軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

153話 敵なしでした!?

「このまままっすぐよ!」

イーリスは剣を手に、俺たちを先導するように石畳の街路を走る。

やはり陽動が上手くいったようで、道中のスケルトンは、五体ほどの小隊がちらほらいる程度だった。

メッテやイリアはもちろん、イーリスでも秒で薙ぎ払える数だ。

たまに建物の窓や屋上から矢を放ってくるが、それはアスハが風魔法ですべて防いでくれる。

そんな中、スケルトンに進んで挑むイーリスに、メッテが声をかける。

「なかなか筋がいいな」

「ありがとう! あなたもそんな細腕ですごい得物振り回しているわね!」

「ヨシュアが作ってくれたんだ! やっぱり私の旦那が作っただけあって、いい武器だろ!?」

「あ、う、うん! 本当にヨシュアは良い武器作るよね!」

イーリスは何か嫌な予感がしたのか、話を終わりにしようとする。

しかし、やはりイリアが刀を振りながらこう答えた。

「昨日も言ったでしょう、メッテ! イーリス様には、事実だけを伝えるべきだと! ヨシュア様にまだ妻はいません!」

その言葉に、イーリスは顔を青ざめさせる。

そういえば昨日、イーリスはイリアたちと風呂に入った。

何を話していたのか、だいたい想像がついてしまうな……

「ヨシュア……最初は弄ってやろうと思ったけど」

イーリスは憐れむような目で言った。

苦労していると思われているのだろう。

でも、正直なところは賑やかで楽しい。男としては悪い気もしないし……

そんな顔をしていると、イーリスは何故か微笑む。

「うん、どうした。イーリス?」

「いや、今のヨシュア、幸せなんだなって思って。昔と全然表情違うからさ」

確かに俺はフェンデルに来てから、大変ではありつつも、満ち足りた日々を送っている。

自分でも、顔が強張ることがなくなった気がする。

「ああ、幸せだよ……」

「それはよかった。実はさ……ヨシュアに手紙を送ろうと思っていたの」

「俺に? どんな手紙だったんだ?」

「この国の宮廷鍛冶職人にならないかって誘い」

「なるほど……」

もし仮にイーリスの誘いのほうが早くて、その誘いを受けていたら……イリアたちとは会えなかったかもしれない。とはいえ、俺は最後までシュバルツ騎士団を辞める気はなかったが。

俺は心配そうに見つめるメルクに気が付く。

「大丈夫だ、メルク。俺はずっと一緒だから」

「別に……心配してない」

メルクは恥ずかしいのか、顔を逸らした。

それを見て、イーリスはやはり微笑む。

俺が本当に皆と仲がいいのが伝わったようだ。

誘い云々はもちろん、俺はもう人の街で暮らすことはないだろう。やはり俺は、早く皆とフェンデル村に帰りたがっている。

「……っと、もう少しで神殿だ! ここはやはり敵が多いぞ!」

見えてきた神殿の前には大きな広場があった。

そこには千体ほどのスケルトンが待機していた。

結構多いな……

しかし、それだけ重要な場所だから、多くのスケルトンがいるのだろう。やはりこの神殿の墓地がスケルトンの発生源で間違いない。

俺は大量のスケルトンに身構えたが、メッテは全く怖気づかない。

「ようやく、敵らしい敵が出てきたな!」

「ここに来る前、ダンジョンで戦ったときと同じぐらいの数でしょうか?」

イリアも冷静にそう言った。

たしかに俺たちはもう、フェンデル村近くのダンジョンでスケルトンと戦っている。格上のスケルトンナイトやリッチとも戦った。

あの時も、数百体を倒したんだよな……だからこそ、イリアもメッテも怖くないのだ。

メルクが呟く。

「一気に倒す。アスハは風魔法で弓を防ぐ」

「かしこまりました」

皆、俺が何も言わずとも行動を開始した。

すぐにスケルトンの方から、矢を飛ばしてくる。

しかしこれは、アスハの風魔法によって簡単に吹き飛ばされてしまった。

それからは、もうすごい勢いでスケルトンが倒されていった。

イリアは刀でメッテは金棒で、二人とも競うようにしてスケルトンの大群を薙ぎ払い始めたのだ。

イリアは無駄がない動きだ。

メッテは豪快に金棒を大きく振っている。

ともかく二人とも、一振りでスケルトン数体を倒していった。

イーリスも負けじと剣を振るうが、さすがのイリアたちの活躍に舌を巻く。

「すご……こりゃ、ロイグやシュバルツ騎士団でも勝てないわ……」

「それに、以前よりも技量が増してる」

俺も驚く程の二人の戦いぶりだった。ミノタウロスとの戦いなど、いくつかの戦いを通じてさらに強くなったのかもしれない。

やがてアスハも風魔法でスケルトンを吹き飛ばしていくと、ついには動くスケルトンが広場から消えた。

白骨が残っているので、このスケルトンたちは召喚されたわけじゃない。やはり、この神殿の裏で遺体を利用された者たちだ。

「とりあえずは全部倒したな。ユミルに爆弾を作ってもらったんだが……これはいらなかったな」

俺は魔法工房の爆弾に意識を向ける。

多数の敵にこそ威力を発揮する武器。

こういう戦いでこそ役に立つと思ったが、イリアたちがいれば必要なかった。

「新しい武器? ……どうかしらね? まだ、神殿から来るみたいよ」

イーリスは剣を構えて言った。

神殿のほうから、新手のスケルトンが数百体やってきたのだ。

しかしイリアとメッテは余裕の表情で言葉を交わす。

「これで終わりかと拍子抜けしていたところだ」

「今のところは私が勝ってますよ、メッテ」

「数えていたんですか……?」

俺は皆に向かって言う。

「よし! このままあの神殿の裏にある墓地に向かうぞ! そこから奴らは出てきてるはずだ」

俺たちは、神殿の裏側へ進むのだった。