軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

200話 亀探しの旅に出ました!

「それじゃあ、お父さん。行ってくるよ」

ミリナがそう言うも、家の中にいるヨモツからは返事がなかった。

メルクがミリナの背中をポンと叩く。

「気にしない。セレスが来たら、どうせ外に出る」

「うん……」

ミリナは頷くと、もう一度ヨモツを見て、俺たちと共にフェンデルの城門へと向かった。

俺たちはこれから、亀を探しにいく。

ミリナも付いてくるので、ヨモツに挨拶をしたのだが……やっぱりヨモツは元気がなかった。

狐人の前族長と話した後、俺はヨモツに訊ねた。お前は、死んだ者に会いたいのかと。

ヨモツは何も答えなかった。魔王に関することはやはり、絶対に口を割るつもりはないらしい。

とはいえ、今のヨモツにはもうそれに加担することはできない。魔王やキュウビの成功を祈るしかできない。

ただ一つ分からないのは、キュウビとヨモツの行動と、魔王軍全体の動きの呼吸が合ってないように見える。

俺たちも救援に向かったトレア王国がああも混乱しているとき、南にいる魔王軍は動かなかった。

ヨモツが捕まったときの態度も変だった。

魔王に引き渡すと言ったら、それだけは辞めるよう言っていた。ヨモツとキュウビが魔王に無断で、独自行動を取っている可能性はある。

また、白砂島で会ったオルトらリザードマンは、戦いに積極的でなかった。一方で、魔王軍上層部は戦いを望んでいると主張していた。

全体的に足並みが揃っていない……魔王が部族を統制できてないということだろうか。

いずれにせよ、こちらは自分たちの態勢を盤石にするだけだ。

残る大陸東海岸の南部を調べ、そこにいる亀たちと接触する。

「それじゃあ、行くか」

俺の言葉に、イリアたちはコクリと頷いた。

それから、とりあえずはノワ族の住処であるノワール村までは馬車で向かうことにした。

さっそくユミルたちドワーフと、ゴーレムが街道を敷いてくれたのだ。

フェンデル村とも接続された街道を進んでいく。

「すごいな、これは……」

俺は馬車を走らせながら、思わずそう呟いた。

メルクも呟く。

「全く揺れない」

こんな街道は初めてだ。

敷かれた石材に凹凸がないだけでなく、街道の中央には平行に伸びる溝があった。全部で四本の溝だ。

その溝には鉄板が張られているようで、馬車の車輪がそこを通れるようになっている。右二本がフェンデル方面に向かう溝で、左二本がノワール村方面に向かうための溝のようだ。

この溝のおかげで、揺れることも馬車が道を外れることもない。

イリアが言う。

「もっと速度を出せそうですね」

「そうだな。馬の体力次第だけど、緊急時はすぐに駆けつけることができそうだ」

今は普通に走っているが、馬をもっと速く走らせることもできそうだ。

「さすがドワーフだな……」

フェンデルからドワーフ族の暮らす山ユミルディアに着くと、街道は山に掘られた坑道のようなものに繋がっていた。この坑道を抜けると、ノワール村への街道に入る。

坑道の中ではユミルディアの倉庫に繋がる荷下ろし場が見えた。これなら雨に濡れることなく、物資のやりとりができる。

俺たちは声をかけてくるドワーフたちに挨拶し、坑道を進んでいく。

馬車の上でメッテが呟いた。

「ドワーフたち……見ないうちに、色々な物を作るようになってきたな」

「もしかしたら、前の飛行艇も作ってしまうかもしれませんね」

アスハもそう答えた。

そう遠くない内に、本当に飛行艇を作るかもしれない……ユミルが今、色々実験してくれているし。

そんなこんなで、ノワール村まではあっという間だった。

魔法を覚え、道具を使えるようになったノワール族も、だいぶ暮らしが安定してきたようだ。

食料も、フェンデルから送らなくても自分たちで確保できている。

「にゃにゃ! よくぞ来たにゃ!」

迎えてくれたのは、黒猫のローナだ。

「ローナ。村の調子はどうだ?」

「いい感じにゃ! お腹いっぱい食べられるようになったのはもちろんじゃが、子供たちもフェンデルのガッコ―が楽しいって言っているにゃ!」

「それはよかった」

フェンデルの学校には、本当に多くの種族が集まるようになった。

ローナが訊ねてくる。

「それで、亀たちを探しに行くんじゃな?」

「ああ。ここから南に行って、海から船で行こうと思う」

亀は水辺に住まう……という先入観がある。

また、数年前にカッパたちが、海岸で亀を見たという報告も聞いた。

「なら、ローナもついていくにゃ!」

「おお、歓迎するよ。亀たちも、ノワ族に見覚えがあるかもしれないし」

イリアやメッテたちは、亀を見たことも聞いたこともなかったらしい。天狗も遠くからでは、亜人とは認識できなかったようだ。

だが、ノワ族と狐人は度々接触している。

ミリナとローナがいれば、亀とも話がスムーズに進むだろう。

そうして俺たちはローナと共に南の砂浜に向かい、そこで船に乗り込むのだった。