作品タイトル不明
293 黒牛さんだよ〜?
「なんか随分と偏ったね?」
全員が分かれたのを見た莉奈は、3択の割に1つに集中しているなと思った。
「ブラッドバッファローはアレは焦げ茶、褐毛だろ。だから、黒牛さんじゃねぇだろう」
「ブラッディーバイソンは黒牛だけど、群れをなす事が多いからアンナには無理だな」
「と、言う事でブラックブルにした」
近衛師団兵達は、そういう理由で過半数がブラックブルにいた。
「近衛師団兵達がそう言うなら、ブラックブルじゃないかなと俺はコレに決めた」
「たまたま倒せてブラッディーバイソンの可能性もあるかも」
「いや、どこかオカシイのがアンナだ。褐色の毛なのに、黒牛とか言っているに違いない。俺はブラッドバッファローにする」
サイル達は近衛師団兵の話を聞きながら、アンナの性格も考慮して答えを出した様だ。
見た感じは、微妙にブラッディーバイソンが多い気がする。
しかし、酷いイイようだよね?
「リナ〜おかわり頂戴?」
悪口に近い事を言われているのに、気にしないマイペースなアンナは皿を持ち上げた。
「なんか別の料理にする?」
ステーキだけじゃ飽きるかな? と莉奈は提案する。
「リナに任せる〜!!」
「んじゃ、任された」
ついでにフェリクス王達のも作ろうと、莉奈は席を立った。
「皆も、えっと……作ってくるから待ってて」
まさか、皆のは後なんて、さすがにこれ以上は言えない。
「「「了解!!」」」
莉奈がそう言うと、正解かもしれないグループごとに分かれて着席し始めたのであった。
◇◇◇
「お待たせ〜」
莉奈が作った料理を 魔法鞄(マジックバッグ) に入れて、食堂に戻って来てみれば……揉めていた。
休憩中に莉奈がコッチに来ているのを知り、何か作るに違いないと来た様だ。ここにいる近衛師団兵達は後から来た者達を無視していたが、莉奈が厨房で何か作る音と匂いでバレバレの様だった。
「俺達にもくれよ」
後から来た軍部の人や他の近衛師団兵達が、莉奈に詰め寄って来た。
「やらん」
莉奈は慣れているので、ぶった斬る。
だってキリがないし、肉が減る。
「「「リ〜ナ〜」」」
冷たい言われ様に、貰えない軍部の人達は悲しい声を上げた。
少し強く言えば貰えるかもと思ったが、ある意味百戦錬磨の莉奈には効かなかった。
「はい、お待たせアンナ。ステーキのおかわりと、モモ肉のカツだよ。カツには、ハーブの塩、レモン、玉ねぎのソース、色々あるから付けて食べてみて」
「やった〜!! ありがとうリナ」
莉奈がおかわりのステーキと、モモ肉のカツや色々なツケダレを用意して取り出すと、アンナは歓声を上げ他の人達からはため息が漏れていた。
本当ならカツにはヒレ肉が良かったけど、捨てたみたいでないんだよね。だから、少し固いかなとフォークで軽く穴を開けて下処理しといた。
アンナさん、捨てないでよ。
そして、皆はステーキやカツの堪らない匂いに再び生唾が溢れるのだった。
こうなると、一種の肉テロだ。ステーキって、肉を食べたい時には最高だよね。ダイレクトに肉を感じるから、脳が満足するし。あ〜最高!!
さて、ステーキを正解者に渡そうと振り返り、莉奈はたまたま目の合ったサイルに訊いた。
「えっと、サイルは何選んだの?」
「ブラッドバッファロー」
「俺達はブラッディーバイソン」
「ブラックブル」
莉奈がサイルに訊けば、周りの人達も手を挙げてアピールしてきた。
その声にチラッと周りも見てみれば、サイルのグループは他のグループより人数は少ない。運がイイね。
「おめでとう。サイル」
莉奈はサイル達、ブラッドバッファローチームの前にサーロインステーキとモモ肉の一口カツを置いた。
もちろん、量は少なめだけどね。
「おめでとう……って事は、正解なんだな!?」
嬉しそうに顔を綻ばせながらも、まだ信じられないのかサイル達は莉奈に確認していた。
「大正解だよ」
「「「ヨッシャー!!」」」
再度正解と言われサイル達のチームは、拳を掲げ大歓声を上げた。
だが、対照的なのがハズレたチームである。
美味しそうにモモ肉のカツを頬張るアンナに詰め寄った。
「お前 "黒牛" さんって言ったじゃねぇか!!」
「黒牛さんだよ〜?」
「ブラッドバッファローは褐色の毛だろうよ!?」
「え〜? 黒牛さんだよ」
「アレは褐色、褐毛なんだよ!!」
「そんなの知らないもん。黒牛さんは黒牛さんだもん」
「「「クッソー!! アンナの言葉を鵜呑みにするんじゃなかった!!」」」
負けた軍部の人達は泣き崩れた。
アンナの頭の中は、黒牛=黒毛ではないらしい。焦げ茶色、いわゆる褐毛ももれなく黒牛となる様だった。
皆が悔しそうに恨めしそうに睨む横で、アンナはまったく気にする様子もなく「黒牛さん美味しいね〜」とモグモグと食べ続けていたのであった。