軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第28話 勇者

妹に会えた驚きと喜びを噛み締めながら一つ大問題があった。

「アヤネ…まず俺は目を瞑って離れるから少し待っててくれ、だから声を上げるなよ」

「えっ…あっ…」

自身の姿を確認して固まったのか言葉が詰まる。

俺は目を瞑りながら離れ上着を脱いでアヤネの方に差し出す。

「とりあえずこれ着ててくれ、今服を持ってくるから」

アヤネは、俺が来た時と同様で素っ裸であった。

しかし、そこにややこしくなる事態が戻ってくる。

「なんか結界が破れたんだけど!だいじょ…う…ぶ?」

と慌てた様子でエルナが戻ってきた。

「えっあなたはどこから?えっ!?裸!えっ!!?」

なるほど彼女の状況把握能力の限界を超えたようだ。

ここで変な事になってもいけないので…。

「とりあえず説明するのでアヤネはそこで服を着て待機、エルナさんはこっちに」

そういって俺は寝室にエルナと一緒に服を取りに行った。

世界を渡るような転移は無理という話だったはずなのだが…どうやったんだろうか…と考えながら服を取り出す。

「一体誰なの!?あの子は」

「俺の妹です、ええっと…説明をしてなかったんですが…アリナ…勇者の転生者です」

「ええ!!!??どういうこと!?」

驚きの余り大きな声を上げる。

「詳しい説明を省きますが、この世界の現状は黙ってて貰ってもいいですか…?出来れば無駄な心配はかけたくないので」

「ん…そうね…正直現状はあまり伝えたくないわ…」

俺の表情から察してくれたのかエルナは同意してくれた。

俺は自分の服を着た上でエルナと2人で服を持ってリビングに戻る。

俺の服を着て、何やら匂いを嗅いでいる様子だったアヤネ…。

「臭うか?」

「あっ!ええっとちがくて久々の匂いだったからつい」

「とりあえず変わりの服持ってきたから、これを」

といって渡すと下着と下のジャージだけ履いて、上はそのままテーブルに置かれた。

「上はいいのかよ」

「脱いだら見えちゃうしこれで良い」

「そうかよ」

「とりあえず、しょ…」

エルナの事を紹介しようとしたのだが…。

「あっ!師匠じゃないですか!お久しぶりです!」

「ええっと話は聞いているわ、ほ、ほんとにアリナなの?」

「はい!不肖の弟子アリナ!恥ずかしながら戻ってきました!」

と言葉を遮られてお互いの自己紹介が完了してしまった。

「ひとまず、現状を説明するんだが…こっちの世界に来てからエルナさんに保護されてる」

と前置きをしてこれまでの事を話しだした。

もちろん四英雄の件は伏せた状態でだ。

ちなみにアヤネは今はこっちの世界の言葉で話してるそうだ。

まだ話せたんだなと少し驚いた。

「運がよかったね。師匠いなかったら死んでたよ」

「それはほんとに運に感謝してる」

「まぁそもそもが私が魔法陣を弾いたせいなんだけど…」

俺の記憶でも最初はアヤネに魔法陣が現れてから弾かれて、こちらに飛んできたと記憶していた。

「アリナは、どうやってこっちに?」

エルナが質問を飛ばす。

「転移魔法の応用でこっちに送った手紙に魔法陣を書いておいたのでそれ目掛けて飛んできました」

とVサインをしながら答えた。

そう言われて手紙の裏を見ると魔法陣が記載されていた。

「気づかなかった…完全に模様だとばかり…」

「そういうとこ抜けてるよね」

「うるせ、でも世界を超えるなんて無理だって聞いてたんだが」

「身体以外は転移できなかったしなんならあんまり長居は出来ないしね」

「そうなのか?」

「向こうに残してきた魔法陣がね…あの世界は魔力がないから、長い時間は維持できなくてさ」

なるほど、こっちの世界の転移の魔法陣は、一度書けば壊すまでは使えるそうだがあちらだと魔力がないせいで崩壊するのか。

「これまでの実験でも持って1日だからそれまでに帰らないと」

「そういうことか」

無茶したという割には色々と検証してから来たようだ。

「ママが超心配してたよ!」

「それは本当に申し訳ない…」

好きできた訳ではないが、母に心配をかけてしまっている事実に関しては本当に申し訳なく思っていた。

「私までいなくなったらママ悲しむからさ、ちゃんと試してからきたから」

「ってか魔力ないのにどうや…って…ああ、それで魔石か」

「そう、魔石で魔力補給してね。出来れば今度送る時は大型の魔物の魔石がいいなぁ、小さいのは魔力の吸収効率が悪くて」

「大型って狩るの大変なんだぞ」

「この付近の森なら結構いるしなんならあいつらに手伝わせればいいじゃん」

恐らくあいつらというのは四英雄のことだろう。

「ああ、彼らは今は国の重鎮になってるから忙しいから…」

とエルナが誤魔化してくれた。

「それなら私がひとっ走り狩ってくるよ!」

「そんなちょっとコンビニ行ってくるのノリで…」

「大丈夫、大丈夫!こっちに来て魔力に満ち溢れてるからちょっと暴れたいんだよね!」

「靴借りるね!」

といって外にでていってしまった。

「大丈夫なんでしょうか?」

「ああ、ほんとにアリナなのね、正直話だけだと半信半疑だったのだけどあれはアリナだわ」

とエルナは苦笑いをしていた。

「昔からあんな感じなんですか?」

「ええ、彼女周囲の魔力を吸収する速度が異常でね。普通の人間なら枯渇した魔力は1日かけて回復するのだけど…彼女の場合は、1時間もあれば全快してしまうから」

「化物では?」

そんな化物だったとは聞いていなかった。

「この周辺の魔物如きなら彼女なら余裕で狩れると思うわ。それこそちょっとコンビニにいく位のノリでね」

エルナには、現代の知識を学ぶにあたってマンガを提供している。

当初は文字が読めなかったのだが…。

教えたらすぐにひらがなはマスターし、カタカナ、漢字も小学校低学年位まではすでに履修済みである。

喋ることはできないが、読む事は出来るようになっている。

たまに意味がわからない言葉は、俺に聞きに来るのだが…。

なのである程度の現代のノリはわかるようになっている。

「でも、私は少し怒っています」

「えっ…」

「どうしてアリナが生きている事を教えてくれなかったの」

「伝えるか迷ったんですが…あの時はこうやって会わせる事が出来るとは思っていませんでしたから証明が出来ないと思いまして…申し訳ないです」

と頭を下げた。

「まぁ、説明だけじゃ信じられなかったでしょうし…そこまで怒ってる訳じゃないしどちらかというと嬉しさの方が勝つわね」

と母親のような目線でアヤネが出ていった森の方を見ていた。

そして少ししてから空に大きな大きな熊が宙を舞った。