軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

292 サーロインステーキとカルビで舌鼓

「ウッホー、旨そうな匂い」

「それ、ひょっとして牛肉じゃね!?」

「牛肉なんか、俺食った事ないや」

出来た料理を持って莉奈とアンナが食堂に行くと、先程ゲオルグ師団長の番の部屋を改装した近衛師団兵達がいた。

「あ。皆の事スッカリ忘れてた」

莉奈は皆の顔を見て、ご褒美を作るって話を今思い出した。

アンナが牛肉なんかくれちゃうから、テンションが上がって皆の事なんてマジで忘れてたし。

「「「はい!?」」」

忘れていたと言われた近衛師団兵達は、アホみたいに口をポカンと開けていた。

さっきの今で、忘れられるとは微塵も思わなかったのだ。

「コレ食べたら、なんか違うの作るから、後1時間くらい待っててくれるかな?」

そう言って、莉奈はアンナと一緒に席に着いた。

「はぁぁァァッ!?」

「何か違うのって、それじゃねぇのかよ!!」

「忘れてたって何だよ!!」

「「「見せるだけとか悪魔か!!」」」

近衛師団兵達は大ブーイングだ。

ご褒美が食えると思って来たら、忘れていた、コレは違うと言われ近衛師団兵は文句を溢していた。

目の前にめちゃくちゃ美味しそうな、ごちそうがあるのに食べられないなんて最悪である。

「うんま〜っ!!」

「スゴイ美味しいね!! リナ!!」

皆のブーイングなど気にも留めない莉奈は、アンナと一緒にサーロインステーキをパクリと頬張っていた。

蕩ける程の柔らかさ……は大袈裟だけど、筋が全然ないから口の中で少し噛むだけですぐ切れる。

噛むと口の中が肉汁で溢れ、肉の美味しさが広がっていた。

脂もちょうど良いノリ方で、しつこくなくホイホイと幾らでも食べれそう。

醤油があったらさらに良かったのだけど、これはこれで美味しいからヨシとする。

莉奈は久々の牛肉に、頬も緩みご満悦である。

「「「無視して食い始めてんじゃねぇ!!」」」

莉奈とは対照的な近衛師団兵は、堪らずにツッコミを入れた。

皆のブーイングなんか気にしないで、モグモグ食べているものだから、ツッコまないではいられなかった。

「リナリナ。コッチのお肉もすっごく美味しいよ!!」

「大体なんで、アンナが当然の様に一緒に食ってんだよ!!」

アンナがカルビも食べ始めれば、近衛師団兵から疑問と文句の叫びが上がった。

百歩譲って莉奈はイイ。だけど、何故アンナがさも当然の様に食べているのかが分からないのだ。

「だってコレ、アンナが獲って来たんだもん」

「ね〜?」

莉奈とアンナは顔を見合わせ、仲良く首を傾げてみせた。

だけど、口を動かすのは止めない。止められない。

「あ?」

「どういう事だよ」

それが貰えないと分かった近衛師団兵達は、途端にガラが悪くなっていた。

この国の人達って、食べ物が絡むと軽く引くくらい怖いよね?

「私がね〜食べてみたくて、獲って来たんだよ?」

アンナは楽しそうに笑っていた。

「「「はあぁぁァァ!?」」」

食べてみたくて獲って来ただと? と皆は口や目をアングリと開けて驚いていた。

最近になって、やっと魔物は食べられるかもと分かったとは言え、まだまだ魔物を見て食べたいなんて思わない。

「黒牛さん、美味しいね〜リナ」

「美味しいね〜アンナ」

そして、2人は再び仲良く首を傾げてみせた。

「「「ゴクリ」」」

皆の生唾を飲む音が響いた。

「だ、大体、さっきから黒牛さん黒牛さんって言ってるけど、黒牛さんてなんだよ?」

「黒牛なんて名前の魔物なんかいないだろう」

「黒牛さんって何の肉なんだよ!?」

「黒牛さんは黒牛さんだもん」

近衛師団兵達が "黒牛" とは何の魔物だとアンナに訊けば、黒牛は黒牛だと言う。

まったく話にならなかった。

「アンナの言う"黒牛さん" が何の魔物か当てられたら、同じモノ作ってあげるよ」

「「「マジか!!」」」

莉奈が提案すれば、皆の表情がギラリと変わった。

もはや魔物の肉だとしても、ロックバードの件から莉奈が鑑定したのなら抵抗はなかった。

大体、もの凄く旨そうな匂いがし、目の前でパクパクと食べられれば、以前の抵抗なんて簡単に吹っ飛んでしまった。

「黒牛とか言うんだから、ブラッディーバイソンじゃないか?」

「確かにアレは黒いフォルムだけど、黒牛さんだろ? アンナの事だから、ブラックブルの可能性が高くないか?」

「まんま過ぎじゃね? ブラッドバッファローは? アレも黒っちゃあ黒だぜ?」

「黒っていうか焦げ茶じゃないか? だから、褐毛牛だろ。大体あれは、アンナが1人で狩り獲れないんじゃねぇか?」

「なら、ゴナサン・トーロフェローチェは?」

「 稀(レア) 過ぎて、この辺で見た事ないな」

近衛師団兵達は皆で集まって相談していた。

その横で、サイル達料理人は耳を傾けて聞いていた。何故なら、魔物に縁のない彼等には黒牛が何の魔物と言われても、何一つピンとこないのだ。

魔物の種類もまったくと言ってイイ程、知らなかった。

「何か聞いてると、3択で悩んでる感じ?」

莉奈は楽しそうにステーキやカルビを頬張って、皆を見ていた。

牛の魔物もたくさんいるんだな……と。

「まぁ、とりあえず3択だな」

ヒントでも貰えるのかと、近衛師団兵は返答した。

違うなら違うと言って欲しい。

「その3択に正解があるよ」

「「「ヨシ!!」」」

まだ当てた訳じゃないのに、近衛師団兵達は小さく拳を握った。

「多数決で決めるのか、各々分かれるのかどうするの?」

「「「多数決はない。各々分かれる!!」」」

意見は決まらないと踏んだ皆は、3択のうちどれかに分かれると決めた。

完全自己責任にする様だ。

まぁ、その方が後々揉めなくて済むよね?