軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第20話 トイレ

参考書代わりに異世界マンガを読んでいるのだが…。

「ちゃんと描写してるマンガすくねぇ…」

こいつら一体トイレはどうしてるんだ…。

こっちに来てからの初日は、それどころではなかったので問題なかったのだが…。

翌日はさすがに我慢出来ず携帯トイレを使用している。

ちなみにエルナに聞いた所、さも当然といった感じで痰壺よろしく糞尿を溜める用のツボにしている事実を明かされた。

しかも屋外…うん…そりゃ描写するわけないな。

なんと夢のない世界。

このトイレ事情についてはさすがに我慢出来ず、どうにかしたかった。

トイレ自体は通販サイトで購入可能だ。

電気もなんとかなる。

水もなんとかなる。

問題は、排水である。

汲み取り式で仮説トイレであれば使えるのだが、出来れば水洗で使いたいと思うのが現代人の性ではないだろうか。

さすがにそんな便利な物は売っておらずどうしたもんかと悩んでいた。

こういう事は聞いた方がいいと思い…正直あまりトイレ事情を女性に聞くのもどうかと思うのだが…。

「あの~排泄した物を処理したいんですけどどこか捨てる場所あります?」

「ああ、専用のスライム樽があるからそこに捨ててもらえば大丈夫よ」

知らないワードが飛び出した。

「スライムを捕まえてあるタルがあるのよ、そこに入れれば勝手に消化してくれるわ」

「衝撃のワードなんですけど、スライム!?」

「ええ、一部のスライムには人体を食べる性質のもいるんだけど、弱いスライムであれば樽に入れて定期的に排泄物を入れとけばそれだけ食べてくれるわ」

「それはいいですね」

そういうことなら衛生環境はそれなりに良さそうである。

下手すると街中で糞尿が溢れてる危険性もあったのだが、そこは心配しなくてよさそうである。

それならなんとかなると思い汲み取り式の仮説トイレをポチっておいた。

これで勝てる!

あちらも下着を選んでくれたので後はサイズなのだが、サイズの計り方まで書いてある本なのでそれを参照して自分で計ってもらった。

アンダーとトップの差は丁度25㎝だったそうで…それを参照してブラを注文した。

Gカップ…魔王が倒れるまでは食に困っていたという話だったのに、どうしてこの大きさなのか…とも思ったが。

そういえば彼女は魔物を自分で狩れるので食には困っていなかったのを思い出した。

さてトイレの話をした後に食べるのはどうかと思ったのだが…。

カレーの完成である。

ちなみにさすがにスパイスからは作ってないので市販のルーを使用した。

辛いのは苦手な人もいるので、甘口に加えてさらにりんごをすりおろして入れてある。

「その食欲をそそる匂いの正体はなに!?」

とずっと興味津々だったものを出した所…。

「ナニコレー!?!!?」

今までも何度か聞いたが一番大きい驚きの声を頂いた。

「なにこれすごく美味しい!こんなの食べたことない」

恐らく胡椒が高いという事は香辛料については全然発展してないので、香辛料の塊とも言えるカレーの美味しさに打ち震えていた。

「気に入ってもらえてよかったです」

「今日まで食べたものと比べたら私の出したスープは一体…」

「いえいえ、それは砂漠で出された一杯の水と比べるようなものですよ」

極限とも言える状態とは言い難いが、今後の事に不安を感じていた状況で差し出された料理はとても安心した。

確かに美味しさという面では及ばないかもしれないが、それでも心が満たされたのは事実であった。

「なんで気にしないでください」

「はしたないかもしれないのだけど…おかわりいいかしら…」

とおかわりを希望されたので、レトルトご飯をレンジでチンしてから再度差し出した。

この食欲を見るとあの体型も納得なのかもしれない。

「この野菜も美味しいわね」

サラダとしてトマトを提供した所、かなり警戒していたのだが…一度食べてからは嘘のように感動しながら食べていた。

「これは木の実なの?こんなに甘いなんて…最高」

なるほど…甘い物となると木の実や果実になるので、中々口にする機会がないそうだ。

俺としてはどちらかという酸味が欲しくて食べているのだが、彼女にとっては甘さを強く感じるようだ。

「森には果実があるのだけど…強い魔物が集まるポイントでもあるから近づけなくてね」

結局、魔物たちにとっても甘い物はごちそうらしく多くの魔物が集まる。

そしてそのせいで充分な量が確保出来ないという状況らしい。

この後、冷蔵庫で冷やしているアレを出したらどうなるのだろうか…と少し心配である。

食事を終えて完全に満足しているエルナに例の物を差し出す。

「これ食後のデザートなんですが…食べれます?無理なら明日に回しますが」

「食べる!」

と元気な声で返事をされたので包装を開けてスプーンを渡す。

「これは一体…」

今までの料理のおかげで警戒心が薄れているのかすぐに口に運んだ。

「…」

今まで大きな声を上げていたというのに今度は、完全に天を仰ぎ沈黙した。

「だ、大丈夫です?」

「…」

反応がない…もしかしてまずかったのだろうか?

「お…」

「お?」

「おいしい…」

大きな声ではなく味を噛みしめるように呟いた。

「これは神様の食べ物だったり?

「いえ、一般家庭で食べられるものですよ」

「天上人…」

「違いますよー?」

どうやら感動のあまり天に登ってしまったようだ。

「これはなんなの、甘くてとっても美味しい…」

「プリンです、牛乳と卵を使ったあちらの世界の菓子です」

「幸せ…」

と夢見心地の彼女にはこのあと仕事がある。