軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

191話 子守りでした!

子狐たちを連れて、俺たちは一度フェンデル村へと帰還することにした。

ノワール村周辺では、天狗に加え、ノワ族たちが警戒に当たってくれることとなった。

残りのキラーワームか、他の狐人が見つかるといいのだが。

「キュウ、キュウ」

保護した狐人の子供たちはだいぶ落ち着きを取り戻しつつあった。

それでも親や家族がいないせいなのか、皆少し怖がっているようにも見える。

「俺は家を造る。皆は、しばらく面倒を見ておいてくれ」

狐人の子供は、約八十人ほどいた。穴は広く、結構な数がまだ穴にいたのだ。

怯えてなかなか出ない者もいた。

というのは、家族から迎えにくるまで出てこないよう言われたかららしい。

穴には食べ物があって、本当に迎えにくるつもりだったのだろう。

だが、他の大人たちの狐人はまだ見つかっていない。

一応、穴の付近に塔があってそこにノワ族と天狗がいるので、穴に戻ってきた狐人がいれば気が付くと思うが。

「よし、家はできた」

とりあえず簡単な平屋で、中にはモープの毛を作った布団が入っている。

「メッメー! 入るっす! 中に布団があるっすから!」

セレスはそう声を上げる。他のモープもだが、自分の毛の中に狐人たちが多数籠っているのだ。居心地がいいのだろう。

いまだに俺の肩に乗っかっている狐人もいる。

抱き抱えて撫でてあげる。

きゅうきゅうと鳴き声を上げて、気持ちよさそうな顔をする。何とも可愛らしい。メルクたち人狼のように毛がさらさらとしている。

ずっと撫でていたいぐらいだが……キラーワームや他の狐人のことも気になる。

村の者たちに彼らは任せ、すぐに東に戻るとしよう。

だがなかなか離れてくれない……弱ったな。

そんな中、メルクが呟く。

「ミリナ。兄弟と面倒を見る」

「え? でも」

「落ち着かせて、家に入れる」

「う、うん」

ミリナはそのままよく通る声を響かせた。

すると、狐たち──ミリナの兄弟の狐人たちがやってくる。

「姉ちゃん、こいつらは?」

「私たちと同じ子がいっぱいいる!」

ミリナの兄弟たちは、自分たちと同じ狐人の子供がたくさんいることに驚きを隠せないようだ。

「皆の面倒を見て。家に入れるの。できる?」

ミリナがそう言うと、皆うんと頷いた。

それからミリナの兄弟は体を寄せたり、じゃれ合い、狐人たちの気を惹いていく。微笑ましい様子だ。

皆、やはり同じ種族だからか、すぐに打ち解けていった。ミリナと兄弟たちの声に従い、家に向かっていく狐人の子供も増えてきた。

隣にいたイリアはその様子を見て、ほっとした顔をする。

「やはり慣れてますね……あ」

何かに気が付くイリア。その視線の先には、目を丸くする狐……ヨモツがいた。

「こ、こいつらは……」

メルクがヨモツに答える。

「多分ヨモツと同じ種族。東にいた」

「東……だと」

「困っていた。だから、村に連れてきた」

ヨモツはメルクの言葉を聞くと、ミリナと兄弟たちに声を上げる。

「皆、離れろ! そいつらに近付くんじゃない!」

「お、お父さん? どうしたの? こんなに仲間がいるのに」

ミリナはそう言って、首を傾げた。他の兄弟たちも、訳が分からないといった顔だ。

「こいつらは、俺を……いや、お前たちの母をいじめ……追放した者たちだ!」

「こ、この子たちが?」

ミリナは自分が抱えていた狐人の子供に目を移す。

しかしすぐにメルクが答える。

「ミリナ、続ける。ヨモツが言っているのは、多分親とか大人」

「親でも大人でも同じことだ! ミリナ! この一族に手を貸してはいかん!」

ヨモツはそう怒声を響かせた。

あれだけ無気力だったヨモツが、狐人の子供たちを見て、急に怒りを露にした。

これはつまり、ヨモツと狐人たちとの間に因縁があったからだろう。

ミリナと兄弟たちは、その声に戸惑う。

だがメルクが言う。

「ミリナ、子供の面倒を見る。じゃないと晩ご飯抜き」

「う、うん……お父さん、よく分からないけど」

自分たちはそもそも虜囚の身だということを、ミリナたちは理解しているようだ。

そして恐らくは、ヨモツとその妻の過去をあまり知らないのだろう。

そこにメッテが口を開く。

「子供は関係ない。それが奴隷狩りであろうと、魔王軍の子であろうと。私たちは手を貸すだけだ」

「きれいごとを……お前たちに、俺たちの何が分かる!?」

ヨモツの声にイリアが答える。

「理解しないとは言いません。でも、あなたの考えを押し付けないでください。ここは、フェンデル。私たちの村です」

その言葉に、ヨモツは口を噤んでしまう。

それから、ミリナと兄弟たちは狐人の子守りを続けた。

それを見たヨモツは、とぼとぼとどこかへと消えていった。

きっと、狐人の大人たちに恨みがあるのだろう。

「イリア……ちょっと、話を聞いてくる」

「私もご一緒します」

俺たちはヨモツの後を追うのだった。