軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

【第234話】新生、第10騎士団(上)

「えっと、それじゃあ今後の第10騎士団についての話し合いを始めようと思います」

「ロア、もうちょっとビシッと始めなさいよ」

早々にラピリアのダメ出しをもらった僕。

僕らが集まったのは、主人が不在のレイズ様の執務室に隣接する作戦会議室。この部屋を使うのは久しぶりな気がする。

この場にいるのは第10騎士団の主だった面々と、助言役としてザックハート様、それからゼランド王子と、報告役のネルフィア。

それに加えてもう一人、部屋の隅でルファと一緒に大人しくちょこんと座っている少年がいた。この少年の名前はシャンダル。ゴルベルの新王、シーベルトの長子である。

シーベルトがやってきた後、特に文官達は大変だった。

ただでさえ帝国への使節団の編成や、帝国に造る新港の手配でバタバタしていたところに、ゴルベルとの折衝も必要になったのだ。

加えてゴルベルを保護するために、ルブラルも牽制しなくてはならない。

あまりの忙しさにサイファ様がわざわざ僕の部屋までやってきて、「元文官ならもう少し段取りを考えんか」と愚痴をこぼして、比較的書類仕事に明るいレニーを強奪していったほどだ。

とはいえ僕だって、フランクルトの手紙でゴルベルの動きを鈍らせることができれば良い程度の話だったものが、こんな結果になるなんて想定の埒外である。嬉しい誤算であるし、僕の功績というよりは、フランクルトの手柄だと思う。

ルブラルに対する牽制は、帝国との同盟は伏せたまま、単にゴルベルはルデクの傘下に入ったと伝えることにした。

それだけでもルブラルの動きを鈍らせるのは十分だと踏んだのは、ルブラルとの国境付近にグランツ様が居座っているからだ。

ルデクからの使者の話を聞いたルブラルは、しばらくは様子を見るだろう。多少時間を稼げればいい。いずれルデクと帝国の同盟が知られれば、ルブラルもゴルベル侵攻は諦めるしかない。

それでも手を出してくるならば、そこから先は帝国・ルデク・ゴルベル連合との総力戦になるのだから。

で、シャンダル王子である。

「ルデクで学ばせてほしい」とシーベルトから預けられた以上、ルデクにはシャンダルに学びの場を提供する義務が生じた。

ルデク滞在中に、シャンダルをどれだけルデク側に取り込むことができるか。それは今後のゴルベルとの関係に大きく影響する。

加えて、帰国したシャンダルを見たゴルベルの民から、「次代の王」と認めてもらえるような青年に育てなければならない責務があるのだ。

そうなると必然的に、ルデクの次期王として教育されている、ゼランド王子と行動を共にさせるのが好ましいという事になる。

つまり、ゼランド王子の教育係である僕とも顔を合わせる機会は多かった。

話してみた限り、僕のシャンダルの評価は「素直で良い子」としか言いようがない。いつもニコニコと大人しくしていたため、ルファのお気に入りになるまで時間はかからなかった。

「お姉さんができたみたいで嬉しいです」などと無邪気な顔で言うシャンダルに、ルファは「はうぅ」と声を漏らしながら、もうメロメロだ。

ゼランド王子が時折悔しそうにしているのが、現在の不安材料である。将来の禍根をこんなところで残すのは流石にどうかと思うからね。

そして本日。僕はゼウラシア王から「第10騎士団の編成について草案を作って持ってくるように」と仰せつかった。

さらに、「お前を中心に考えよ」とも。

既にネルフィアやサザビーからその可能性については指摘されていたので、大きな驚きはなかったけれど、王から改めて言われると責任だけはより強く感じる。

と言うわけで、第10騎士団の主だった人々に集まってもらっての会議となったのだ。

レイズ様の指揮下にあった時の第10騎士団は、僕を含めた3人の中隊長と、10の部隊長で構成されていた。

中隊長にはそれぞれ、部隊長が固定でつく。ラピリア隊にはサーグさんと、ジュノさん。ロア隊にはリュゼルとフレイン、そしてグランツ隊はベクラドさんとハースさんだ。

残る4部隊がレイズ様の本隊。中でも古参のヴィオラさんがレイズ様の補佐を担っていた。

グランツ様が第10騎士団を離れた際に、ベクラドさんとハースさん以下、グランツ中隊の全員が第四騎士団へ移籍している。

グランツ様がゴルベル北部に残ることを決めた段階で、共に彼らも残ったので、当然の流れだった。

そのため現在の第10騎士団には8人の部隊長と、僕を除くと中隊長はラピリア一人となっていた。

あまり大きく変えると指揮系統に混乱をきたすだろうから、今は避けたい。

なので、中隊長をあと1人、できれば2人据えたいところ。

結果的に僕がロア隊の後任に選んだのは、、、

「フレイン、君に中隊長を任せたい。ロア隊の後任として、騎馬部隊を」

「ああ。他の隊長から異論がなければ、受けよう」

フレインには事前に僕の意思を伝えてあった。ちなみにリュゼルにも一緒に。

実は、僕としては2人のどちらが中隊長を担ってくれても良かったのだ。

2人には正直にその旨を伝えたところ、リュゼルは「俺は前線で動く方が性に合っている」と辞退し、フレインを推薦した。

他の隊長からも異論は出ない。ここはあっさりと承認される。

そしてもう一人の中隊長なのだけど、こちらが少々難航した。僕は最初にヴィオラ隊長に声をかけた。レイズ様と共に第10騎士団を支えた将だ、経験は申し分ない。

ところが、ヴィオラ隊長は首を縦に振らなかった。

「私は補佐なれば相応の力を発揮できますが、ラピリアやグランツ殿のような柔軟性はないのです」と。

それならば、と次に僕はウィックハルトに打診してみる。

だがこちらも色良い返事が返ってこない。

「私は以前に騎士団を壊滅させかけた指揮官です。それに、戦場ではロア殿のそばに手練れがいた方が良いと思います」と固辞。

ちなみに双子という選択肢は早々に却下。

双子に関しては、僕の直属に置いて遊軍として自由にさせる心づもり。そもそも双子を思うままに動かすことなど、僕には土台無理だと思う。

なお、ディックも双子の部隊に配属する。ディックと双子は戦い方の相性がいいのはもう分かっている。破壊力のある部隊になるだろう。

そして思い悩んだ結果、僕が最終的に選んだのは、、、、

「シャリス、中隊長を受けてくれるかい?」

シャリスは緊張感を漂わせながら、「皆さんがよろしければ」と口にした。