軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

43 リナ教祖になる?

ジャンケンに勝った者による、勝利の "美酒" ならぬ勝利の "甘味" タイムが始まった。

「うっまぁ~。すげぇ。あの石の様なパンが甘味だよ!!」

「プリン? だっけ、これも超美味しい!! 甘くてプルプル!!」

「下の茶色いの、甘くて苦くて美味しい!!」

「チョキ出して正解!」

「コッチ一口あげるから、ソッチも一口頂戴!!」

「いいよ~」

「「「………………チッ」」」

ジャンケンに負けた人達は、恨めしそうに見て舌打ちさえしていた。ただ味わっているだけなのだが、これ見よがしに見せびらかしたりしてる様に見えるのかもしれない。

……今度は、生クリーム入れて、ちゃんと布巾でこそう……。

莉奈は、そんな騒ぎも耳に入らないのか、次はなめらかプリンを作ろうと考えていた。

「あー今日も疲れた」

皆が変な騒ぎを起こしている中、ドヤドヤと数人の警備兵が入ってきた。

「何? なんか甘い匂いが……」

「あー!! 何ソレ! どしたの!?」

警備兵の女の子が、鼻を利かせ目敏くプリン、フレンチトーストを見つけた。いつもと違う匂い、見目が違う物、それらに気付くのは遅かれ早かれだっただろう。

「「「あーーーーーーー!」」」

料理人ほぼ全員が、驚愕し同時に叫んだ。どうやら、警備兵……いわゆる、衛兵達の夕食の時間になっていた様だ。莉奈の作る物に夢中になっていて存在を忘れていたらしい。

「ねぇねぇ!! ソレ、今日の晩御飯?」

と誰かが訊けば

「……え……さ……さぁ?」

「…………ど、どうなんだろ?」

と言いながら近くにいた人は勿論、皆は持っていたプリン、フレンチトーストを、取られないように囲む。もうガッツリ見られてるし今更感たっぷりだが。

「ねぇねぇ? 何ソレ?……なんで隠すの?」

警備兵の女の子が、キョロキョロする。騒ぎも収まり持ってる人は一斉に隠す様な態度を取り始めた。取られまいとしているのだ。

「リ~ナ~あれな~に?」

警備兵の女の子が、莉奈を見つけ駆け寄ってきた。

アンナというこの少女、莉奈の住んでいる離宮の警備兵でもあり顔見知りである。

「なんだろうね~?」

自分で作ったくせに、すっとぼける。

「なんだろうね、じゃなくてなんですか? 私にも頂戴!!」

と、当然の言葉と手がアンナから出る。

「ないよ?」

もう自分のは、食べちゃったし……作る気もない。周りのみんなは隠してて分からないが、コイツ等があげる訳がない。

「なんでないの~~~!?」

大ブーイングだ。

「あれ、シュゼル殿下に御出しした、残りだからないよ」

諦めるかな……と、シュゼル皇子の名前を出してみる。

「リックさ~ん、食べたいです!!」

と、今度はリックに向きお願いするアンナ。リック料理長が作ったと思っているらしい。

「……それ、リナが作ったから私は作れないよ」

リックは苦笑いして莉奈を見た。自分のフレンチトーストは手で隠して……。

……リックさん……ジャンケンに勝ったんですね……。

って、おい! こっちに会話を投げんなよ!!

「リ~ナ~?」

「…………はぁ」

ため息をつき、どうしたものかな……と悩む莉奈。

だってコレ、アンナに作れば、必然的にあそこにいる警備兵にも作らなきゃいけなくなるパターンでしょ?

…………クソ面倒くせぇ~!!

「リ~ナ~」

「本日の営業は終了しました」

開店したつもりもないけど。

「リナ!! お願いします」

アンナは必死に手を合わせた。こうなってくると、ちょっと悩む。鬼じゃないからアンナくらいなら……と思わなくもない。

「う~~~~ん」

と考えているとアンナはガバッと土下座した。

「えーーーーっ!?」

「食べたいの!! お願いします、神様、リナ様!!」

………………。

……そんなにか! そんなに食べたいのか……!!

莉奈は、呆れ半分、その食べ物に対する執着に感服し

「あ~……なら、チーズオムレツなら……」

と立ち上がろうとした瞬間……ガタガタとイスから立ち上がる音がそこらからした。

「ーーーえぇ~~~~~!?」

「「「私達にも、作って下さい!!」」」

そこには、ジャンケンに負けた人達がいた。

そう、同じく土下座をして……。

アンナが土下座をした事で、作って貰えると勘違いしたらしい。

「リ~ナ~様~!!」

「お願いします~~!!」

「リナ様~我々にも、チーズオムレツを~!!」

「「「チーズオムレツを~」」」

「リナ様~」

「「「チーズオムレツを~」」」

「リナ様~」

「「「チーズオムレツを~」」」

…………。

……なんだ……これ。

新手の宗教か?

「「「…………っ!!?」」」

その後から入ってきた警備兵達は一様にその異様な光景に絶句し畏れをなした。

それも当然だ。食事をしに食堂に来てみると、一人の少女を崇める料理人達と警備兵達の姿がそこにはあったのだから……。