軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

584 食物連鎖の頂点に立つ者

顔面蒼白になっていたランデル達は、しばらくして普通の店で食べたのなら大丈夫だと聞き、息を吹き返していた。

「もう、リナさんのからあげの味が分からなくなったぁぁぁ〜」

そう嘆くのはマリサである。

ネズミのインパクトが強過ぎて、さっき食べたばかりの美味しい味が頭から吹き飛んだらしい。

「ネズミってどんな味なんだろう?」

「ネズミの味を気にするなんて、バカじゃねぇの?」

食べてイイ物かはともかくとして、ネズミを食べた事のない莉奈は、純粋にどんな味がするのか気になって呟けば……その呟きを聞いたエギエディルス皇子が、ものスゴく嫌そうな表情をしていた。

ネズミだったのかもと震え上がっているランデル達と真逆で、莉奈は興味津々。近くで聞いていたアーシェスですら、身震いしている。

食に対する莉奈の貪欲な姿に、驚愕を通り越して恐怖すら感じるらしい。

話している間にも木の密集度は低くなっていき、点々と木が生えている草原に出れば、途端に莉奈は遠くの方に、何か白い生き物がピョンピョン跳ねているのを目視した。

「ウサ……トナカイ?」

何故、疑問系なのかといえば、フォルムはウサギっぽいのに、頭に枝分かれした立派な 角(ツノ) が2本生えている。しかし、パッと見た感じ、ウサギより遥かに大きい。

「"ジャッカルンロープ"」

「ジャッカルンロープ?」

「ウサギに似た魔物」

稀少種で滅多に出遇わないのだと、エギエディルス皇子がそう教えてくれた。

小さければ可愛いかもしれないが、シカみたいに大きなウサギは可愛くはない。オマケにあんな立派な 凶器(ツノ) を持っているのだから、当然迂闊に近づけば、突進攻撃されるのは必須だろう。

「ウサギならシチューかな」

「「「……」」」

攻撃されたら怖いけど、食べられるかもしれないし興味はあるよね。

他国では、ウサギ肉を角煮やバーベキューに使うらしいけど、莉奈は煮込み料理のイメージが強かった。

寒い冬に雪山で、捕まえたウサギを鍋でコトコト煮込む……そんなシーンがふと浮かぶ。

「魔物を見てそんな感想を言うのは、どの国探してもリナしかいないわね」

「シチュー」

莉奈のその思考に、呆れよりもはや感服さえするとアーシェスが笑っていた。

その隣では、ローレン補佐官がシチューを想像している。

魔物を見つけても怯えないどころか、稀少種だろうが即時食べる方向にベクトルを向ける莉奈には驚くばかりだ。

どう考えてみても莉奈の目は、魔物を見る目ではない。だからといって、狩人の目でもない。

どちらかと言うと、魔物が人間をターゲットに選んだ目。いや、先程ランデル達がからあげを見た時の目に似ている。

これでは、莉奈と魔物のどちらが捕食者か分からない。

自分達が食べるか食べないかはともかくとして、ジャッカルンロープに興味津々の莉奈に、フェリクス王は思わずこう言った。

「行ってこい」と。

行ってこいと言われたところで、コレが普通の令嬢なら、フェリクス王に抗議するか、怯えて見せるだろう。

しかし、そこは何モノにも恐れを見せない莉奈である。

いそいそと、 魔法鞄(マジックバッグ) をあさり始めた。

シカのツノを持ったウサギの魔物"ジャッカルンロープ"の戦闘力は、スライムとは全然違って高い。

だが、スライムの変異種を単独で討伐する莉奈には、あの魔物は強い部類には入らないだろう。

むしろ、莉奈に見つかったウサギの魔物に同情する。

魔法鞄(マジックバッグ) から、例のナックルダスターを取り出し両手に装着すると、満面の笑みで振り返り手を振った。

「いってきまーす!」と。

まるで散歩にでも行く様な軽い挨拶を交わし、ジャッカルンロープに猛突進して行く。