軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

【第158話】ドリューの忘れ物

「あ、ネルフィアから聞いたんすか? そっすか」

後日、僕の部屋でサザビーにも同じ質問をすると、返ってきたのは非常に軽い返事。

「どの道やることも変わらないんで」とあっさりしたものだ。

確かにサザビーの言う通りだけどさ。まあいいか。

「あ、そういえばネルフィアって貴族なの?」

この間ネルフィアに聞き忘れたので、この際サザビーに聞いてみよう。

「いえ、違いますよ? 王から貴族格を貰ってるんで家名はありますが。レイズ様と同じですね」

なるほど。

「もう一つ教えてくれるかい?」

「なんです?」

「”第八騎士団”として、ネルフィアやサザビーに何かを頼むことは可能なの?」

「あー、なるほど。依頼自体を聞くことは可能ですよ。ただし、基本的にはそこから王の許可をもらわないとダメですね。まぁ、ゼッタの時のように国益に適うと考えれば、個々の判断で動くことはありますけどね」

「つまりゼッタの時は第八騎士団員として、サザビーの判断で動いたってこと?」

「そう言うことっす」

と、そこまで話したところでディックがやってきたので、この話はここまで。第八騎士団のことは吹聴しないって決まりがあるからね。

ディックの用事は簡単な業務報告。報告が終わるとサザビーも手伝うと言って一緒に部屋を出て行った。

一人になると、急に手が空いた。どうしよう。

僕も食糧管理を手伝おうかとも思ったけれど、最近はあまり触らせてもらえない。

レニーという新人も入り、ルファもディック、ウィックハルトも手慣れてきた。サザビーやネルフィアもたまに手伝ってくれるし、人手が必要な時はリュゼル隊やフレイン隊の隊員が力を貸してくれる。

新人が入った今、リュゼルやフレインからやんわりと、隊長はどっしりと構えていてほしいというような要望もあり、食糧管理は僕の手から離れた感がある。

ウィックハルトは帰省から帰るまでにあと1〜2日あるし、、、、

と、ふと、ドリューは何をしているのかな、と頭をよぎる。

また面白いものが見られるかもしれないから、ちょっと覗いてみようか? そうだ、この間ゲードランドで買ってきたお菓子を持っていこう。ジュディアノやホーネットも喜ぶかも。

そうしてポクポクと城内を歩く。よく考えると、城内を一人で行動しているのは久しぶりな気がするなぁ。大抵ウィックハルトなんかが一緒だからね。

特に誰に声をかけられることもなく、ドリューの部屋にたどり着いた僕は、軽く扉をノック。

「ドリュー。いる?」

声をかけると、「は、は、はいっ」とジュディアノの返事が聞こえ、僕を招き入れてくれる。ドリューは寝起きのようで、寝ぐせ全開でぼんやりしていた。

「あれ? ジュディアノとドリューだけ? ホーネットは?」

「ホーネットは十騎士弓を造る工房の方に行っています」

「そうなの。じゃあこれ、ゲードランドのお土産。みんなで食べて」

「あ、ありがとうごじゃいますっ」

ジュディアノもだいぶ僕に慣れてくれたけれど、それでもまだこんな感じだ。職人さんに指示とか大丈夫なのかと心配になったけれど、相手がお偉いさんでなければ大丈夫なんだそう。偉い人がいるととにかく緊張してしまうそうだ。

、、、、僕は偉くはないけれどなぁ。一応隊長の肩書きがあるのがダメなのか、、、

ともかく。

早速お土産は開封され、ジュディアノの入れてくれた紅茶と一緒に、僕らの前に提供された。

日持ちするように工夫されたシンプルな焼き菓子だけど、少しの塩気が甘みを引き立てる。紅茶と合わせると結構美味しい。

しばしドリューとジュディアノと談笑、、、というか、まだ起動していないドリューはオブオブ言っているだけなので、主にジュディアノと辿々しく会話。

十騎士弓の製造は順調だ。そろそろロア隊以外の第10騎士団の部隊にも回せそうな余裕が出てきた。

「それじゃあ、最近は十騎士弓にかかりっきりなんだね」

「は、はい。ドリューさんも十騎士弓をさらに改良をしようとしているみたいで、、、」

「え、あれ以上に?」

「まぁ、あんまり上手くいってはいないみたいですけど、、、」

そうだよなぁ。もうだいぶ完成した感があるもの。細かい進化は見せても、ここから急激に良くなるとは思えないな、、、でも、ドリューなら、、、という気持ちもあるけれど。

そんな会話をした直後、

「あ、そうだ」

と、今まで焼き菓子をもそもそ食べていたドリューがこちらに不意に顔を向ける。

「面白いもの作ったんですが?」

「が?」

「見せるの忘れてました」

聞けば、レイズ様たちも集まって十騎士弓の名前を決めていた時には既に完成していたのだけど、披露するのを忘れていたそうだ。

「あれです」

指差す先には白い布がかけられた、随分と大きなものがある。

「布を取ってもいい?」

「はい〜」

許可をもらって布を剥げば、そこにあったのは

「、、、、、これって、大きな弩?」

鉄製で土台のついた巨大な弩だ。到底個人が手に持って使う代物とは思えない。台座があるようにどこかに固定して使用するのだろう。たとえば、、、砦とかに。

「矢もあるの?」

「隣に」

こちらも巨大。太さが僕の腕ほどある。

「これ、、、、、射てるの?」

「理論上は」

まだ試射はしていないってことか。

けど、これ、使えるかもしれない。対第一騎士団に。

「ねえ、ドリュー、これいくつか作れる?」

「たくさんは無理です。場所もとるですし」

「場所は僕がなんとかするよ。可能な限りでいいから作ってほしい」

「ここからさらに弄っていいなら」

「もちろん。好きにしてもらって構わない」

「なら良いです。作ります」

「わかった、じゃあ僕はレイズ様に許可をもらってくる! また後で!」

ポカンとする2人を残し、僕は慌ててレイズ様の執務室へ向かうのだった。