軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第115話:魔女との戦い

マリアとニースを助け出すために、天空に浮かぶ遺跡に潜入。

古代の屋敷の奥にある、古代の神殿のような空洞する。

そこで待ちかまえていたのは黒髪の魔女。

魔女の口から出てきたのは、衝撃的な内容。

“マリアの産みの母親は黒髪の魔女”だったという事実。

マリアとニースを助け出すため、黒髪の魔女と戦う。

魔女は“次元の壁”という防御壁で、周囲を自動防御していた。

剣技や斬撃、闘気術すら通じない完全無敵な防御網。

だがオレは策を実行して、魔女に一矢を報いたのだ。

『くっ……下等な蛮族種の分際で! だが、その攻撃は二度と通じない!』

今まで機械的な口調だった魔女。

まさかの反撃を受けて感情的な口調になる。

精神的に肉体的に動揺しているのだ。

「お前の弱点は他にもいくつもあるぞ。何なら、教えてやろうか?」

『戯れ言を! 死ねぇ!』

魔女が叫ぶ。

今までの余裕は完全に消えていた。

『今度は、油断はしないわ!』

魔女から威圧感が増大。

漆黒の槍を再度召喚する。

『砕き散れ、下等種どもが!』

魔女が攻撃を仕掛けてくる

その数は今までの倍以上だ。

「ガラハッド、いくぞ!」

「右はお任せを。オードルさん!」

ガラハッドと連携。

漆黒の槍の攻撃を、左右に回避する。

すぐさま反撃に移行。

今度は同時に左右から魔女を挟撃する。

『無駄なことを!』

魔女の反応速度は速い。

オレたちの動きを対応している。

おそらく古代魔法で、反射神経を強化しているのであろう。

すでに迎撃用の漆黒の槍を召喚している。

「いい、反応だな、魔女よ。だが、これはどうかな?」

挟撃はフェイクだ。

オレは胸元から丸い球を取り出し、魔女に投げつける。

『また火炎攻撃を? 無駄よ!』

魔女は迎撃の体勢に入る。

先ほどの失敗を繰り返さない。

火炎の壺を、空中で撃ち落とすつもりなのであろう。

漆黒の槍を細かく連続で打ち出す。

『ん? これは……?』

だが魔女の思惑は外れた。

撃ち落とした物体から、溢れたのは“油”ではなかった。

『煙……だと?』

魔女の周囲は煙幕によって、視界が閉ざされてしまう。

寸分先も見えなくなるほどの、濃い真っ白な煙だ。

予想が外れ魔女は明らかに動揺している。

「今だ、ガラハッド! いくぞぉお! 突(とつ) ぅうう!」

「はい、いきます、 斬(ざん) んんん!」

その隙を逃さない。

ガラハッドと連携連撃を繰り出す。

剣先に鈍い感触がある。

次元に壁に阻まれてしまうのだ。

だが構わない。

前後左右、上下左右の全ての方向から、魔女に怒涛の連撃を加えていく。

『くっ⁉ 小癪なぁあ!』

視界を奪われての攻撃を受ける。

魔女は叫びながら、漆黒の槍を大量に召喚。

全方位に向かって放出してくる

「ガラハッド、当たるなよ!」

「無論です!」

魔女の攻撃は精度の低い、完全な当てずっぽう。

オレたちは全弾を回避する。

『あの煙幕は……目くらましだと? くっ……また小賢しい細工を、下等種どもが!』

魔女も更に後方に退避していた。

煙幕による視界の封鎖を嫌がり、安全な場所に移動したのだ。

「どうだった、魔女よ。お前は視界に頼り過ぎなんだ」

『なんだと⁉』

今の煙幕攻撃が、弱点の二つ目。

魔女は攻撃する時、必ず視線で確認していた。

つまり相手の位置を認識するのに、目視する必要がある。

だから煙幕で視界を封じると、先ほどの様に混乱してしまうのだ。

「ちなみに、この煙幕玉のアイデアは、ロキとピエール……お前が侮っていた仲間から得たものだ」

前回の戦い、ロキとピエールは魔女に一方的に倒されてしまった。

だが戦いながら魔女の弱点を、必死で模索していたのだ。

後で戦うであろうオレにリベンジを託すために。

二人から得た情報によって、オレはこの煙幕攻撃を用意しておいたのだ。

「忠告してやる、黒髪の魔女。“下等な蛮族種”を、あまり舐めない方がいいぞ」

一方でオレロキは問題ない。

たとえ視界がゼロでも、闘気と気配で相手の位置が把握できる。

つまり煙幕の中での戦いは、圧倒的にこちらが有利なのだ。

「それでも、オードルさん。視界の無い中で、あそこまで完璧に攻撃を繰り出せるのは、オードルさんクラスだけですよ」

「そうだな。お前もだな、ガラハッド」

「ふふふ……オードルさんにそのように褒められるとは、私も思い残すことはありません!」

謙遜しているが、ここにきてガラハッドの動きは凄まじい。

煙幕の中でもオレの動きに、完璧なタイミングで付いてきたのだ。

剣聖ガラハッド……敵にすれば恐ろしい相手。

だが味方にすれば、これほど頼もしい存在はない。

『気配を感じるだと⁉ そんモノは私に不要。なぜなら、未だにこの身体に、お前らは傷一つつけられないではないか⁉ 私の次元の壁の防御は完璧!』

醜態を晒しならが、魔女は感情的になる。

整った顔を歪ませて、感情的な言葉を吐いてきた。

『そして私の魔力は無限に近い! つまり、このまま攻撃を繰り返していたら、私が勝つのよぉお!』

次元の壁の防御力に、魔女は絶対的な自信を持っていた。

更に倍以上の漆黒の槍を召喚。

オレたちを威嚇してくる。

その槍の布陣に隙はない。

今度は火炎壺と煙幕弾の攻撃を、空中で全て迎撃するつもりなのであろう。

「では三つ目の弱点……お前の最大の弱点を教えてやろう、魔女」

『戯れ言をぉお!』

魔女は攻撃を仕掛けてくる。

今までで最大の怒涛の攻撃だ。

「オードルさん、これは!」

ガラハッドには退避してもらう。

今度、攻め込むのはオレ一人。

「大丈夫だ、ガラハッド。任せろ!」

槍の攻撃を大剣で受け流しながら、オレは魔女に突撃していく。

槍の攻撃が凄まじい。

だが攻撃パターンは既に解析している。

最小限のダメージに抑えながら、魔女に斬り込んでいく。

『正面突破だと⁉ 無駄なことを⁉ この距離なら、避けられまい!』

魔女の直前に迫る。

勝利を確信した魔女は、眼前に漆黒の槍を繰り出してきた。

ゼロ距離からの発射。

さすがのオレも、この距離では完全には受け流せない。

「だが、そこが狙いだぁ! 閃(せん) !」

放ったのは突き技。

持てる剣技の中で最速のものだ。

狙いは魔女の身体ではない。

剣先で狙うは……放たれようとしている漆黒の槍。

その発射口の刹那の瞬間だ。

『なっ⁉』

魔女は驚愕する。

何故ならオレの大剣が、次元の壁を突破。

剣先が魔女の胸元に、到達しようしていたのだ。

『ぐっぅうう!』

魔女は両手に前に突きだしてくる。

別の術を急遽展開、防御態勢を敷いてきたのだ。

剣先に堅固な感触がある。

これが防御障壁なのであろう。

凄まじい頑丈さだ。

「 覇(は) ぁあああ!」

だが構わず大剣を振りきる。

防御壁ごと魔女を吹き飛ばす。

『ぐぅうううう⁉』

魔女は洞窟の壁まで吹き飛ぶ。

普通なら即死の勢い。

次元の壁で、吹き飛んだ衝撃は吸収されたのであろう。

だが今までない苦悶の声を上げていた。

「どうした? 苦しそうだな? これがお前の最大の弱点だ」

『弱点だと……一体何をした、戦鬼ぃいい⁉』

吹き飛ばされながら、魔女は理解が追いついていかなった。

何しろどんな攻撃も遮断する次元の壁が、実際に貫通されてしまったのだ。

半狂乱になるもの仕方がない。

「何をしただと? よく考えたらすぐに分かること。お前の槍の攻撃の隙間、発射口を狙ったんだ」

『なっ、攻撃の隙間……だと?』

「知らなかったのか? ほんのわずかだが、攻撃の瞬間だけ、槍の部分の次元の壁が弱くなる」

次元の壁はたしかに完璧な防御システム。

強力な斬撃や闘気、火炎も完璧に防御していた

だからこそ攻撃する側の漆黒の槍すら、無効化してしまうのであろう。

「その隙間を狙っただけだ」

魔女が攻撃を放つ瞬間だけ、次元の壁に隙間ができる。

その刹那の瞬間を狙って、オレは斬撃を繰り出したのだ。

『次元の壁が消える瞬間だと……⁉』

「ああ、そうだ。その顔だと知らなかったのか? まぁ、このアイデアはエリザベスとフェン……お前が侮っていたオレの仲間からだ」

この最大の弱点を見つけ出したヒントは、エリザベスたちからもらった。

前回の戦いで完璧な防御力と攻撃力で、魔女はエリザベスたちを圧倒。

その時に二人は倒されながらも、疑問に思っていたのだ。『完璧な防御の中から、魔女はどうやって攻撃してきたのか?』と。

「その答えは簡単だ。どんな防御の上手い大剣豪でも、攻撃の時には、必ず防御が解ける、だ」

二人の疑問から、オレはこの答えを導き出した。

過去に対峙した強敵との戦いの経験から、理論的に考えたのだ。

『なんだと……そんな隙があるはずが……』

「黒髪の魔女、悩んでも無駄ですよ。オードルさんは、こうは言っていますが、あの次元の壁に隙間が出来る瞬間は、ほんの刹那の瞬間だけ。普通の者は斬り込むことすら出来ません。初見で出来るのはオードルさんくらいなモノ。だから自信を失うことはありませんよ」

唖然とする魔女に対して、ガラハッドは不敵な笑みを向ける。

初見で出来るのはオレだけだが、この剣聖なら次は同じことが出来るであろう。

『下等種族の分際で、この私に説教だと⁉』

「これは失礼しました。そんなつもりはなかったのですが」

ガラハッドの挑発を受けて、魔女はさらに激高する。

最初の余裕はどこにもなく、ヒステリックを起こしていた。

「さて、降参しろ、魔女。お前にはもう勝ち目はない。マリアたちを今すぐ解放しろ」

追い詰めた魔女に降伏勧告をする。

オレの目的はマリアたちの救出であり、魔女を倒すことはでない。

魔女の命までは取るつもりない。

だが本体のネックレスは深海にでも沈めて封印しておく。

『この私が降伏だと⁉ 遥かに優れた文明の継承者である私が、野蛮なお前たちに屈するだと⁉ 戯れ言を吠えるなぁ!』

だが魔女は降伏には応じなかった。

情けないほどに感情を爆発させて、ヒステリックに叫ぶ。

「それならネックレスを破壊させてもらう」

交渉決裂。

こうなったら手加減をしてやることもない。

魔女の本体のネックレスを、完全に破壊するしかない。

『戦鬼め……たしかにお前は強い。さすがは“稀代なる王”の継承者……だが、お前の弱点は把握すみだぁ!』

その言葉と共に、魔女は動き出す。

漆黒の槍を召喚して、オレたちに攻撃を仕掛けてくる。

「無駄な足掻きを!」

魔女の攻撃が見切っていた。

オレは大剣で攻撃を受け流す。

『かかったな!』

だが攻撃は囮だった。

魔女は別方向に向かって駆ける。

その方向は……まずい。

捕らわれていたマリアの方向だ。

『これがお前の最大の弱点よ、戦鬼ぃい!』

魔女はマリアを人質にとるつもりであった。

もはやなりふり構っていられないのだ。

「させるかぁ!」

オレとは即座に動く。

人質を盾にしようとする魔女に、追撃をしかける。

ガラハッドも連動してくれた。

よし、狙うは魔女の肉体部分だ。

「オードルさん、いきますよ! 斬(ざん) ぁああん!」

「 覇(は) ぁあああ」

ガラハッドの斬撃の後に合わせて、オレは攻撃を繰り出す。

魔女は漆黒の槍で迎撃してきた。

だが問題ない。

次元の壁の隙間を今回も狙う。

「ぐっ! キャー!」

オレの斬撃を受けて、魔女が吹き飛ぶ。

今までは違う女性の声。

おそらく本体の“黒髪の女”の地声なのであろう。

「安心しろ、殺してはいない。峰打ちだ」

オレが攻撃を当てたのは、大剣の刃の無い部分。

吹き飛んだ黒髪の女の肉体の命はあるであろう。

だがしばらくの間は動けない。

その間に魔女のネックレスを外して、完璧に破壊させてもらう。

「さて、これで終わりだな、黒髪の魔女よ」

吹き飛び気絶している魔女に、近づいていく。

マリアを早く助け出したいが、今は厄介な魔女の止めが先決。

警戒しながら魔女のネックレスに、剣先の狙いを付ける。

「ん?」

その時であった。

黒髪の魔女に近づいて、“ある異変”に気が付く。

「ネックレスが無い……だと?」

先ほどまで胸元にあったネックレス……魔女の本体のが消えていたのだ。

斬り込んだ時にあったはず。

では一体どこに消えたというのだ?

「……まさか⁉」

オレは後ろを振り向く。

振り向いた先にはいるのは、捕らわれて意識を失ったままのマリア。

『くっくっく……』

だがマリアは不気味に笑っていた。

意識を取り戻して口を開いていたのだ。

『ふっふっふ……はっはっは……』

だが発せられたのは、聞きなれた愛娘の声ではなかった。

『ひと足遅かったわね……戦鬼よ』

マリアが目を開き、笑みを浮かべる。

だが浮かんでいたのは、いつもの天使のようなマリアの笑顔ではない。

無機質で悪魔のような表情だった。

「魔女め……キサマ……」

最悪のことが起きてしまった。

最愛の娘の身体を、魔女に乗っ取られてしまったのだ。