作品タイトル不明
576 王家根絶やし?
「お前……」
王子(プリンス) スライムの横に、デンと置かれた 王女(プリンセス) スライムを見て、エギエディルス皇子がもう何も言えなくなっていた。
それはスライムであってベッドではないと、言う気さえおきない。
「イイから試してみなよ!」
嬉々として、新たなベッド……もといスライムを勧める莉奈に、エギエディルス皇子はため息すら出なかった。
だが、莉奈は良くも悪くも、何を言われようがマイペースだ。
コレでイイと口にするエギエディルス皇子などお構いなしに、 王女(プリンセス) スライムの上に新たなシーツを被せ、さぁどうぞと手を差し出した。
「よいしょ〜!」
莉奈を無視したところで、エギエディルス皇子に勝てる訳もなく……。
王女(プリンセス) スライムの上に、ポンとのせられた。
———ぽふん。
「……っ!」
文句を言いつつも、王子スライムとはまた違った感触に、エギエディルス皇子は目を見張った。
今、寝ていた王子スライムがポヨンポヨンなら、この王女スライムはポフポフ。見た目は色違いなだけなのに、感触は全然違った。
「どう?」
「コレはコレで……まぁ、うん」
散々文句を言って拒否していただけに、素直に気持ちいいとは言えない。
目を瞑れば、優しく何かに支えられている感触だ。もちろん、現実にスライムに支えられているのだけど。
「でしょでしょ!? 王(キング) スライムもあるよ?」
莉奈はそう言って、さらに隣にそれより大きな王スライムをドカンと並べて見せたではないか。
「あるよじゃねぇ」
「「「……」」」
エギエディルス皇子は呆気に取られながらも、ツッコんでいたが、皆は絶句である。
莉奈がスライムの新種、変異種を見つけて1匹倒して来ただけでも衝撃なのに、何匹も……。
その種類の豊富さに圧巻である。もはや、何をどう返すのが正解かも分からず、言葉が出てこなかった。
だが、莉奈はそんな皆など気にしない。
「王といえばもちろん……じゃーん! 王妃(クイーン) スライムです!!」
ドスンともう一つ……いや、もう1匹取り出して見せたのだ。
王、王妃、王子、王女……家族か定かではないが、王族勢揃いである。
「王家根絶やしかよ」
もう何も言えなくなった末弟の代わりに、フェリクス王がツッコミを入れていた。
そう。まさしくスライム王家皆殺し。
遠巻きで見ていたランデル達も含め、全員ドン引きである。
もはや"スライムハンター"と化した莉奈に出会ったが最期。たまたま出会ったスライム達に、フェリクス王は同情するしかなかった。
◇◇◇
ちなみに、" 王(キング) スライム"の色は、濃い紫色をしている。
コレも王子王女同様に、ラメが入っているが、色は金色。よく見ると王子王女より、ラメの量が多いのは王だからかもしれない。
感触は——
【高反発クッション】
まるで、逞しい者に背中を支えもらえている様な、安心感たっぷりの感触。
その座り心地や寝心地は、王をもダメにすると言われている。
" 王妃(クイーン) スライム"の色は、半透明で淡いオレンジ色をしていた。
王と同じくらいにラメが入っているが、こちらは銀色みたいだ。キラキラと輝いていて、王と同じくらいにキレイである。
感触は——
【超軽量羽布団】
乗っているのに乗っていない様なそのふわっふわの感触は、まるで空に浮かぶ雲の上に乗っている様な気分に。
その座り心地や寝心地は、王妃をもダメにすると言われている。
「……スライムの上に座る日が、来るとは……な」
莉奈の熱意に負け、フェリクス王は 王(キング) スライムの上にゆったり座っていた。
通常スライムが"小"なら、王子王女スライムが"大"。王妃スライムは"特大"だろう。そして、この王スライムは、"超特大"サイズである。
身長が180を軽く越えているフェリクス王が寝そべっても、まだまだ余裕がありそうだ。
座っても適度に跳ね返す、高反発の心地よい感触に、フェリクス王もぐうの音も出ない様だった。
まさしく、王をもダメにする感触みたいである。