはあるのか?」

お言葉に甘えて、肉を一つ頬張り、呑み込んでから俺は言った。報告書に目を落としていたマリウスがこちらを見る。

「もちろん。むしろ、そういうもののほうが多いと聞いてる」

〝遺跡〟の多くは「空振り」ということか。元々は砦だったりしたらしいし、そんなところに備蓄物資が常に残されているはずもないか。

「もしそうなっていたら、明日は楽だし、さっさと埋めてしまえということになるだろうからいいんだけどなあ」

マリウスはパチンと報告書を指で弾いた。

「その明日の話なんだが、下層の階段がないかを探索することになると思う。見つかったら記録して帰還。見つからなくても一定時間が過ぎれば帰還だ」

「その間、王弟閣下の護衛をしていればいい、ってことか」

「うん。内容としてはシンプルだろ?」

「まあね」

言って俺がヘレンの方を見ると、彼女は肩をすくめていた。概ね同意ではあるらしい。

「何か気をつけておくこととかは?」

「あると言えばあるが、ないと言えばないな」

俺が怪訝そうな顔をしたのに気がついたマリウスが苦笑する。

「とにかく王弟閣下を守れればいいんだけど、中に入るまでは近衛兵がわんさか付いてるだろうし、入っても今日の時点で魔物がいないんじゃ、中での護衛もそう大したことにはならないだろうね」

「魔物は突然湧く可能性があるから油断はできないが……、そういうときの俺とヘレンってことだな」

「その通り。魔物討伐の経験者と、最強の傭兵がいれば苦はないだろう?」

「だと良いがね。俺は鍛冶屋だからなぁ」

俺が言うと、マリウスはわざとらしく大きく目を見開き、俺は口を尖らせる。

その様子を見てヘレンが笑うと、それは食堂に響いていった。