軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

森演習3日目続き

蜘蛛の魔物を無事倒し、拠点に向かって歩いていると、前方に、黒い靄を発見。

皆に合図すると、警戒態勢に、ゆっくりと近づくと、初日に見た巨大熊の魔物。

巨大熊の魔物は、巨大猪魔物を一心不乱に貪り食っていて、こちらには気づいていない。

ユーグラムが、皆に合図して、先程と同じ様に風魔法で丸ノコを造り、巨大熊魔物の首にぶつけると、音に気づいて振り向いた熊魔物の首を半分だけ切り、大量の血を吹き出させる。

その傷に怯んだのか、逃げの態勢に入った熊魔物の後ろ足に、音も無く近寄っていたディーグリーが腱を切りつけ、足に力の入らなくなった熊魔物は、闇雲に両腕を振り回す。

音も無く、気配も消して背後に回ったアールスハインが、熊魔物の首を横一閃に切り落とし、無事討伐完了!

マジックバッグにしまい、回りに飛び散った血と、食い荒らされて使い道の無い猪魔物を始末して、拠点に向かう。

拠点につくと、俺達が最後の到着だったらしく、近寄って来たインテリヤクザな担任が、

「おう、無事だな?怪我した奴はいるか?」

「いませーん!疲れてるけど、全員無事で無傷でっす!」

ディーグリーのふざけた返事に、その頭をグシャグシャにかき混ぜながら、

「あぁ、そりゃなによりだ!今日は怪我人が多過ぎて、馬車に乗せられねーんだわ、疲れてる所悪いがケータ、お前さん治癒魔法が使えたな?怪我した奴の治療を頼んでも良いか?教師だけじゃ間に合わなくてな、取り敢えず座らせる事が出来れば、後は学園に帰ってから何とかするから、頼むわ!」

「あーい」

査定は後回しにして、仮設の救護所になっているテントに向かう。

怪我人以外はテントに入れないらしく、テントの回りには多くの生徒が心配そうに、中を覗き込んでいる。

飛んでる俺を見て、皆が変な顔をするが別にテントに入る邪魔をしないのでスルーして、テント内に入る。

テント内には、教師二人が治療に当たっていて、二人の教師はそれぞれに、奥に寝かされている重傷者を優先に治療しているので、テント入口付近の軽傷者は、放置されていた。

軽傷と言っても、骨折や火傷、酷く挫いて腫れた足の生徒も多い。

なので俺は、入口から近い生徒を片っ端から治療して行った。

初めは幼児な俺が近づくと、皆が怪訝な顔で追い払おうとし、ササッと怪我を治すと、唖然とし、怪我の治り具合に驚愕し、最後は感謝してテントから出て行った。

なぜか俺の治癒魔法は魔力反発を起こさないので、次々治療をしては、治った人をテントから追い出して行く。

どんどん減っていく生徒達に、ようやく治癒魔法を掛けていた教師二人が気づいて、俺の存在に気づいた。

俺の治癒魔法のスピードに驚愕していたが、今はそれどころでは無いので、すぐに自分の担当の患者に集中し出した。

粗方軽傷者を片付けて、次は?と見渡すと、一角に纏めて隔離されるように集められた生徒が複数いて、近寄って見ると、酷い怪我人はおらず、顔色の悪い者ばかりだった。

「にぇーにぇー、どーちたのー?」

「え?うおっ!ああアールスハイン王子の妖精か、俺らは毒にやられて治療待ちなんだよ、下手に動くと毒の回りが早くなるから、ここで待機してんだ。ああ、心配すんな!毒は移ったりはしないからな、俺らは大丈夫だ。お前は早く王子の所に戻った方が良いぞ!」

成る程、この辺の人達は毒にやられている、と、ならば治療はそれ程難しく無い。

毒にやられているらしい人達をバリアで覆い、バリア内に解毒魔法を満たしてやった。

これで軽い毒から解毒されるので、

「どくにょにゃおったしとは、しょとにでてくらしゃーい!(毒の治った人は、外に出てくださーい!)」

と言っても、いまいち言葉を理解して貰えず、早く王子の所に帰れと言われてしまう。

何人かは既に治っているはずなのに、誰もバリアから出てこない。

どうしようかと思っていると、

「お前達、ちゃんと自分の状態を確認しろ!何人かは既に治ってんだろ!」

インテリヤクザな担任が、軽傷の人達がテントから出た事で、様子を見に来たらしい。

ナイスタイミングで、俺の通訳をし出した。

インテリヤクザな担任の言葉で、俺が治療をしていた事に気付き、驚いて、自身の体の状態を調べる。

何人かが恐る恐るバリアの外に出てきて、俺が頷くとインテリヤクザな担任が容赦無く、テントから追い出した。

たまにちょっと早目にバリアを出て来ようとする人もいるが、バリアに阻まれて出て来られず、バリアを叩いたりするが、インテリヤクザな担任の一睨みで大人しくなる。

毒の回りが少ない人から順にバリアを出て行って、残り三人になった。

この三人は、同じ班で揃って毒を受けたが何とか拠点まで逃げ延びて来たらしい。

中々治らないので、よく見て見ると、うっすらと黒いウニョウニョが擦り傷の辺りから生えている。

「しぇんしぇー、こにょしとたち、にょりょわれてりゅー(先生、この人達呪われてる)」

「にょろ?」

「にょーりょーいー!ちょっちょらけど」

「呪われてんのか?!大丈夫なのか?教会までもつか?」

「う?にょりょいもにゃおしゅよ?(呪いも治すよ?)」

「は?呪いは教会の管轄だろ?え?出来んのか?お前さんが?」

「きのーもちたよ!くろにゃーこの!」

今日一日ずっと抱っこしていて、今も抱っこしている黒猫を、インテリヤクザな担任の目の前に出してやると、怪訝な顔で見ただけで、納得はしなかったので、黒猫を抱き直し、バリア内に浄化魔法を流してやる。

元々そんなに強い呪いでは無かったので、すぐに全員の顔色も戻り、呪いは無事解呪出来た。

ドヤ顔で、インテリヤクザな担任を見れば、パッカーンと口を開けて驚いていた。

ペチペチ頬を叩くと、ハッと俺を見て、グシャグシャに頭を撫でられた。

解呪も終わった三人をテントの外に追い出して、次に向かう。

後残っているのは、重傷な四人の生徒。

その中でより重傷な二人を教師がそれぞれに診ているので、俺は近くに寝かされている生徒に近付く。

その生徒は、たぶん身体中の複数の骨を骨折していて、後ちょっと毒を受けている。

まずは解毒して、骨を元の正常な状態になる様に念じながら治癒魔法を掛ける。

生徒の体が何度も内側から光り、点滅してやがて落ち着く。

浅かった呼吸も落ち着いて、顔色も戻り、少しすると目を覚ました。

「だーじょぶー?」

と声を掛けて見ると、不思議そうに俺を見て、自分の体を見て、

「俺、たぶん骨とか折れてた、と、思うんだけど?」

「にゃおちたー!」

「え?君が?……それは、ありがとう」

「どーいたちまちて!」

「おら、いつまでも呆けて無いで、さっさと馬車に乗れ!」

インテリヤクザな担任の脅す様な声に、さっきまで重傷だった生徒は、飛び起きて小走りでテントを出て行った。

残り三人のうちもう一人の放置されている生徒の所へ。

彼は全身に軽度の火傷と、打撲、複数の骨折で、意識が有りずっと呻いているが、悪態をついているわけではない。

ちょっと感心して、治癒魔法を掛ける。

まずは軽度の、でも広範囲の火傷を治す。

そうしないと、他の傷の状態が分からないから。

範囲が広いのでちょっと時間がかかるが、無事元の皮膚の色に戻り、次に複数の骨折を治す。

毒や呪いは無さそうなので、後は打撲を治して終了。

「にゃおったー」

「………ありがとうございます。」

涙声でお礼を言う生徒の頭をポンポンしてやった後は、容赦無く、テントから追い出す。

インテリヤクザな担任が。

残り二人、治癒魔法を掛けている教師の片方に近付くと、魔法を掛けながらも、俺に気づいてお礼を言ってくれる。

生徒の状態を確認すると、酷い毒を受けて、その上腹部に酷い切り傷、大量出血をしているので、顔が青いより白い。

教師に聞いてみると、出血がどうしても止まら無くて、その他の治療が出来ないらしい。

傷口をよくよく見てみると、うっすらと黒いウニョウニョを発見!

「またおまえきゃー!(またお前かー!)」

思わず叫ぶと、教師がびくびくっと体を震わせた。

驚かせてしまった様だ。

ごめんね。

「しぇんしぇー、こにょしともにょりょいー(先生、この人も呪い)」

「何?またかよ!治せんのか?」

「でちるよー!」

「良し!ここはお前さんに任せた!」

「ちょ、ちょっと待って下さい!何か分かったんですか?」

「あぁ、悪い悪い、この生徒は呪いを受けてて血が止まらなくなっているらしい、ここにいるケータは、見た目は赤ん坊だがヤる奴だ!呪いを解呪することも出来るし、その後の治療も任せて大丈夫だ!なんで先生はもう一人の方を手伝ってくれ、もう一人も呪いを受けてる可能性が有るかも知れねぇから、ケータが行くまで何とか命を繋いでてくれ!」

「…………にわかには信じられませんが、治癒魔法の腕は私よりも上であることは確かでしょう、お願いします!この生徒を助けてやって下さい!」

教師は俺に深く頭を下げると、最後の一人の方に向かった。

俺は目の前の生徒を見る。

腹部の深い裂傷から黒いウニョウニョが顔?を出してビチビチしているので、アールスハインの時のように、掴んで引っ張る!アールスハインの呪いよりは大分弱いのか、それ程抵抗されずに引っこ抜かれた呪いは、そのまま手に浄化魔法を掛ければすぐに消滅した。

後は普通に治癒魔法を掛ければ、傷はふさがり、増血も一緒に念じたので血色も良くなった。

ここまで来れば後はほっといても目覚めるだろう。

インテリヤクザな担任に、親指を立てて見せると、頭をポンポンされた。

残るは一人、教師二人ががりで治療しているが、二人で魔法を掛けているわけではない。

二人で魔法を掛けると、魔力反発を起こして、治療の効果を打ち消してしまうからだ。

俺が最後の一人に近寄って行くと、気づいた教師が場所を譲ってくれる。