軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

207 濃厚手作りマヨネーズ

「マヨネーズなんかなくても生きていける。だけど、作れというので作ります」

莉奈は厨房に戻ると、訳の分からない宣言をした。

誰も作れとは言ってはいない。自分が必要だと言ったからこその、この状況なのだが……。皆から苦笑いが漏れていた。

「先程の~卵黄とお酢と塩を良く混ぜたモノに~混ぜながら~油を糸の様に~ゆっくり投入していって下さ~い」

なんか投げやりにもとれる莉奈の言い方に、皆は笑い始めていた。余程、魔導具で遊びたいらしい。心情がタダ漏れである。

「いっぺんに入れたらダメなの?」

と後ろの料理人の誰かが言った。

早く遊びたいのならさっさと入れてしまえばイイのでは? と思った。ゆっくり入れていく理由を知りたい。

「分離して卵黄と混ざりませ~ん」

水と油みたいなモノ。ゆっくりと混ぜながらやらないと乳化しない。いわゆる、白いマヨネーズみたいにならないのだ。

「混ざらないのか」

大変だな……とボソリと聞こえる。

そう、手作りマヨネーズなんて大変な作業だ。大量に作る場合は普通、ハンドミキサーで作る。手でなんかやらない。

「卵黄だけって言ったけど、全卵だと出来ないのかい?」

リック料理長が最大の疑問を投げ掛けてきた。

卵黄卵黄と言ってはいるが、ナゼ卵黄だけなのか。

「出来るよ?」

濃厚ではないけど……やってやれない事はない。

「え? じゃあ、ナゼ卵黄だけなのかな?」

マテウス副料理長がさらに訊いてきた。出来るのなら卵白も使った方が、手間も省けるしコスト面でも良いと考えたのだ。

「だって、腕が死ぬよ?」

莉奈はキョトンとした。

全卵はナイ……というか、やれないのだ。

あれはハンドミキサーありきでないと、たぶん絶対出来ない。私の力では無理だと断言出来る。

それこそフェリクス王を呼んで来て欲しい。

「「「あぁ…………」」」

皆は莉奈のその一言ですべてを察した様だった。

卵黄でさえグリグリ混ぜているのに、全卵ならさらに力強く混ぜなくてはいけないのだろうと、想像が出来た様である。納得した様子であった。

「あっ、そうだ。すっかり忘れてた。卵茹でといて」

タルタルソースも作るのに、茹で玉子を用意するのを忘れていた。なくてもイイけど私的には、絶対に入れたい。

「茹で玉子なんかどうするんだ?」

卵を茹でる準備をしながら、サイルが訊いてきた。

「タルタルソースを作るのに必要」

「茹で玉子が?」

どうやってソースに使うのだろう? なんだか分からないが、卵を大量に茹でる事にする。莉奈が必要だと言うのだから必要なのだろう。

「ちなみに、今作ってるマヨネーズを味見したいのなら、茹でたじゃがいもにつけたらマジ最強」

蒸かしたじゃがいもでもイイ。マヨネーズとじゃがいもは相性抜群だと思う。混ぜない簡単ポテトサラダみたいなモノだ。

「マジかよ!! なら、じゃがいもを茹でる」

それを訊いてきた料理人達は、誰ともなくじゃがいもを洗って茹で始めた……ゴロゴロと大量に。え……味見?

「それ、油はサラダ用の油? オリーブオイルもあるよ?」

と1つ解決すればまた1つ気になるのか、サイルが訊いてきた。

莉奈がサラダ用の油を使っているから気になった様子。サラダ用のクセのない油だけでなく、オリーブオイルとかもここにはあるからだ。なんなら高級なエキストラ・バージン・オイルもある。きまりでもあるのか訊いてみたのだ。

「初心者はサラダ油からやった方が失敗しないかな。オリーブオイルは混ざりにくくする成分が入っている……って聞いた事がある」

レシチンだかオルニチンだか忘れたけど、それと似た様な物質が未精製のオリーブオイルには入っているとか。ただ、この成分、卵黄のレシチンとは顔が似た別モノらしく、厄介な事に混ざりにくくするらしい。

だから、サラダ油がベストなのである。

「へぇ。油ならなんでもイイって訳じゃないのか」

サイル達が感心した様に、大きく頷いていた。

油ならなんでもイイと思っていたからである。

「油もゆっくり混ぜながら入れないと、すぐ分離するからずっと休まず混ぜてね」

莉奈は油をゆっくり入れながら、面倒くさそうにグリグリと混ぜていた。

まっいっか……と油断して1度ドバッと入れたら分離して、どうにもならなくなった事があるからだ。卵も常温に戻しておかないと混ざりにくいし、油も古いと混ざりにくい上に分離しやすいのだ。

ただ材料を混ぜるだけなのに、手作りするとなると、意外に面倒な作業なのである。

「慣れてきたら、オリーブオイルとかで作ったら? 苦味がアクセントになって美味しいよ?」

莉奈は、もちろん他の油でも出来ると伝えておく。ただ、エキストラ・バージン・オイルは、苦味やエグミが強く出てオススメはしないけど。

基本をしっかり覚えた後に、色々な油で試せばイイと思う。

「試してみるよ」

料理人達は頷いていた。他にも種類があると知り、楽しそうであった。

ここにはないけど、個人的にはココナッツオイルで作るマヨネーズが好き。ココナッツオイルで作ると、一気にエスニックな感じになって面白い。

それで作るエビチリマヨネーズがマジで最強。クセになるのだ。

ごま油で作れば、ゴマだれを入れたマヨネーズに似た感じになって、葉野菜と和えると濃厚和風テイストでコク旨。

「さて。マヨネーズが出来たよ」

説明しながら混ぜていたら、マヨネーズが完成した。

久々だったけど、しっかり分離しないで出来た。さて、じゃがいもにでもつけて味見しようかな?