軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

【第250話】ホッケハルンの決戦12 戦、終わりて。

「あまり、大将に殉じようという兵はいないようだな」

リヴォーテが言う通り、第一騎士団は報復よりも撤退を選択した。

第10騎士団の本隊からも追撃の部隊を出した上、こちらの動きに呼応して砦からも出撃を確認。もはや、完全に大勢は決したと言って良い。

既に第一騎士団のいなくなった場所に、ラピリアの旗を立てた一団だけが立ち尽くしている。何かあったのかと急ぎ近づいてみれば、ラピリアが下馬してルシファルの兜を脱がそうとしているところだった。

「ラピリア!!」

僕もアロウから降りて駆け寄ると、ラピリアが僕に飛びつく。

「ロア! やった! 私、レイズ様の仇を討った!」

「うん! 凄いよラピリア! 凄い!!」

しばし抱き合う僕らを周りの兵が微笑ましく眺める時間が過ぎる。少しして僕から離れたラピリアが今度はかしこまって跪くと、僕の前に白く輝く兜を差し出した。

「第10騎士団、ラピリア=ゾディアック、裏切り者ルシファル=ベラスの首、討ち取ってまいりました」と報告。

「確かに確認した。ご苦労だった!」

一応の儀式を行なって、僕は白い兜を受け取る。僕が兜を兵士に預けて一段落したところで、ウィックハルトが声をかけてきた。

「ルシファルの遺骸はどうします?」

僕は少し考える。

「、、、、ベラス家に送ろう。どうするかは、ベラス家に任せるよ」

今回の裏切りの後、ベラス家は沈黙を保っている。ただ当然のことながら、一族に注がれる視線は厳しい。

一応貴族院の呼びかけに応じ、裏切った者と関係の深い家として、大半の私財を投げ打ち資金の提供をしたと言うのは耳にしていた。

それぞれの考えだろうけれど、ベラス家の中にも、ルシファルの遺骸などお荷物以外の何でもないと考える者もいるだろう。

当主はルシファルの実父であったはずだけど、丁寧に埋葬することはできないと思う。家を存続させるために、彼らは難しい判断を迫られる。

「それは、、、中々に意地の悪い選択肢ですね」

そんな感想を口にしたのは、本隊とともに従軍していたネルフィアだ。

そうかもしれないね。でもまあ、レイズ様よりマシだろ? 生まれ故郷の大地に眠れるのだから。

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「アタシたちは先に行って、もう一仕事してくるわね。せめて、相応の功績を見せないといけないから」

ホックさんはそれだけ言い残すと、第二騎士団を引き連れて早々に北へと駆けて行った。

撤退する第一騎士団とリフレア軍を追い抜いて、彼らに奪われていたオークルの砦の奪還に向かったのだ。

ルシファルの敗戦が届くより先に、ホックさんたちが砦に先着すれば、さして疑いもせずに扉を開くだろう。

ホックさん達は復帰のためにも死に物狂いで駈けるはずだ。オークルの陥落は時間の問題のように思えた。

敗走する第一騎士団たちは双子が追い立てている。僕らもあんまりのんびりしていられない。旧領回復の大きな好機だ。このまま第一騎士団たちを領外へ追いやって、ルデク北東部へ雪崩れ込まなければならない。

第六騎士団や第七騎士団との挨拶もそこそこに、追撃準備を調えて出陣。そんな僕らに同行を申し出たのは第七騎士団とトール将軍だ。

「結局働きらしい働きをしていないのだ。このままでは帰れん」と半ば強引についてきた。なんか、双子みたいな人だ。

問答をしている時間も惜しいので、好きにさせることにする。

「こちらのことはお任せください。王へも確かに伝えます」頼もしい言葉で見送ってくれるフォガードさんに後を託し、僕らは馬首を北へと向けた。

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北部奪還戦は順調に進む。

予想通り、第二騎士団の帰還を疑わずに受け入れたオークルの砦は、ホックさんの手によって瞬く間に陥落。

オークルの砦陥落を受け、散々に追い立てられた第一騎士団達は、ルデク北部にとどまることを断念。甚大な被害を出しながらリフレアへと退却していった。

僕は奪還されたばかりのオークルの砦に入り、周辺の町村復旧の指揮を取る。

「私はデンバーとその周辺の制圧に向かおう。ロア、シャリス隊は元第九騎士団が多いのだったな、貸してくれ」とトール将軍が言う。

デンバーは第九騎士団が拠点としていた場所だ。確かにシャリス達がいた方がやりやすいだろう。僕が快く了承すると、なぜかシャリスが少し嫌そうな顔をした。僕が知らないところで何かあったのかな?

出立前にシャリスが「絶対無茶なことをしないでください!」と強く釘を刺していた。

うん。何かあったね。まあいいや。仲良くやって。

こうして北部の奪還は成った。

僕は今度こそ確信して良いのだろうか。

ルデク滅亡の危機を回避できたのだと。

けれど、喜ぶのはまだ早い。

まだ、僕の戦いは終わっていない。

ずっとそれどころではなかったけれど、最初から決めていたことがある。

リフレア神聖国。

このまま放置しておけば、また、何か仕掛けてくるかもしれない。

オークルの砦から北の空を睨む。

一度は僕らの国を滅ぼしたのだ。同じことをされても、文句は言えない。自分達は安全とは思わないことだ。

僕は、リフレアを滅ぼすつもりでいる。