軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

【第63話】ならし任務④ 第二騎士団

野盗討伐の任務を終えた僕らは、オークルの砦から西へと馬を走らせていた。目的地はユフェという中規模な砦だ。最近の第二騎士団はこの砦を拠点にしていることが多いという。

「少し雲行きが怪しいな」並走していたフレインが呟く。

思うところがあって、僕は第二騎士団の団長と会ってみたいと思った。

そのため任務完了後の休暇期間を利用して、ひとっ走り第二騎士団に挨拶してくると話したところ、ウィックハルトとディック。それにリュゼルとフレインもついてきてくれるという。

「折角だから観光を楽しんで来ればいいのに」という僕に、「私はロア殿の側近ですから。それにニーズホックにも話が通しやすいでしょう?」と返すウィックハルト。

ニーズホックとは、第二騎士団の団長のことだ。

今回の任務に際して、ウィックハルトは自分から方針に口を出すことはなく、静かに僕、リュゼル、フレインの会話に耳を傾けていた。

ウィックハルト自身も、ロア隊における自分の立ち位置を探っている最中なのかも知れない。

ディックは基本的に作戦に口出しすることはない。ただしこちらも、僕が動けば必ずついてくる。レイズ様に与えられた役割だそうだ。

リュゼルとフレインは事前に話していた通り、単純に第二騎士団を見てみたいらしい。

与えられた休暇は3日。3日後の夜までにはオークルへ戻ってこなければならない。砦までの距離を考えると、ユフェに滞在できるのは精々数時間。運悪く第二騎士団が出かけていたら、空振りで終わる可能性も十分にある。

「雨が降ってくれれば、捕まえやすくなるかも知れません」とウィックハルトが言う。現状第二騎士団は大きな任務を背負っていないから、悪天候ならそれほど大きな動きを見せないだろうという判断。

「けど、このまま大雨になると俺たちも進み辛くなるぞ。少し急いだ方がいいかもしれん。ディック、ついてこれるか?」

「大丈夫だぁ〜」

少し後ろを走る、ディックののんびりした返事が返ってくる。返事はともかく、騎乗自体はそれなりに様になっている。元々第10騎士団に加入できる実力はあるのだ。飲み込みは僕よりも何倍も早い。

「よし。それじゃあ今日の目的の街まで急ごう」速度を上げるリュゼル、それを見たフレインが同じく速度を上げ、それを見たリュゼルが速度を、、、、、

あっという間に小さくなってゆく2人の姿を少し呆れながら眺める。

「あそこまで急がなくても、なんとか天気は持つと思います。我々も行きましょうか?」ウィックハルトも苦笑しながら2人の背中を見送っている。

「そうだね」僕はアロウのお腹を軽く蹴って、先を急ぐのだった。

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「ここがユフェの砦かぁ」

心配した雨は夜のうちに止み、多少足元は悪かったけれど、順調に目的地へたどり着いた。

僕らが砦に近づくと砦からこちらに向かって旗が振られる。”そこで止まれ”の合図だ。事前連絡をする時間はなかったので、突然の来訪。当然の処置だ。

僕らは指示に従ってその場に止まる。

しばらくすると砦から数名の騎兵がこちらへ近づいてきた。

「ウィックハルト様?」

やってきた騎兵の一人が訝しげな声をあげる。ウィックハルトの顔見知りだったようだ。

「レゾール隊長じゃないか。久しぶり」

「お久しぶりです、、、、しかしなぜここに? あなたは確か、、、、」そこまで言って言葉に詰まる。

「ああ、聞いていると思うが、私は団長を辞任した。現在はこちらのロア殿の側近として第10騎士団のお世話になっている」

「ロア殿、、、、グランツ様やラピリア様ではなく? 失礼ですが、あまり聞かぬ名です。貴殿がそのロア殿ですか?」

「はい。一応レイズ様からはロア隊を任されています。こちらは僕の部隊の部隊長のリュゼルとフレイン。それに側近のディックです」

「リュゼル隊長の名は存じております。第10騎士団唯一の騎馬隊を率いていると」

さすが騎馬部隊の部隊長。

「リュゼルです。俺もレゾール隊長の名前はよく知っています。お会いできて光栄です」

「それはどうも。それで、貴殿がロア隊に?」

「はい。ほんのひと月前に結成されたばかり。グランツ中隊、ラピリア中隊に次ぐ、第10騎士団3つ目の中隊となります」

「そうですか、、、、それで、そのロア隊の方々がどのような御用でこんなところに、それもこんな少人数で?」

「実は、できたばかりの中隊のため、練兵も兼ねて三女神の泉の近くに出た盗賊の鎮圧に来たのです。この辺りは第二騎士団の持ち場ですし、ぜひ一度ご挨拶を、と。それと、実は第10騎士団も騎馬隊を増やしました。ロア隊は騎馬部隊として活動しますので、第二騎士団の方々の勇姿を見学させてもらえればと。時間がなかったもので先触れが出せずにすみません。今日もあまり時間はないので、お邪魔でしたらすぐに帰ります」

と、僕は一気に畳み掛ける。

「なるほど。騎馬部隊を」レゾール隊長の視線が少し和らぐ。新規の騎馬部隊が第二騎士団に教えを請いたいというのは効いたようだ。

「折角来ていただいたのに、追い返すのも礼を失します。団長の許しを得て参りますので、すみませんがここでしばらくお待ちいただけますか?」

「かまいません。むしろ邪魔をしてしまってすみません」

「いえ、夜半の雨で今日は非番の兵も多い。貴殿らにとって有益なお話もできるかも知れません」

そう言い置いて、去ってゆくレゾール隊長。

それからさして時間がかからず、僕らは砦に招き入れられた。