軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

【第190話】王とロア③ 王の自室にて

謁見の間に、王の呟きだけが響く。

「伯父上が、、、、痛ましいことだ」

グリーズさんとシャリスの報告を聞いたゼウラシア王は、目を閉じ、大きく息を吐いた。

「、、、、誠に申し訳ございません」

グリーズさんとシャリスは揃って謝罪の言葉を口にする。

「いや、良い。貴公らの話が事実であれば、貴公らに咎はない。伯父上に祈りを捧げるのは、全てが解決した後だ。今は前を向いて話そう。第一騎士団、シャリス」

「はっ」

「第一騎士団は裏切った。貴殿はどうする?」

「願わくば、ルシファル=ベラスの首を掻き切る機会をお与えくださいませ!」

「うむ。。。。第九騎士団グリーズ」

「はっ」

「貴殿は如何か?」

「騎士団長をこのような形で失った怒り、到底拭えるものではございませんが、あの愚か者どもに、鉄槌を下してやりたく!」

「両名の言葉、しかと聞いた。。。。ロアよ」

「はい」

急に振られてびっくりする僕に王は言う

「両名と、ここまで生き残った第九騎士団の忠士たちを、第10騎士団に組み込む。良いな」

「はい」

忘れがちだけど、第10騎士団の騎士団長はレイズ様ではなくゼウラシア王だ。騎士団長がそのように決めたのであれば、異論はない。

「では、両名はまず、疲れを癒すが良い。良くここまで戻って来てくれた」

「もったいなきお言葉にございます!」

王の労いを受け、僕らより先にグリーズさんとシャリスは退出する。

2人の姿が完全に消えると、王が再び口を開いた。

「サザビー」

「はっ」

「ないとは思うが、両名と、付き従っていた兵を洗え。早急に頼む」

「はっ」

サザビーがすっと退出してゆく。

まぁ、最初から信用するわけにはいかないよなぁ。それよりもサザビーも流石に王の前ではちゃんとするんだな、と、全く関係ないことを考えていると、再び僕へ王の視線が定まる。

「さて、ここからはあまり余人に聞かれたくない話となる。場所を変え、人を絞りたいのだが、、、、」

王の言葉に応じたのはディックだ。元々こういった場が苦手なため、一礼して退出する。ディック以外はその場を離れるつもりはないようだ。

王はほんの僅かに苦笑してから「ゼランド、お前も一度席を外しなさい」と命じる。

自分も外せと言われるとは思っていなかったゼランド王子は驚愕に目を見開き、何か言おうと口を開きかけて、それでも「、、、、わかりました」と答えて下がっていった。

「その方らは、第四騎士団のユイゼストとメイゼストであるな? ロアよ、この者らはどこまで知っておる?」

「出発からロア隊と同行していましたので、一通り。2人の機転のおかげで第四騎士団から騎馬を借り受け、予定以上に早く王都に辿り着くことができました」

「、、、、そうか。では、ここにいる者全員を連れて場所を移す。ネルフィア」

「準備は調っております」

「うむ。では行こうか」

王を先頭に謁見室を出て進むと、城の奥へと進む。

「おい、、、」

「これって、、、」

流石に小さな声で囁き合う双子。

双子でなくても少々躊躇する場所に向かっているのが分かる。

この先は王族の居住空間。本来、王の親族か余程の人間以外は立ち入ることが許されない場所だ。

厳重な警備と重厚な扉が守る通路を抜けて、進むと「ここだ」と王が自ら扉を開けた。

「椅子が不足していますので、用意して参ります」

ネルフィアがテキパキと動き回り、すぐに人数分の椅子が用意された。

王は中央の年季の入った椅子に座る。決して豪華ではないが、使い込まれ、黒く艶やかで綺麗な椅子だ。

「それぞれくつろいでくれ。今、お茶も用意させよう」

王が口にする頃には、すでにネルフィアがお茶を持ってきた。

しばしお茶の香りを楽しむ。ここまで張り詰めっぱなしだった心が、ゆっくりとほぐされてゆく。

ふと見るとラピリアが少し残念そうだ。多分ジャムを入れたいのだろうけれど、この場で所望するのは憚られたのだろう。

「ここまでの道のりを考えれば、まずは休んでもらいたいところだが、もう少し付き合ってくれ。繰り返しになるが、まずはご苦労であった」

「いえ、王都が攻められていなくて良かったです」

「ネルフィアから概ね話は聞いている。まずはネルフィアが離れた後の話を詳しく聞かせてもらおうか?」

僕はネルフィアが離れた後、第二騎士団の内情、ヒース砦のこと、第四騎士団とのやりとり、ホッケハルンの砦の攻防まで順を追って話してゆく。

一通り話を聞くまで黙っていたゼウラシア王。

「本当に、、、我が国存亡の危機であるな、、、、」

もう何度目かのため息を吐く王。

「分かった。色々な話はあるが、とにかくこの場にまで呼び寄せてまで確認したかったのは、ただ一つ」

僕も薄々聞きたいことは分かる。

「レイズの死は、どこまで隠すか。まずはそれを相談したい」

王の言葉に僕は頷きながら、別のことを考えていた。

余人に聞かれない今の状況は好都合だ。

僕は「レイズ様の件の公表にも大きく関係するのですが、、、ひとつ提案を宜しいですか?」と前置きをして、一度言葉を切る。

みんなはどんな反応をするだろうか?

でも、王都へ走る最中、ずっと考えていた策がある。現状を打開するならこれしかないと思っている。

「ゼウラシア王、帝国と、同盟を組みませんか?」

僕の言葉にその場の全てが固まった。