軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

226 莉奈の竜

クッキーを食べた後は、エギエディルス皇子と【白竜宮】に来ていた。

どっかの王様のいらぬ一言により、飛んでいった莉奈の 番(りゅう) がやっと戻って来たらしいとの事。

何故 "らしい" なのかというと、自分の部屋を決めた莉奈の番は、部屋の前に印の鱗を1つ置いて、また何処かに行ったからである。

――――顔くらい見せろや!!

「あっ。ゲオルグさん、こんにちは」

竜の宿舎に来てみれば、近衛師団長のゲオルグがいた。

莉奈が来るだろうと、待っていた様だ。相変わらずデカイ。

「あぁ。リナ」

エギエディルス皇子に会釈しつつ、莉奈を迎えてくれた。隣にいるのは補佐官のローエンと竜騎士になりたいアメリアだ。

エギエディルス皇子同様に、竜の広場にはしょっちゅう来ているらしい。

「うちの番が、戻って来たとかなんとか?」

「戻って来ていたな……ただ」

莉奈が訊いてみたら、ゲオルグ師団長は、頬をポリポリ掻きながら苦笑いしていた。

「ただ?」

「スゴい所を自室に選んだよ」

「へ?」

莉奈は眉を寄せた。スゴい所とは何処なのだろう。

竜の宿舎は、白竜宮の近くの平地。山間や崖にはないのだから、スゴい所などないハズだ。

「ここだ」

と連れて来てくれた場所は、特別おかしな点はない。

莉奈の番の鱗は、誰かが付けてくれたのか梁に付いていた。ベッド代わりの藁も、たっぷり敷いてある。

別段、他の部屋と違う所はない。ただ、横並びに10もある部屋は、まったく使ってないのか空室が目立つくらいだ。

「ん?」

ここの何処がスゴいのか分からない莉奈は、キョロキョロ辺りを見回した後1人首を傾げた。

だが、その隣にいたエギエディルス皇子が、何かに気付いたのか空笑いしていた。

「白いヤツの近くとか……お前の番もイイ度胸してんのな」

エギエディルス皇子が、複雑な表情をしている。

そうなのだ。莉奈の番が決めた部屋は、シュゼル皇子の番。真珠姫の2つ隣の部屋だった。

「あ~2つ隣の角は真珠姫……え? ダメなの?」

「ダメじゃねぇけど……他の宿舎が空いてるのに、わざわざ白いヤツや王竜の近くなんか、畏れ多くて普通選んだりしねぇよ」

エギエディルス皇子は、呆れ半分、度胸に感心半分といった感じだった。別にここでなくとも、他の宿舎にはまだまだ空室がある。なのに、わざわざココを選んだ莉奈の竜。

何か意味があるのか、ないのならスゴい度胸である。

「あーそういう事」

言われて納得した莉奈。自分もわざわざフェリクス王やシュゼル皇子の近くに、自室を構えようとは思わない。

なんなら、1番遠くの部屋を選ぶ。

「「「……」」」

沈黙が流れた。

莉奈の番が、何故、ココを選んだのか。そして、理由があったとしても、スゴい度胸だな……と。

――さすが。リナの番。

莉奈が部屋を見ている隣では、エギエディルス皇子やゲオルグ師団長達が納得していた。

普通の竜ならあり得ないが、莉奈の竜だ。あり得る!!

「部屋って、何処も藁しかないけど……何か飾ったらダメなの?」

質素、簡素と云えばそうだけど、何もないに等しい。

つまらない……と莉奈は思った。フェリクス王は意味がないとは言っていたが、飾るなとは言ってなかった。

「飾る習慣がない」

「そもそも。アイツ等、基本ガサツだから、何かを飾ってもすぐ壊すんじゃね?」

ゲオルグ師団長、エギエディルス皇子が答えてくれた。

性格上もあるのだろうが、尻尾や翼がある。引っかけたり踏んだり、飛ばしたりするに決まっている。

飾るだけ無駄な気しかない。

「まぁ。そうかもだけど。藁だけってのもつまらないから、なんか飾ってイイ?」

っていうか。飾りたい。番が気に入らないって言ったら、飾りを取ればイイんだし。

「あ? 飾る?」

長年そんな習慣がないので、エギエディルス皇子は眉を寄せた。

「女の子の部屋だし。なんか飾りたい」

比べたら失礼だけど、犬や猫、ハムスターやフェレットだって、可愛い寝具がある。竜にだってあってもイイ。

「女……竜のメスを女の子なんて言ってるの、お前くらいなもんだぞ?」

「エグジット殿下。そういう意識改革から始めないと、番は持てませんよ?」

「「……っ!」」

莉奈が半分冗談で言ってみれば、エギエディルス皇子どころか何故かアメリアまでハッとし押し黙っていた。

まっ、男の子や女の子なんて意識して言った処で、竜に響くとは思えないけど。だって、そんなの関係なしに、フェリクス王達は番を持てたのだから。

だが、番がいない2人には莉奈の言葉が響いたのか、唸っていた。

そんな2人を横目に莉奈は、話を続ける。

「ゲオルグさん。何人か、手の空いている軍部の人いませんか? 飾り付けを手伝ってもらいたいんですけど」

莉奈はゲオルグ師団長に相談する事にした。

1人では絶対に無理だ。天井は高いし幅がある。でも、やるなら徹底的に可愛いくしたい。自己満足でしかないけど……。

「あぁ。何人かここに寄越そう」

「ありがとうございます。手伝ってくれた人には、何かごちそうし――――」

「「「手伝います!!」」」

しますね。と莉奈が最後まで言うまでもなく、ゲオルグ師団長達だけでなく、遠くで覗いていた軍部の人達までが声を上げ、ピシリと挙手した。

手の空いている人……でイイのだけど。ゲオルグ師団長達、暇じゃないでしょうよ。

「俺も手伝うから、ナンかくれ!!」

エギエディルス皇子も、負けじとピョコピョコ飛び跳ねていた。

皇子は可愛いからイイけど……。

それから小1時間、総勢10名で莉奈の番の部屋を飾り付けするのであった。

―――が……この時、皆は知らなかった。

この飾り付けが、後々にちょっとした騒動に繋がる事を……。