作品タイトル不明
レモン鍋の〆にチーズリゾット
美味しくレモン鍋を食べた一同。あらかじめ 悠利(ゆうり) が伝えていたので、鍋のスープはしっかりと残っていた。今日はこれから、〆が待っているのだ。
この〆というのは、鍋の残りで作るからこそ美味しいのだ。スープを飲み干したならば新しく作れば良いじゃないか、というのは通用しない。何故ならば、具材の旨みが浸透したスープで作るからこその、〆の美味しさなのだから。
「それでは、これから〆の準備をします。今日の〆は、チーズリゾットです」
悠利が厳かにそう告げた瞬間、あちらこちらから歓喜の声が上がった。やったー、美味しいものが食べられるぞー! みたいなテンションである。大変解りやすい食べ盛りの仲間達だった。
肉と野菜、キノコの旨みがたっぷりと染みこんだレモン鍋のスープに、悠利はご飯を投入していく。この分量はちゃんと悠利が鍋のスープの残り具合を確認した上で決めている。……食べ盛りの腹ぺこな仲間達に任せると、ご飯とスープのバランスが大変なことになりそうなので。
スープの中にご飯を入れたら、お玉でちゃんと潰してバラバラにしておく。とはいえ、今入れたのは炊飯器に入っていたほかほかご飯なので、変な塊になっていることもない。一手間かけようと思うなら、先に水洗いをしておくのも一つの手である。今日はチーズも入れるしまぁ良いかということで、そのまま投入しているのだ。
各テーブルを回ってそこまで作業を終えると、悠利は皆に向けて口を開いた。
「ライスにしっかりとスープの旨みが染みこむまで煮込む必要があるので、弱火でこのまま煮込んでください。かき混ぜると余分な粘り気が出ちゃうので、そのままでお願いします」
その説明を聞いた皆は、解ったと元気よく返事をして、各々で鍋の様子をうかがうターンに入った。作って貰った美味しい料理を食べるのも良いが、こうしてできあがるまでの間を皆で待つのもまた、楽しいようだ。
そんな風に鍋の中身を見ていたカミールが、悠利に向けて質問を投げかけた。素朴な疑問だ。
「チーズリゾットって言ってたけど、チーズは?」
「チーズは、ライスに味が染みこんで柔らかくなってから入れます」
「了解」
それなら、今は鍋の様子を見ておこう、という感じで視線を鍋に戻すカミールだった。周囲もそういうことかと言いたげな反応で、ひとまず鍋の中を確認している。やはり皆、チーズリゾットと言いながらチーズを入れないので気にはなっていたらしい。
早くできあがらないかなー、みたいな感じで鍋を眺めている皆。……そう、皆、である。大人組もどんな風に仕上がるのか気になるらしく、鍋の中でくつくつことこと煮込まれているご飯をじぃっと見ているのだ。
ふわりと香るレモンの爽やかさも、食欲をそそるのだろう。鍋の中、スープの海でご飯が踊る様を見つめる皆の顔は、わくわくという雰囲気だった。
しばらくして、ご飯が軟らかくなり、スープをしっかりと吸い込んだのを確認すると、悠利は各鍋にチーズを投入した。これは、ピザ用チーズみたいにあらかじめ溶けやすくしてあるチーズだ。それを結構遠慮なく投入する悠利に、皆は「良いのか……? そんなにチーズを入れても良いのか……?」みたいな顔をしていた。
勿論、悠利だってチーズを入れすぎるのは良くないと解っている。ご飯とのバランスを考えなければ、チーズリゾットがただのチーズ味になってしまう。その辺を見極めて、それでもやっぱり、とろっとろのチーズは沢山ある方が美味しいよね! と言う結論でこの分量になっているだけである。
「それでは蓋をしてもう少しだけ待ってください。チーズが溶けたら完成です」
「はい! チーズ溶けたら、混ぜるの? そのままよそうの?」
「混ぜずにそのままよそってください。あと、お好みで胡椒をかけても美味しいよ」
「解ったー」
元気よく挙手をして質問してきたレレイに、悠利は笑って答えた。悠利の説明に納得したらしいレレイは、チーズの匂いがぶわっと漂う鍋を見て、身体を小さく揺らしていた。小さな子供が楽しみすぎて動いちゃう、みたいな感じである。微笑ましい。
その後、多分そろそろ大丈夫だろうからという悠利の声かけで、鍋の蓋が開けられる。ふわりと漂う美味しそうな匂いに、皆の表情が自然と緩む。チーズの食欲をそそる匂いと、レモンの爽やかな香りとが混ざり合って、何とも言えずに誘惑が凄いのだ。
各テーブルで、鍋からチーズリゾットをよそう光景が見られる。熱々なので少量にしている者もいれば、ひとまず食べたい分量をどんと盛り付ける者もいる。〆の料理ということで取り合いになるほど騒ぎにはなっていないが、最後の最後に何ともお腹が空いちゃうようなメニューだと皆が思っていた。
器によそっても熱々ほかほかなことには変わりなく、美味しそうな匂いと共に湯気がふわぁっと上空に向かって伸びる。スープを吸い込んでふにゃりと柔らかくなったご飯と、彩るように広がるとろっとろのチーズというのが、見ているだけで食欲をそそる。
火傷しないようにふーふーと息を吹きかけながら食べる仲間達の中でただ一人、レレイだけはじぃっと器を見つめていた。彼女は猫舌なので、こんなにも熱々のチーズリゾットはすぐには食べられないのだ。冷めるのを待つ間は、生殺しみたいな感じである。
しかし、レレイも一応は学習をしていた。どんと山盛りよそっては冷めるのに時間がかかることを理解して、ほどほどの分量にしているのだ。またそれだけでなく、今までレモン鍋を食べていたのとは別の器を持ってきていた。深めの平皿という感じの器である。
その器に、広げるようにしてチーズリゾットをよそっているのだ。平面を多くすることによって、少しでも早く冷めるようにと言う工夫だった。ついでに、同じ器を二つ持ってきていて、同量を盛り付けてある。沢山食べたい彼女の、苦肉の策である。
そんなレレイの横で、クーレッシュはそぉっとチーズリゾットを口へと運んだ。熱々なので息を吹きかけて冷ますことも忘れないが、何よりも上澄みをそっと掬うようにしているのがポイントだ。真ん中はまだまだ熱いので。
口の中に入った瞬間に感じるのは、ほかほかの熱。次に、チーズの風味。そして最後に、噛んだことで感じるスープをたっぷり吸い込んだご飯の柔らかさだ。じゅわっと口の中に広がる、レモン鍋の旨み。美味しいという感想しか出てこない。
柔らかくなるまで煮込まれたご飯が、しっかりとスープの美味しさを吸い込んでいるのだ。煮込むのを適当に切り上げていては、この美味しさはなかっただろうと解る。ご飯の芯までしっかりと旨みが染みこんでいるのが、素晴らしい。
そして、とろとろに溶けたチーズがそれら全てを包み込んでいる。ほどよい塩味がアクセントとなっており、単なるさっぱりレモン風味のリゾットに、満足感のあるパンチを加えていた。
「マジで美味いな、これ……」
「私、〆は麺だと思ってたけど、ライスの方が美味しいかもしれないって今思ってるわ……」
「解る。スープの旨みがこう、余すところなく味わえるもんな」
「それよ」
大真面目な顔で話しているクーレッシュとヘルミーネ。同席者二人の感想に、そんなに美味しいんだ……! とレレイは目を輝かせている。早く冷めないかなーとふーふーと息を吹きかけている姿は、子供みたいで可愛かった。
今一人の同席者であるイレイシアも異論はないらしく、二人の言い分にこくりと頷いている。普段、鍋の〆にはうどんやパスタが用意されているのだが、それとはまた別の美味しさがそこにあるのだ。スープと一緒に食べて楽しむ麺類と違い、リゾットはまるごと一口で食べられるような感動があった。
熱々とろとろのチーズリゾット。〆の一杯だというのに、その美味しさに誘惑されて、そろっとお代わりをしてしまう。勿論、独り占めするようなことはない。冷めやすいように少量を器に入れたクーレッシュを、レレイがじぃーっと見ていた。
「……何だよ」
「クーレがお代わりするぐらい美味しいんだなって思って」
「心配しなくても、まだ鍋の中にたっぷりあるっつーの」
「あたしもお代わりしたいから、残しておいてね……?」
「心配しなくても、私もイレイスも、そんなに食べられないわよ……」
うるうるおめめで訴えてくるレレイに、ヘルミーネは呆れたように答えた。同意するようにイレイシアは首を縦に振っている。いかに美味しくとも、既にレモン鍋をしっかり食べた後である。彼女達にお代わりをしまくるほどの胃袋の余裕はない。
その反応から、自分の取り分はちゃんと残ると理解したのか、レレイは良かったと笑った。本当に、猫舌というのは厄介だ。温かい方が美味しいと解っていても、熱すぎて味が解らないという感じになってしまうので。レレイはこういう待ての状態になることが多いのだ。
とりあえず、わちゃわちゃしつつも平和なこのテーブルに比べて、油断大敵、争奪戦! みたいになっているテーブルがある。見習い組のテーブルである。
「マグ、そんな山盛り入れようとするな! 少しは配分を考えろ!」
「美味」
「美味いのは理解した。認める。が、俺らの分も残せぇええええ!」
「美味」
「話を聞け!」
レモン鍋を食べているときからスープにご執心だったマグは、チーズリゾットにもご執心らしい。お玉にもりっとよそって、ちょっと待てと止められている。流石に、お玉に山盛りだと器に入りきらないし、皆で仲良く分けるのは大切である。
ウルグスのツッコミも意に介さないマグだが、カミールとヤックが素早くお玉を奪って、適量をマグの器に入れるという連携を見せていた。ツッコミでウルグスがマグの気を引き、カミールがお玉を奪い、ヤックが器を奪って盛り付けるという流れである。……微妙に手慣れているのが悲しい。
気づいたらお玉も器も取られていたマグが、イラッとしたように隣に座っているウルグスの足を蹴る。蹴るなと文句を言いつつ、ウルグスはカミールとヤックが仕事を果たしたのを見て一安心という顔だった。
「とりあえず、皆が食べてからお代わりにしろ。ユーリにも普段から言われてるだろ」
「美味」
「食べる前から美味いのが解ってるのは理解するが、俺らも食いたいの」
「美味」
「美味いからこそ皆で分けるんだよ。独り占めしようとすんじゃねぇ。子供か!」
「……諾」
流石に幼子扱いは色々と思うところがあったのか、マグは最終的には解ったと言いたげに頷いた。ただし、相変わらず頷くまでが大変、大変遅い。まぁ、それも含めてマグであるが。
ひとまずマグが頷いたことで、カミールとヤックも安心したというように胸をなで下ろした。ウルグスと三人、自分の器にチーズリゾットをよそう。これでやっと、美味しそうな匂いをさせて彼らを誘惑していたチーズリゾットを、安心して味わうことが出来るというものだ。戦いは平和に終結した。多分。
出汁の信者とも呼ぶべきマグは、味わうように、真剣な顔でチーズリゾットを食べている。チーズの塩味、ご飯の甘味、スープの旨み。その全てを余すことなく味わえるチーズリゾットを、気に入っているのは良く解る。
しっかりと煮込んだのでご飯は軟らかいのだが、それでもマグはしっかりと噛んでから咀嚼している。まるで、そうすることで出汁の美味しさを味わい尽くすとでも言いたげだ。何がここまでマグを引きつけるのかは解らないが、大人しく食べているので他三人は特につつくことはしなかった。
「これさ、チーズリゾットってところが多分ミソなんだよ」
「どういうこと、カミール?」
「レモン鍋がさっぱりした味付けだっただろ? だから、それでリゾットにしてもちょっと物足りなく感じるはずなんだ」
「あー、なるほど。それはそれで美味しいかもしれないけど、チーズがあるとずっとずっと美味しいもんね」
「ライスとチーズが絡むのが美味いよな」
「うん」
にこやかに雑談をしながら食べるカミールとヤック。この二人は今食べている料理を分析したり、他にどういう風にアレンジしたら美味しいかなと考えることが多い。ウルグスとマグは比較的そのまま目の前の料理を味わうタイプである。性格の違いなのかもしれない。
ウルグスは会話に混ざることなく静かにチーズリゾットを食べている。……ただし、時折隣のマグへと視線を向けるのは忘れない。マグの暴走を警戒しているようだった。お疲れ様である。
「ふむ。胡椒をかけると味が引き締まる感じがあるな」
「大人の人はそっちの方が美味しいかなと思います」
「私はチーズのまろやかさも好きだが、胡椒でアクセントを加えるのも好きだな」
「お口に合って何よりです」
にこやかに告げるフラウに、悠利は満面の笑みを向けた。フラウはチーズが好物の一つなので、チーズリゾットを気に入ってくれるだろうと思っていたのだ。案の定、ちょこちょこお代わりをする程度には気に入ってくれている。
悠利は、ひとまず何もかかけずにチーズリゾットを食べた後、胡椒をかけて味変を楽しんでいる。胡椒のピリリとした刺激と風味が、レモンの爽やかさとチーズのまろやかさにアクセントを加え、食欲をそそってくれるのだ。ワンランク上の味わい、みたいなノリで楽しんでいる。
熱々のチーズリゾットを火傷しないように楽しみながら、悠利はちらっと視線を別のテーブルへと向けた。悠利が気にしているのは、アロールだった。
「……美味しいね」
普段あまり食事の善し悪しを口にしない十歳児が、思わずこぼれたというように呟いていた。アロールはチーズが大好きなのだ。解りやすいほどに反応することはないが、何だかんだで解りやすい。
とろとろに溶けたチーズの濃厚な美味しさはちゃんとそこにあるのに、レモン鍋の爽やかさで後味がすっきりしている。後味がすっきりしているということは、箸が進むということだ。食べやすいのだ。
アロールは胡椒をかけることはしていない。そうすることで、より一層チーズの美味しさを噛みしめているのかもしれない。幸せを噛みしめる十歳児、大変微笑ましい。
同席しているラジとリヒトは特にアロールには構わず、自分達も美味しいと言い合いながらチーズリゾットを堪能している。アロールがチーズ好きなのを知ってはいるが、そのことで構われるのを好んでいないことを知っているからだ。大人である。
……ただしこのテーブルには、大人なのに大人ではない、空気を読むのが致命的に下手くそな大人がいた。
「おやアロール、いつもより美味しそうに食べていますね。やっぱりチーズが入っていると嬉しいものなんですねぇ」
「……」
「……ジェイク」
「ジェイクさん……」
にこにこと悪気も悪意も何もなく、当たり前の雑談だというように口を開いたジェイク。その脳天気な発言に、アロールはピタリと動きを止めた。静かな表情でジェイクを見ている。そして、リヒトとラジは、呆れたようにジェイクの名を呼ぶのだった。
同席者の反応が良く解らないジェイクは、どうかしましたか? と言いたげに首を傾げている。その辺の感情の機微を理解できないからこそ、ジェイクなのである。……この学者先生は、そういう処世術的なことがさっぱりだったがために、王立第一研究所という学問の最高峰の場所から《 真紅の山猫(スカーレット・リンクス) 》に逃げてきたような人物なので。
にこにこしているジェイクを、アロールはしばらく無言で見ていた。そして、色々と諦めたようにため息をついた。ジェイクを相手に何を言っても無駄だと思ったらしい。こっちの方が大人かもしれない。
「言っておくけど、僕は普段のご飯だって美味しいと思って食べてるよ。ユーリの料理は美味しいからね」
「そうですね。ユーリくんのご飯はいつも本当に美味しいですよねぇ」
無難な雑談に持ち込んだアロールと、何も考えていないジェイク。ひとまず平和に話が進んでいるので、リヒトもラジも特に口を挟むことはしなかった。ただ、アロールの方が大人だよなぁと思ってしまうのは仕方ないことだった。
そんな中、歓喜の声が聞こえた。
「美味しい……! 美味しいねぇ!」
この世の幸せ全部を詰め込んだのかとでも言いたくなるような声で叫んでいるのは、レレイだった。叫んでいるとはいっても、アリーに怒られるような大声ではない。ただ感極まって大声が出てしまっているだけだ。
ようやっと食べられるぐらいに冷めたチーズリゾットを、一口食べてからの発言である。皆が美味しそうに食べる中、一人延々と待ち続けていたレレイの気持ちは理解できるので、同席者も注意はしなかった。そもそもレレイは、美味しいものを食べるのが大好きなのだから。
はむはむとチーズリゾットを食べながら、ふにゃりと緩んだ顔をしている。レレイの美味しいと感じる範囲はかなり幅広く、レモン鍋の味をたっぷり吸い込んだチーズリゾットも彼女の中ではとても美味しいご飯という判定だった。
「レレイって、何でも美味しそうに食べるわよね」
「何でもじゃないよ?」
「えー、でも、いつも美味しい美味しいって言ってるじゃない」
「いつものご飯もちゃんと美味しいから美味しいって言ってるだけだよ?」
ヘルミーネの指摘に、レレイはきょとん顔をしていた。彼女は素直だ。美味しいものを美味しいと言い、美味しくないものは美味しくないと言う。ただ、レレイが美味しくないと言う姿を、皆はあまり見ていないのだ。
そこで、クーレッシュが口を挟む。何だかんだで普段から行動を共にすることが多い彼は、レレイの食事姿を見ることも多いのだ。
「いや、でもこいつ、前に遠出したときの屋台飯で口に合わないのがあったのか、美味しくないってしょげてたぞ」
「え、レレイが!?」
「ヘルミーネ、それどういう反応なの……。アレはねぇ、せっかく素材が美味しそうなお肉なのに、焼き具合がダメダメで、ぐにぐにしてるだけで美味しくなかった……」
「まぁ、イマイチだったのは俺も認める」
「……レレイが美味しくないって言う食べ物ってあるんだ……」
凄いことを聞いた、みたいな反応をするヘルミーネ。記憶の向こうの美味しくなかった屋台飯を思い出して、レレイとクーレッシュは遠い目をしていた。特別グルメではないものの、やはり美味しいものを食べたいと思うのは当然だろう。
そんな三人に対して、イレイシアが口を開いた。基本的に聞き役になっている彼女が自発的に口を挟むのは珍しい。
「あの、レレイさんが普段の食事を美味しいと仰るのは、ユーリの料理だからではないでしょうか?」
「はえ?」
「あん?」
「どういうこと?」
三人に問われて、イレイシアは説明を重ねた。大真面目な顔で。
「ユーリが来てからの食事はいつもとても美味しいものですよね? ですから、レレイさんも常に美味しいと仰っているのではないかと思うのですけれど」
「確かに! ユーリのご飯とっても美味しい!」
「あー、なるほどなぁ。ユーリが来てから、飯が常に美味いもんな」
「そうね。明らかに料理のレベルが上がってるもの」
謎が解けたと言いたげにうなずき合う三人。自分の意見が三人に受け入れられて、イレイシアも嬉しそうに微笑んでいた。悠利のおかげで美味しいご飯にありつけているのは事実なのだから。
満足そうに頷きながら、「やっぱりうちのユーリの料理は凄い」みたいになっている四人。そんな風に言われているとは微塵も考えていない悠利は、具材の旨みをたっぷり吸い込んだチーズリゾットを幸せそうに頬張っているのだった。
なお、他の日にも食べたいと皆に言われた悠利は「でも鍋の〆にしないとこの美味しさにはならないよ?」と断りを入れるのを忘れないのでした。大事なことなので。