軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

4日目

朝起きて、いつものようにベッドの端で柔軟体操をすませ、シェルに服を着せてもらう。

今日の服は、カーキ色の半袖のつなぎ。

朝食もいつものメンバーで取って、今日こそは、昨日中断された魔法訓練です!訓練所につくと、すでにテイルスミヤ長官が待っていて、何故か魔法庁に初めて来たときに会った、モサモサ頭の笑顔の怪しい男がいた。

相変わらず、胡散臭い笑みを浮かべている。

誰ですか?

不審者を見る目で見てたら、テイルスミヤ長官が気付いて、紹介してくれた。

「こちらにおりますのは、魔法庁副長官を任されております、ジャンディス・タカリスと申します。見た目はとても怪しい男ですが、仕事は真面目にこなしますし、聖獣の研究ではこの国で随一です。ケータ様が聖獣である可能性が非常に高いので、今後は時間の都合がつく限り、ご一緒させて頂きます」

「ジャンディスですー。聖獣様!よろしくお願いしますー。こんなに間近で聖獣様にお会い出来て幸せですー!」

怪しい男ジャンディスは、前髪で見えないけど、たぶん俺をガン見しながら、手をワキワキさせズイズイ迫って来てとても気持ち悪い。

アールスハインも2、3歩さがる。

見かねたシェルが、意識を逸らすためか質問をした。

「聖獣の研究とは、何を研究するのですか?聖獣の目撃情報は、数百年に1度と言う非常に稀な事と昨日お聞きしましたが?」

「確かに非常に稀な事ではありますが、聖獣の魔法はとても特殊で、数百年の年月がたった今も、はっきりと痕跡が残っております、聖獣の研究者は主にその痕跡を研究し、その場でどのような魔法が使われたのか、何のために使われたのか、歴史的な背景とも合わせて検証し、人間の魔法として応用出来ないか等を研究しています」

何故か、怪しい男ジャンディスに聞いたのに、テイルスミヤ長官が答える。

お陰で俺を、鼻息の掛かる距離でガン見するジャンディスを遠ざけられない。

俺は、気持ち悪いので、アールスハインにしがみついて、顔もあげられない。

「ジャンディス副長、いい加減にしなさい!最初からそれでは、ケータ様に嫌われて研究どころでは無くなりますよ!それと、ケータ様が聖獣であることは、今のところ極秘です!軽々しく聖獣様などと呼ばないように!」

「あー、そうでした!すみませーん、えーと、じゃあ俺っちもケータ様と呼ばせて頂きますねー」

テイルスミヤ長官に怒られて、やっと離れた怪しい男ジャンディス。

初対面の時は好い人と思ったのに、認識を改めた。

何か、マッドな匂いがして嫌ですね!

そんな事がありつつも、魔法訓練が始まりました。

この世界の魔法は、魔法陣とか呪文とかは必要なく、想像力によって魔法が発動するんだって!魔法陣は面倒そうだし、呪文は恥ずかしいので、ほっとしたよ!

まずは、魔力を魔法に変換させるのに、掌に魔力を集めて、使いたい魔法を想像するんだって。

魔力測定の時に出た模様によって、使える属性がほぼ分かっていて、それ以外の属性は、使えない事は無いけど、威力が極端に落ちるんだって。

アールスハインは、今まで呪いのせいで魔法を使えなかったけど、魔力は赤判定だし、模様は不明なので、呪いが解けた今、取り敢えず、想像し易いものからやってみようって事になった。

「それでは、まずは危険の少ない水の魔法から、掌に集めた魔力に、水の玉になれ、と命じてみてください。その際、どの位の大きさにするか、どの位の温度にするか、どの様な水の種類にするかで、使われる魔力の量が変わります。今回は初めてなので、普通の飲料水に使われる水を、掌よりも少し大きめに造るように想像してみて下さい」

こうして、と見本を見せてくれるテイルスミヤ長官。

テイルスミヤ長官の掌の上に、水の玉が出現する。

おお魔法!とテンション上げていると、

「ではどうぞ」

とこっちを見てくるので、アールスハインの腕から飛んで、少し離れた所に着地すると、すかさず怪しい男ジャンディスが寄ってきて、すぐ隣で俺をガン見してくる。

反応したら負けな気がしたので、無視して掌の上に水の玉を造る。

初めはザバーっと大量の水が出て、隣のジャンディス諸ともびしょ濡れになって、テイルスミヤ長官に乾かしてもらったり、ビニールに入れた水のように、グネグネと形が定まらず、どうしようかと迷ったが、グルグル回して見たら、綺麗な丸になったので、そのままキープして、テイルスミヤ長官を見る。

うんうん頷いてくれたので、合格したのだろう。

まぁ、水の玉はアールスハインが入れる位でかかったけどね!

隣で拍手してる怪しい男ジャンディスは無視の方向で!

魔力を流すのを止めると、水の玉は形を崩し、端の方から空気に溶けるように無くなって行く。

とても不思議。

アールスハインを見ると、さっきの俺みたいに、グネグネして形を保てていない。

何とか形を整えようと力が入っているが、余計にグネグネしている。

「ハイン、ハイン、ぐりゅぐりゅまわしゅとまりゅくなりゅよー(グルグル回すと丸くなるよ)」

アドバイスしてみたら、速攻出来た。

テイルスミヤ長官が拍手してくれる。

「では次は、風、土、火、光、闇の順で玉を造ってみて下さい」

テイルスミヤ長官の言った通りにそれぞれの玉を造って行く。

1度水の玉を造っているので、他の属性でも問題無く造れた。

光と闇は、ちょっと苦戦したけど、そこは前世のゲームで見た知識が役にたったよ!弟達がやってたゲームを、隣で見てただけだけど、そのイメージでやったら出来たよ!これがチートってヤツだね!

アールスハインも、光と闇には苦戦したけど、俺が造った玉を見たら出来たよ!

「素晴らしい!初めての魔法をこれ程スムーズに行える方は見たことがありません!………ですが、今日1日かけて教える予定が、もう終わってしまいました。なので次にいきましょう!お二人なら幾つかの工程を短縮しても、混乱して暴発するような事にはならないでしょう。では、次は防御魔法ですね」

サクサク進めるそうです。

魔法を習うのは普通、幼年学園に入学した後の10歳位からで、アンネローゼが通っている学園がその学園なんだって。

貴族の子供は、遊び感覚で幼い頃から魔力錬成の玉で、少しずつコントロールを学び、幼年学園で更に練度を上げて行き、高等学園に通うまでに、一定の基準をクリアすると、魔法の玉を造りその玉を打ち出す威力の弱い攻撃魔法を教えられるそうです。

で、なぜ俺達は防御魔法かというと、魔法の玉を造れれば、後は投げるだけなので、そんな攻撃魔法は飛ばしていいらしいよ!で、その次が、防御魔法なんだって!防御魔法を先に覚えるのは、自分の身は自分で守れ!的な脳筋思想があるからなんだって!さすが魔物のいる世界。

前世と比べて随分と物騒である。

俺、大丈夫かしら?

まぁ、山ん中出身なので、都会の子供よりは命のやり取りは身近に有ったけどね。

庭に首と羽の無い鶏がぶら下がっていたり、家の横の沢ではじいちゃんと仲間のじいちゃん達が取ってきた猪を丸洗いしたり解体する光景は日常だったからね。

「では、防御魔法についてですが、大雑把に言って、二種類有ります。一つはバリアのように自分の周りに透明または半透明な膜を張って、相手の攻撃を防ぐ方法。もう一つは相手の目や鼻、耳等の感覚器官を麻痺させて、その間に攻撃するまたは逃げる方法です。どちらがより自分に向いているかで、その後の攻撃の仕方も変わってきますが、どちらも使えるに越した事はないので、どちらも覚えて下さいね」

スラスラと説明するテイルスミヤ長官だが、今日初めて魔法を習う生徒に対し、ちょっとはしょり過ぎじゃないだろうか?

それだけ実力を認めてもらえてる!と思いたいが、まだ大して実力を見せた記憶が無いが良いのだろうか?

俺には、前世知識として、散々甥っ子達に見せられたアニメや漫画やゲームでの魔法のイメージが有るが………アールスハイン頑張れ!

テイルスミヤ長官の見本を見て、さて実践です!

体の周りに、薄く丈夫な膜を張る。

…………出来ますな、体の周りに膜を張ると、すぐ隣で俺をガン見する怪しい男ジャンディスが、膜に押されてちょっと離れるのが嬉しくて、ついつい膜を大きく張っちゃうよね!

怪しい男ジャンディスが、膜をバンバン叩いてるけど、音も遮ってくれているので、全然気にならない。

テイルスミヤ長官は、拍手してくれている。

音が聞こえないので、見えるだけだが。

アールスハインは、と見れば、膜を張る事は出来たけど、強度が足りないのか、軽くノックしただけで割れてしまった。

真剣な顔で、何度も張り直している。

魔法チートらしい俺は?

色々工夫してみましょう!

まずは、硬度を変えてみる?

柔らかく、でも割れないように、反発とかしたら楽しい!て事は、ゴムみたいな柔軟性のある伸び縮みするバリアとか?

考えながらバリアに魔力を流していると、怪しい男ジャンディスが、叩いている途中、反発されて尻餅をついた。

成功です!嬉しくて、テイルスミヤ長官を見ると、物凄く驚いていた。

こっちに近付いて、バリアに阻まれて進めず、声をかけているが聞こえないので、テイルスミヤ長官だけをバリアの中に入れてあげたら、バリアの外で怪しい男ジャンディスが、何か叫んで、更に強く叩いて、跳ね返されていた。

「ケータ様!これは何ですか?!バリアに跳ね返す機能なんてありません!これはバリアでは無いのですか?」

「バリアよー、やわわかくちてちゅよくちたー」

「……柔らかく強く?」

「のびたりーちぢんだりーしゅりゅー」

「伸びたり縮んだり………フロッグの皮のような物と言う事ですか?」

「しょーね、しょりぇのちゅよいの!」

「伸びたり縮んだりで強いの………確かに、それならば相手の力が強ければ強い程反発が大きくなる、と言う事ですか!」

「しょーねー」

俺のバリアに何かを考え込んでしまったテイルスミヤ長官。

バリアの外では、怪しい男ジャンディスが、バリアをサワサワしながら何かを調べているようだ。

さすがマッドな研究者、研究対象が見つかると、途端に顔付きが変わる。

でも動きが何か虫っぽくて嫌だ。

アールスハインは、一応成功したようだ。

自分のバリアを殴って、強度を確かめているらしい。

怪しい男ジャンディスが、バリアに乗り上げるようにサワサワしてるので、パッとバリアを解除してみた。

ビタン!と地面に落ち怪しい男ジャンディス、その音でこちらに戻ってきたテイルスミヤ長官が、地面に落ちてる怪しい男ジャンディスを見て、何とも言えない顔をしていた。

バリアも問題無く張れたので、午前中はこれでお仕舞い。

午後は、目眩ましとか異臭攻撃とか覚えるらしいよ!

お昼御飯は、テイルスミヤ長官達と長官室で食べるんだって。