軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

585 莉奈に会ったが運のツキ

「いってきますってちょっとぉ!?」

「え、嘘ぉォォッ!?」

「リナさ〜ん?」

ランデル達は、まさかの莉奈の行動に初動が遅れた。

莉奈の護衛要員として付いて来ているのだから、ここは真っ先に追うのが正解だ。だが、フェリクス王の言葉は冗談だと思っていたし、まさか本当に莉奈が向かうとも想定していなかった。

ランデル達は、思考と共に置いてけぼりである。

そんなランデル達をよそに、莉奈は猪突猛進を絵に描いた様に走って行く。ジャッカルンロープは莉奈が来ると思っていなかったのか、臨戦態勢にすら入っておらず、可愛らしいまん丸の目をさらに丸くさせている。

そして、猛スピードで距離を縮めて来る莉奈に、ゾワゾワと背中の毛を逆立てていた。

人の言葉を借りるなら、まさに肌を粟立てるである。

戦うかどうか考えていたのに、単身で莉奈が向かって来た。想定外過ぎる莉奈の行動に、彼らも遅れを取ってしまったらしい。

となれば、ジャッカルンロープの咄嗟に出来る行動はただ一つ、"逃走"だ。

数匹で群れをなしていたジャッカルンロープは、我先にと莉奈から距離を置こうと、右へ左へと様々な方向へ飛び跳ねていた。

「とりゃあぁぁーーっ!!」

集団が慌てて逃げ回れば、逃げ遅れるモノがいるのは人も魔物も同じ。

それを逃がす莉奈ではなく、群れから離れたジャッカルンロープに飛び蹴りをかました。

「ピギャーーッ!!」

破壊力のある跳び蹴りを、まともに喰らったジャッカルンロープは、聞いた事のない悲鳴を上げながら、数メートル先に吹き飛んでいた。

数秒ピクピクとした後、口から泡を吹いて微塵も動かなくなったジャッカルンロープ。

「ピギャ!」

「ピギッ」

その仲間だったモノの姿をチラリと見てしまった彼らは、さらなる恐怖に襲われたのか、パニックに陥っていた。

何も考えず一目散に逃げればいいのに、どうしてイイのか分からなくなったらしい。変な奇声を上げてあちらこちらと逃げ回っている。

「地獄絵図とはこの事だな」

その様子を見たエギエディルス皇子は、ポツリと呟く。

元より足が遅いジャッカルンロープは、バラバラに逃げたところで逃げきれず、次々と莉奈に捕まっては倒されている。

例の武器ナックルダスターを装備した莉奈は、まさに無双。

兄王は、厄介なモノを莉奈に渡したなと、エギエディルス皇子はため息を吐くのであった。

「マルガイラが来る」

莉奈無双を、観戦していたローレン補佐官。

クルクルと徘徊していたマルガイラが鳴き止み、翼を折り畳み急下降する姿をフェリクス王達同様に捉えた。

ランデル達も、つい暢気に観戦しようかと思っていたが、コレでは多勢に無勢だ。

莉奈を助け……いや、手助けしようと走り出した時、マルガイラがガシリと何かを掴む姿が見えた。

「「「あ」」」

「私の食材を奪うなーーっ!!」

そう、奴らは莉奈を掴んだ訳ではない。莉奈の倒した獲物を奪ったのである。

それに怒ったのは莉奈だ。グルグル上空で旋回して観察していたと思ったら、倒したジャッカルンロープを横からスッと掠め取る。そんな行動を許す訳がない。

「返せーーっ!!」

マルガイラに向かって爆走した莉奈は、近くにあった大きな岩を見つけ瞬時に飛び乗ると、思いっきり地を蹴った。

ナックルダスターの補正効果も相まって、木よりも遥か高くに莉奈は飛ぶ。だが、その素早い動きを、マルガイラは捉えられなかった。

マルガイラは自分に向かって来たハズの莉奈が、目の前からスッと消えて見えたため、キョロキョロと一瞬辺りを探す素振りを見せてしまった。

その消えた莉奈が、まさか上から降って来るとは、想像すらしなかったのだろう。

この隙が完全に勝敗を分ける形となった。

マルガイラがハッと気付いた時にはすでに遅く、次に莉奈の姿が見えた時には、首に感じた事のない激痛とゴキリという奇妙な音がした。

そう、莉奈の十八番、踵落としである。マルガイラはまともに首に喰らい、潰れた様な声を上げて地に落ちたのであった。

「「「え? リナさん、強すぎなんですけどーーっ!?」」」

「俺達の意味は?」

「ねぇ、もしかしなくても、今参戦する方が邪魔じゃない?」

「だな。だけど、うん。獲物の回収くらいしておこう」

それを見たマルガイラ達は、莉奈に攻撃するのは無理だと察し逃走したが、血の匂いや気配で他の魔物が来る可能性がある。

莉奈なら何も問題なさそうだが、こうなるとキリがない。

ランデル達は、莉奈の戦闘の邪魔にならぬ様注意しつつ、倒された魔物をいそいそと回収するのであった。