軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

656 世界最強の王

「なぁ、フェリクス! ここに書いてあるリヴァイアサンって、あのリヴァイアサンか!?」

「何があのかは知らねぇが、他にリヴァイアサンがいないなら、そのリヴァイアサンじゃねぇの?」

アーリャが信じられないとばかりにプルプルと震えていれば、フェリクス王が興味なさそうに返した。

リヴァイアサンと呼ばれる魔物は、海の神とも言われる"神龍リヴァイアサン"以外は存在しない。

それが、この可食リストに載っているという事は、食べられるという事。

食べられる事にも驚きだが、それを誰かが討伐して来たという事実に、アーリャは手が震えた。

護衛2人は、可食リストを見たまま唖然としている。

「リヴァイアサンは食べられるのか……いや、そもそも討伐って……」

アーリャは信じられないとか、何かブツブツと言っている。

フェリクス王が討伐したとは誰も言っていないのだが、アーリャ達は勝手にフェリクス王だと考えたらしい。

まさかと思わない辺り、やはりフェリクス王の強さは規格外だと、誰もが周知する事実なのだろう。

「そうよ! 素材よ!! リナ、何か素材は持ってないの!?」

リヴァイアサンマヨネーズこと、リヴァマヨでうやむやになったが、リヴァイアサンの身があるのなら、素材もあるハズだとアーシェスは思い出した様だ。

「あるんでしょう!?」

莉奈が持っている事に、何故か確信を持っているみたいだった。

正直なところ、あるかないかと言われたら、莉奈は持っている。

キラキラ選手権をやった時、王竜がリヴァイアサンを討伐して来たので、それを軍部の人達が解体し、シュゼル皇子経由で莉奈も素材を少し貰ったのだ。

身は食べるのでもちろん大量に、後は鱗数枚と腹ビレが数本である。

きっとアーシェスが欲しいのは、この"鱗"とヒゲみたいに長い"腹ビレ"だろう。

貰った時にチラッと【鑑定】して視たらーー

【リヴァイアサンの鱗】

見る角度により、何色にも見える不思議な鱗。

薄くて柔らかいが、軽くて超強固。

〈用途〉

個体により効力は違うが、全属性の魔法を弾き飛ばすほどの付与を持つ。

また、刃も通し難いため、防具などに向いている。

〈その他〉

食用ではない。

破片を持っているだけでも、ある程度の魔法を弾く効力がある。

【リヴァイアサンの腹ビレ】

進化した腹ビレは、ヒゲの様に細長く、数十メートルにもなる事もある。

軽くてしなやかだが、超強固。

〈用途〉

個体により効力は違うが、全属性の魔法を弾き飛ばすほどの付与を持つ。

また、刃を通し難いため、武器などに向いている。

腹ビレは魔石の様に魔力を溜められ、その溜めた魔法を使う事が出来る。

〈その他〉

食用ではない。

破片を持っているだけでも、ある程度の魔法を弾く効力がある。

腹ビレの魔力吸収量は個体差による。

鱗は盾か鎧など防具に向いていて、腹ビレは鞭とかモーニングスターみたいな武器に向いてそうだなと、莉奈は勝手に想像していた。

破片ですら魔法を弾くのであれば、他の武器や防具に付ければ、魔法付与みたいな効力がありそうだ。

きっとアーシェスの師匠であるバーツも、喉から手が出る代物だろう。

「持っているのね!?」

莉奈が黙っていたら、アーシェスが身を乗り出した……が、フェリクス王に一蹴されていていた。

「欲しけりゃ、自分で狩って来い」

「無茶言わないでよ!! どこにいるかも分からないのに」

「どこって海だろうが」

「そんな事は分かってるわよ!! 海のどこなのかって言ってるの!!」

そんな事が言いたい訳ではない。リヴァイアサンは"海の神"なのだから、海に棲息している事ぐらい誰でも知っている。

問題は、海中にいるリヴァイアサンをどう見つけるかって話だ。深海にいるリヴァイアサンを、目視で見つけるのは絶対に無理だ。

「海でフラフラしてりゃあ、会えんじゃねぇの?」

「適当な事を言わないでちょうだい!」

フェリクス王の適当な返答に、アーシェスは反論していた。

犬や猫じゃあるまいし、散歩感覚でフラフラしても会える訳がない。

「大体、出会ったとして倒せる訳がないし」

「対峙した事もねぇのに、倒せねぇもないだろ」

「あのねぇ、フェリクス。あなたじゃないんだから、普通は陸にいない魔物と戦うのは難しいのよ」

アーシェスは唸っていた。

フェリクス王はともかくとして、人が足場のない海上で戦うのには無理がある。

何故なら、リヴァイアサンが何もしなくとも、海上に顔を覗かせただけで高波が起きるからだ。その起きた高波から逃れるのは難しく、船なんて簡単に転覆する。

たとえ、その高波から何とか免れたとしても、リヴァイアサンが海中に沈めば、今度はそこに大きな渦が出来る。海原に出来た渦は、まるで排水口の様に、船を吸い込んで行くのだ。

戦う戦わない以前に、出会った瞬間に終わりである。

ーーだけど、莉奈は思う。

フェリクス王なら「面倒くせぇな」と舌打ちしながら、サクッと倒しそうだ。だって史上最強の"魔王様"だもの。

陸は言わずもがなだが、海や空だけでなく、地中すら関係ない気がする。

そのフェリクス王に倒せない魔物がいたとしたら……それこそこの世の終わりだろう。

莉奈がボンヤリと、そんな事を考えていたら、何か遠くの方から声が聞こえてきた。