軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第12話:【閑話】国王の話

《閑話:オードルを粛清した国王視点》

傭兵オードルの活躍のお蔭で、王国には平和が戻っていた。

だが国王は再び戦に挑もうとしていた。

戦鬼オードルのお蔭で、せっかく有利に結べた休戦協定を破棄。

愚かにも隣国の帝国領に、侵攻しようとしていたのだ。

「陛下! もう一度、考え直しを。せっかく帝国と休戦協定を結べたのに、また戦をする意味はありません!」

愚策を決断した国王に対して、王国の軍師は進言する。

今は戦争をするよりも、疲弊した国土を復興するのが優先だと。

「ふん、臆病者め! こんな時だからこそ、戦をするのじゃ! 今度こそ帝国の領土を奪って、たっぷり賠償金を請求するのだ! そんな簡単なことも分からんのか⁉ 軍師のくせに、この愚か者め!」

だが国王は聞く耳を持たなかった。

何故なら王国にとって、戦争は大切な国策の一つ。

国王は抱えている騎士や貴族に、給与や領土を与えなくてはいけない。

そのためには新しい領土や金が必要。

だから帝国に進攻しようとしていたのだ。

何より勝ちえた賠償金で、王の私腹を肥やすのが一番の理由である。

「ですが陛下! 帝国軍は手強いです。残念ながら今の当軍の戦力では、負ける確率が高いです!」

軍師も引き下がらなかった。

何故ならここで侵攻しても、王国軍が負けるのは必至。

単純な国力は帝国軍の方が上。

先日の決戦で王国が勝てたのは、一人の傭兵の存在があったからだなのだ。

「お聞きください、陛下。オードル殿が事故死した今、帝国軍に勝てる可能性は低いです!」

その 漢(おとこ) の名は“戦鬼”と呼ばれた傭兵オードル。

一騎当千の彼の働きのお蔭で、王国はこの5年間、なんとか勝てていた。

不審火でその男を失った今、王国には勝ち目はない……と軍師は進言する。

「あの男の名を出すな! オードルは死んだのじゃ! あんな 下賎(げせん) な傭兵がいなくても、我が栄光ある王国は大陸最強なのじゃ!」

オードルの名前を聞いて、国王は顔を真っ赤にする。

目をギラギラさせて、鼻息を荒くして、髪をむしり出す。

「ですが、陛下……」

「もう、いい! おい、こいつを幽閉しておけ! 不敬罪じゃ!」

反論する軍師を捕えるように、護衛の兵士に指示を出す。

軍師はあっとう間に取り囲まれて、そのまま牢屋へと連れていかれる。

(クソっ! あんな死んだ傭兵が必要なかったことと、ワシ自ら証明してやるじゃのじゃ!)

こうして国王自らが大軍を率いて、帝国領と侵攻をしていくのであった。

それから2週間後。

帝国との戦いは、あっとう間に決着がつく。

王国軍の惨敗。

国境沿いの草原での戦いで、王国軍は敗れてしまう。

更に軍を率いていた国王は、帝国軍の将軍に捕まったのだ。

その後は莫大な身代金を支払い、国王は解放される。

「くそっ! くそっ! なぜじゃ……なぜ、こんなことになったのじゃ!」

王都に戻った国王は、半狂乱に陥っていた。

何しろ今回の惨敗により、王国軍は多くの戦力を失ってしまった。

また帝国に支払った身代金は、国王の財の半分以上にもわたる。

更に国王が個人的に所有していた銀山を、帝国軍に賠償金として奪われてしまった。

これらの帝国からの要求は、断ることは出来なかった。

何故なら、また戦争になれば、王国が負けてしまうからだ。

その後、更に悪いことが続いていく。

『だから言ったでしょう、陛下。オードル殿がいない今、王国は終わりだと。さようなら』

戦の後。

軍師がそう書き置きを残して、どこかに消えていったのだ。

今まで軍師のお蔭で、王国は国内のバランスを保ってきた。

王国は軍事だけではなく、内政の力も失ってしまったのだ。

『では我々も去らせていただきます、陛下。オードル殿が生きていれば、違う未来もあったのでしょうが……』

『オードル殿が生きていた時と、今の王国は月とスッポン。さらばです、王様』

軍師に続いて、そんな言葉を残して、騎士や傭兵たちが王国を去っていった。

これにより王国は人材不足にも陥る。

もはや戦争をしている場合ですらなくなってしまったのだ。

「な、なんじゃと……なんじゃと……どいつも、こいつも、オードル、オードルと……」

バタン!

津波のように押し寄せてきた不幸に、国王は倒れてしまった。

ストレスにより脳がパンクしてしまったのである。

「くそ……これもオードルの呪いなのか……」

だが倒れた国王は知らなかった。

オードルを粛清した報いが、まだ終わっていないことを。

国王を更なる不幸が待ちかまえているのであった。