軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

【第69話】火を起こそう!

「作って欲しいのは火を起こす道具なんだけど」

「火おこしの道具? 新しい火打ち石ですか?」

「うん。まぁそんな感じかな」

言いながら僕は地面に枝で構造を描いてゆく。

僕が欲しいと思っているのは”圧気発火具”と呼ばれる器具。

ルデク滅亡後に大陸に入ってきた道具で、先日、第二騎士団の表敬訪問の時の移動中に、雨で身体が冷えた際に、簡単に火を起こせたら便利だなと思ったのだ。

「こうして筒状のものに、ピッタリとはまる棒を用意して、棒の先に燃えやすいものを付けてから、筒に一気に押し込むと、火がつくんだけど」

「、、、、なぜ、中を密閉すると火がつくんですか?」

「なんでも中の空気が急速にぎゅってなると、すごく熱くなるらしいよ」

「なんで空気が圧縮されると熱が、、、、そういえば瓶詰めは逆に空気が逃げるとより密閉されましたよね? 空気、果たして空気とはなんなのか、、、」

、、、、なんだかドリューの考えがとんでもない所に飛んでいっている気がするけれど、とりあえずできるか聞きたい。

「できる?」

僕の質問に対する答えは簡単だった。

「できますよ? 似たようなものを作ったことあるから、試作品をすぐにでも」

「そうなの?」

「ああ、とりあえず試さないと! 皆さん、何をのんびりしているんです!? すぐに部屋に戻りますよ!」と言うなり駆け出すドリュー。

ドリューの行動に、部下のジュディアノとホーネットは呆れているんじゃないかと心配になって視線を走らせると、2人とも「ドリューさんかっけー」みたいな目でドリューの背中を見つめている。案外人事は仕事してるんだなぁと思った。

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「あ、あった。これこれ」

ドリューから差し出されたものを見て僕は驚く。その掌には僕の希望をほぼ満たした物が転がっていたのだ。

「え、これ。なんのために作ったの?」

「なんのため?」ドリューは不思議そうに首を傾げた。え? 君が作ったんだよね?

「特に目的はないですよ? こう、ピッタリしたものを作ってみたかったというか」

まじか。

「ドリュー、この突き刺す方の棒の先端をちょっと削って窪地にしてもいい?」

「かまいません。というかジブンがやるので、貸して」

僕からブツを引ったくると、あっという間に希望通りの窪地を作る。

「えっと、何か燃えやすいもの、、、」

「っす」ホーネットがすぐに持ってきてくれる。

「ありがとう。それと、これから火種を作るから、ちゃんと燃やせるものを用意したいので、一旦外に出ましょう」

「ええ!? ジブン、ここですぐに見たいですが!?」

いや、ここで火が起こったら、部屋ごと燃えそうだよ?

渋々外に連れ出したドリューから急かされて、僕は圧気発火具の準備に入る。

「使い方は簡単です。筒に押し込む棒に燃えやすい素材をつけて、その棒を一気に差し込むだけです」

そう言いながら実践してみると、一度でうまく火種ができた。急いで木屑へと火種を落とし、息を吹きかけると、簡単に火がついた。

「とまぁ、こんな感じに使うのですが、、、、、どうしました?」

みんなが静かなので振り向いてみれば、実に多彩な表情でこちらを見つめていた。

興味津々で見ていたのは、ドリュー、ジュディアノ、ホーネットの技術者組。

不思議そうに見ているのはディックとルファ。

彼ら彼女らは面白いものを見たとばかりキャッキャしている。

真剣なのはウィックハルトとフレイン、リュゼル。それからグランツ様とラピリア様の軍人組。

こちらはどんなふうに戦場で使えるのかを検討しているようで、圧気発火具に熱い視線を注いでいる。

最後に頭を抱えているというか、おでこに手を当てて似たような体勢をしているのは、レイズ様とネルフィアとサザビーだ。

「ロア、、、、お前という奴は、、、、この技術はまだ誰にも言ってないな?」

少し怒ったような顔のレイズ様が言う。

「あ、はい。この間の任務の時に思いついたので」

ついでネルフィアが言う。

「ロア様、、、、これはまた、とんでもない技術かと思いますが、、、どこから?」

「えーっと、どこだったっけ? なんかの本で読んだのは間違いないのだけど、、、」

全く言い訳が思いつかなかった。ひとまず本で読んだで誤魔化そう。

「本、、、、ですか、、、」あんまり納得いっていない感じのネルフィア。

「ロア殿って、どれだけ本を読んでいるんです?」サザビーが聞いてくる。

「最近はあまり読めていないけれど、とりあえず戦闘に関するものなら城内にある閲覧可能なものは全て読んだと思うよ?」

これはほぼ本当。隙を見つけては読み漁り、貸し出し可能なものはみんなが寝静まった後も読んでいた。その習性は死ぬまで直らなかったので、あと40年間は読み続けたわけだ。

「全部? まじっすか」レイズ様達のただならぬ雰囲気を察し、やり取りに視線を移した人たちの中から、ホーネットが呆れたように口にする。

唯一、我関せず「これも商売になるね」と、一人ひたすらに楽しそうなドリュー。

「とにかく、こちらも並行して生産を検討する。ただしこちらは少し世間への影響が大きい。極秘で進行させるのでそのつもりで」

ひとまず、レイズ様がそんな言葉でこの場を締めた。