軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

591 美味しいモノは、また食べたくなるモノ

「からあげかソテーかな」

ランデル達が狩り獲って来てくれたサルコスを、 魔法鞄(マジックバッグ) にしまい、ホクホク顔の莉奈。

味が鶏肉よりなら、まずはからあげにして、淡白なら身を裂いてサラダにしてもイイ。白身魚に似ているならバターソテーもありだ。

「ワニのソテー」

莉奈の呟きを聞いていたアーシェスは、想像してみるが、まったく頭に浮かばない。

味もさることながら、身の色やどんな形で皿にのるのか、サッパリである。

「あ」

ワニ料理に思いを馳せていた時、莉奈はそうだと思い付く。

「ランデルさん、今日の晩御飯、何がイイですか?」

「え?」

「さっきのワニのお礼に、肉とか魚とかリクエストがあれば、それを晩御飯に……」

別に莉奈が欲しいと願った訳ではないが、狩り獲って来てくれたし、ちょっと興味があったからヨシだった。だからお礼をと考えたのである。

本当なら何が食べたいか訊きたいところだけど、この世界の料理名を言われても分からない。なので、ザックリと肉か魚か訊く事にした。

ランデル達は嬉々とした表情で、顔を見合わせると元気な声でこう言った。

「「「焼き肉!!」」」

余程、昨夜の焼き肉が気に入ったらしい。

「あぁ、タン塩堪らなかったですよねぇ」

「カットステーキも、柔らかくて美味しかったわよね」

ランデル達が焼き肉だと言うものだから、ローレン補佐官やアーシェスも昨夜の焼き肉を思い出していた。

炭の芳ばしい香り、コリコリとした心地良い歯応えの牛タン。肉汁たっぷりのカットステーキ。甘辛醤油ダレと卵のコンボのロース。柔らかくてジュシーなバラ肉カルビ。

「「……」」

今、ここに焼き肉はないが、思い出しただけでお腹が空く。

皆の思いは、昨夜の焼き肉に馳せていた。

「あはは、2日連続焼き肉かな」

莉奈的には、まだまだ備蓄があるから構わない。

しかし、正直なところ、他の料理も用意してあるから食べて欲しいなと思う。

だが、結局は食べる人が食べたい物を食べるのが一番である。フェリクス王達はどうかなとチラッと見たら、ランデル達の意見に誰も抗議しないどころか、各々推し肉を想像している様だ。

まぁ、他にも食べたかったら出せばイイし、とりあえず晩御飯は全員焼き肉だなと、莉奈は笑うのだった。

◇◇◇

ここは、終わりの見えない大草原。

巨大ワニ、サルコスが遠くの方にチラッと見えたり、空には時々マルガイラが飛行しているが、こちらを襲って来る気配はまったくない。

表皮がやたら硬いサルコスは、他の生き物に襲われるリスクが少ないのだろう。鼻歌でも聴こえそうなくらいに、のんびりと歩いている。

耳を澄ませば、どこかで何かの鳴き声がするが、隠れているのか近くにいないのか、まったく姿は見えない。

万が一襲って来る様な事があってもフェリクス王はいるし、ランデル達の護衛もある。莉奈は怯える必要すらないので、サルコス同様のんびり散策気分であった。

「しかし、休憩がマジでないとは」

動物にしろ魔物にしろ、夜行性が多いので、昼間に進めるだけ進んだ方がイイとの事で、食事休憩すらなくノンストップだ。

フェリクス王に言わせれば、お前達がいなければ、とっくに目的地に着いていると思っているだろう。

その兄王に、揉まれに揉まれて育っているエギエディルス皇子は、退屈な表情はしているけれど、足腰はまだまだ大丈夫そうだ。

ローレン補佐官は軍部で鍛えているから、余裕がありそうだけど、アーシェスはどうなのだろうか?

そう思って莉奈がチラッと見ればーー

「リナじゃないけど、さすがに脚が疲れてくるわね」

悲鳴を上げる程疲れてはいないが、ウクスナ公国に着いた途端に倒れそうだと、アーシェスがボヤいていた。

「好きに休憩してイイぞ?」

「こんな所で1人でいたら、跡形もなくなるわよ!」

休憩したければ勝手にすればイイと言うフェリクス王に、アーシェスは文句を言っていた。

フェリクス王は休憩しないと豪語しているのだから、休憩してイイ=置いて行くという事なのだろう。

冒険者のランデル達ならともかくとして、莉奈やアーシェスはココに置いて行かれたら……想像すらしたくない。

「疲れたら 魔法鞄(マジックバッグ) に入れてやろうか?」

そう言って莉奈を見たエギエディルス皇子。

本来なら、兄王みたいに「抱っこしてやろうか?」とイイたいところだが、力のないエギエディルス皇子には無理だ。

冗談半分配慮半分なのだが、そんな配慮はアーシェスはおろか、莉奈にすら伝わる訳がなかった。

シュゼル皇子じゃあるまいし、中がどうなっているのか分からない所に入りたくはない。莉奈は微妙な表情だった。

「おんぶして」

「俺を殺す気か」

そう莉奈が冗談で返せば、エギエディルス皇子は大袈裟に怯えて見せた。失礼である。