軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

296 嘘は言ってないよ?

「モモ肉のカツ? これもすげぇ旨かったし、ブロッコリーのピリ辛炒めもサラダより好きかも」

そう言って、食後の紅茶を満足そうに飲むエギエディルス皇子。

たっぷり用意したステーキや一口カツ、カルビは、2人でペロリと平らげていた。

エギエディルス皇子は幸せそうな笑みを浮かべている。

「で?」

何の肉なんだと、フェリクス王が莉奈を見た。

気にならない訳ではないらしい。

「1、ブラッドバッファロー。2、ブラックブル。3、ブラッディーバイソン」

「やっぱり魔物かよ」

「魔物だね〜。魔物って美味しいね」

莉奈が問いを出せば、エギエディルス皇子が呆れ笑いをしていた。

予想してはいたけれど、やはり魔物の肉だったのかと。

「正解したら、何かくれるのかよ?」

水では満足しないフェリクス王が、思わせ振りに見てきた。

問題を出しちゃったし、仕方がないノってやろう。

「夕食でよろしければ、新作のカクテルを」

「ツマミも付けろ」

「承知致しました」

どんだけお酒が好きなのかな?

莉奈は笑ってしまった。

エギエディルス皇子は俺には? って 表情(かお) をして見てきたので、新しいジュースとお菓子を用意すると約束した。

もちろん、執事長のイベールにはフェリクス王と同じ物を用意するよ。

「ヨシ。当ててやる」

意気込んだエギエディルス皇子。

正解した時のご褒美が欲しいのもあるかもしれないけど、普段ない問いが面白いのだろう。

「フェル兄はなんだと思う?」

「想像もつかねぇよ」

「牛っぽいヤツが正解かな?」

「どれも牛と言えば牛。否と言えば否だな」

大体、どいつも最近見てねぇ……と愚痴を漏らしていた。

魔物も逃げ出す魔王様、ご健在ですか。

「1つ訊くが、これは多数決なのか?」

「いいえ」

多数決とは言っていないと、フェリクス王に莉奈は答えた。

多数決にしたらモメるでしょう?

「ちなみに、これを狩って来た者はこの魔物を "黒牛" と言っておりました」

まぁ、全然参考にはならないけどね。

「黒牛? 黒牛って言ったら、ブラックブルだろ」

「ブラッディーバイソンも黒牛の類いだな」

「角の形状からすれば、より牛に近いのはブラッディーバイソンではないでしょうか?」

エギエディルス皇子、フェリクス王、執事長イベールは莉奈の言葉に翻弄されていた。

まさか、アンナが褐色の毛まで黒牛と言っているとは思わないだろう。

「結論は出ましたか?」

「ブラックブル一択!」

「「ブラッディーバイソン」」

エギエディルス皇子はブラックブル。フェリクス王とイベールはブラッディーバイソンで分かれた様だ。

莉奈は思わず口が綻んでしまった。

だって正解者がいないんだもん。

「正解はーー」

「正解は?」

「ブラッドバッファローでした。残念」

期待するエギエディルス皇子には悪いけど、誰も正解しなかったよ。残念。

「はぁぁ!?」

エギエディルス皇子は目を丸くしていた。

自分が当たるとまではいかなくても、誰かは当たるだろうと思っていたのだ。

なのに、まさかの全員不正解。納得がいかない。

「ブラッドバッファローだって言うのかよ!?」

「だね〜」

「ブラッドバッファローは褐色だろう!!」

「みたいだね〜」

「みたいだねじゃねぇよ。お前、これを狩って来たヤツは黒牛だと言ったって言ったよな?」

「言ったよ?」

「マジで言ったのかよ?」

エギエディルス皇子は完全に疑っている。

「マジ。大マジ」

「なら、そいつをココに連れて来い。この俺自ら黒牛のなんたるかを教えてやる」

エギエディルス皇子はハズレた事より、褐毛を黒牛と言ったアンナの方に憤りを感じるらしい。

どうしたら間違えるのかと。

「アハハ。白竜宮でも皆に責められてたよ」

まぁ、それでもアンナは何のそのだったけれど。

「リナ。あなたが余計な事を言わなければ良かったのでは?」

執事長イベールが、真っ当な意見を言った。

そうなのだ。莉奈がアンナの話を持ち出したからこそ、黒い牛だと思い選んだのだから。

「え? でも、狩って来た人の意見は必要ではありませんか?」

「「必要ねぇ」」

莉奈が白々しく言えば、王兄弟の不服そうな声が聞こえた。

「まぁ、人の意見に惑わされるなと言う事ですよ」

莉奈はアハハと笑って誤魔化した。

……が3人に睨まれたのは言うまでもなかった。