軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

【第351話】終わりの話① 皇帝からの手紙

「まさか、俺が伝令の真似事をするとはな」

不満を漏らしながらやってきたリヴォーテであったけれど、どこか上機嫌に見えるのは、皇帝から頼まれたからだろう。その忠誠心は海より深いのだ。

リヴォーテの相手はルファと双子に任せ、僕は早速親書に目を落とす。

「、、、、、ふうん。なるほど」

内容としては、今後について打ち合わせをしたいこと。それから新港がだいぶ形になってきたので、一度見にきてはどうかということがつらつらと書かれている。

そして最後に、僕とラピリアの婚儀へのツェツィー夫妻の参列に関することで、少し相談があると書いてあった。

要はあれだね。お前、もう良い加減状況も落ち着いただろうから、ちょっと帝都まで来て色々説明しろや、ついでに打ち合わせもすっから。という事だね。

「読んだか?」

僕が手紙に目を通している間に一体何があったのかは知らないけれど、リヴォーテはユイゼストを背負い、その上にメイゼストが乗っかり、さらに一番上にルファが被さっていた。

、、、、本当に何してんの?

そんな僕の呆れ顔は無視して「読んだか?」と再度聞いてくるリヴォーテ。僕が読んだと答えると「ゼウラシア王からも手紙を預かってきた」と差し出してくる。

こちらは皇帝の手紙を受けて、可能であれば帝都へ向かってくれとの内容だ。まあ、そろそろ一度皇帝には挨拶に行かないといけなかったし、ここらが良い機会か。

皇帝はちゃんと約束を守りリフレアとルデクの戦いには傍観を決め込んでくれた。結果的にルデクはゴルベル北部とリフレア領を支配し、帝国にも脅威になりかねない勢力になったにも拘わらずだ。

「ところで、ここまでリヴォーテが来たってことは、リヴォーテも、、、?」

「無論だ。俺も一度帝都に戻る」

「えー、リヴォーテ、帰っちゃうの?」

一番上に乗っかったままのルファが、抗議の声をあげた。それはともかく、そろそろ降りてあげなさい。

「いや、今回はあくまでロアの案内役だな。ロアたちがこちらへ戻るときに、俺も戻ってくる」

「そうなんだ!」

楽しそうなルファに

「ならまだ揶揄えるな!」

「一安心だ!」

と乗ってくる双子。言葉だけではなく物理的にも乗っかっている。

「五月蝿いぞ! 俺は仕事だ、お前らと遊んでいる暇などない!」

キリリと反論するリヴォーテ。

そんな姿で言われてもなぁ、、、、

まあともかく、こうして僕は再び帝都へ向かうことになったのである。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「わあ!ここが帝国!?」

楽しげに周囲をキョロキョロするルファと、

「この辺りはまだまだ入り口だ。帝国は広いのだ!」

と自慢げなリヴォーテ。

今回帝国に足を運ぶのは、楽しげに先を進むルファとリヴォーテ、それに僕とウィックハルト、ラピリア、双子。そしてサザビー。

帝国にルファが気軽に来れるようになったのを見て、僕はじんわりと平和を噛み締める。

「ふむ。このような形で帝国の地を踏むことになるとはな! しかも旧リフレア領から!」

実は同行者はもう一人。と言っても忘れていたわけではないというか、この存在感を忘れるわけがない。

第三騎士団団長にして、旧リフレア領の総督を兼ねるザックハート様である。

ザックハート様が同行しているのはもちろん、ルファが帝国に遊びに行きたいと言ったから、、、ではないと信じたい。

一応の建前としては、帝国と大きく領土を隣接する地域の責任者なので、一応挨拶をしておきたいということだった。

ホックさんがツァナデフォルの窓口となり、ザックハート様が帝国との交渉を担当するのだ。

2度言うけれど、ルファが帝国に遊びに行きたいと言ったからついてきた訳ではない。多分。

ともかくザックハート様が皇帝と会っておくのは悪い話ではないので、多少ホックさんに呆れられながらも、大きな問題もなく帝都へ向かっているのである。

そうして数日をかけてやってきた再びの帝都。

前回はとにかくあらゆることに対して必死だったので、今回はもう少しゆっくり出来れば良いのだけど。

到着した僕らは豪華な控え室へ通される。

リヴォーテが「ここで少し待っていろ」と言い残して出てゆくと、僕らはそれぞれ楽な体勢になって旅の疲れを癒す。

僕は一人用のソファに座ると、その柔らかさに身を委ねた。

少しして、部屋の扉がノックされる。

「どうぞ」

すぐに反応して警戒態勢をとったウィックハルトの招きで部屋に入ってきたのは、長身の美しい女性だ。けれど何処か、狼を思わせるような猛々しさを纏った人だった。

誰だろう?

見知らぬ人物の不意の来訪に、僕は身体をソファに沈み込ませたままだ。すると、その女性が「ロア=シュタイン殿はどなたか?」と聞いてきた。

「ロア=シュタインは私です」

その人は僕に視線を移す。

そして端的に、「サピア=ヴォリヴィアノである」と名乗った。