軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

【第150話】ノースヴェルからの手紙

海軍司令のノースヴェル様から手紙が来た。

内容は「今度東方諸島まで商船を護衛するので、お前の船も使う。何か買ってくるか?」と言うものだ。

東方諸島、距離があるため南の大陸ほどの取引はない。そのため希少価値の高さから、東方諸島のものはルデクでも珍重される。

物によってはひと財産築ける、商人にとっては旨味の大きな航路だ。ただし当然、危険も伴う。往復で最低3ヶ月、それも東方諸島までの海域は海が荒れやすい。

海軍ほどの腕前ならともかく、商人には命懸けの博打である。ドリューの曽祖父、ベクスターも東方諸島との航路で財産を築いて、商家としての土台を固めたと聞く。

通常であれば、商人の博打にノースヴェル様たち海軍が付き合うことはない。ただし相応の代金を支払えば別だ。

海軍が動くと言うことは、向こうの国となんらかの使者のやりとりがあるのか、それとも王家の希望で何か取り寄せたいものがあったか、大きな商家が金を積んだかのどれかだろう。

何か欲しいもの、、、せっかくだから何か頼もうかな、、、何がいいだろう?

「ロア殿は船を持っているのですか?」と目を輝かせながら聞いてきたのはゼランド王子。いつの間にか僕の後ろから手紙を覗き込んでいる。

「第10騎士団の幹部ともなると、船も持てるのでしょうか?」とゼランド王子の言葉に目を輝かせたのは、先日入隊したばかりの新兵、レニーだ。先日ロズヴェルが連れてきた新人の一人。

ここにいる新人はレニーだけ。ロズウェル達はそれぞれ、リュゼルとフレインの部隊に編入された。今頃みっちりと鍛えられているだろう。

なぜレニーだけ僕の部屋にいるかといえば、理由は2つ。盤上戦で僕が一番手強いなと思ったのは、実は奇策を弄してきたロズヴェルではなく、このレニーだった。堅実だけどちょっと面白い駒の動かし方をするので印象に残ったのだ。

それと、レニーは数字に強かった。規模は小さいけれど、実家が商売をやっているとのことで、幼い頃から手伝わされていたそうだ。

、、、、これはロア隊にとっては貴重な、いや、第10騎士団においても貴重な人材である。

第10騎士団は全体的に事務処理能力に秀でた人材が少ない。これは僕が入隊するまでの食糧管理を見れば明白だ。

ロズヴェルはどちらかといえば、いざという時に直感的に動けるタイプ。いわゆる前線で活きる人材だと思う。それに対してレニーは僕のような後方支援中心の方が向いている気がする。

と言うことでロア隊の食糧管理部門に配属されたレニー。

「私の言うことを聞いて早く覚えてね!」

などと先輩風を吹かす 少女(ルファ) に目を白黒させながら、どうにか慣れようと日々奮闘している。

配属当初、ルファが何かとレニーの面倒を見ている場面に立ち会ったゼランド王子が「あの男は誰ですか?」と剣呑な顔で僕に聞いてきて、早々に王子に悪い意味で目をつけられたりもしたけれど、とりあえず誤解も解けた今は割と仲良しだ。

商人の息子らしく物腰が柔らかいので、年下に懐かれるタイプみたい。

そのレニーが目を輝かせている理由は、単純に船に乗ったことがないからだった。

レニーの実家はルデクでも北の方の街で、主な商材は穀物。輸入品などを扱うような規模ではないとのこと。

あ、そうだ。東方諸島ならあれがあったな。。。。もしかすると後で役に立つかもしれない。

それなら一度、直接打ち合わせに行った方がいいかな。ついでに伝馬箱の設置状況も確認できるし、一度ゲードランドに行ってこようか?

伝馬箱の建設は街道整備に引き続き、第六騎士団が請け負ってくれている。

フォガードさんは「第六騎士団はこのまま後方支援部隊として特化してゆきたい」と言っていた。街道建設に瓶詰め工場建設などの経験を経て、ある程度手応えを感じているみたいだ。

実際、第六騎士団がそちら方面に特化してくれるのは助かる。第八騎士団が諜報部隊であるように、騎士団と言っても戦いの強さだけが正義というわけではない。

僕がゲードランドへ出かけることを考えていると話すと、ゼランド王子とレニーが連れて行って欲しいオーラをこちらへ向けてくる。

、、、、いや、ゼランド王子は普通にダメだよ?

レニーは連れてゆくとして、ゲードランドに行くならルファも確定。あとは、、、と、そこでふと思いつく。

「ウィックハルトは今回お休みでよろしく」

「どういう意味でしょうか? 留守番ということですか?」ウィックハルトが不思議そうに聞いてくる。

「ではなくて10日ほど休みで。ほら、年末は慌ただしくてあまりゆっくりできなかったろ? 僕らがお邪魔したのもあるし」

「いえ、そんなことは、、、」

「いい? これは隊長命令。オーパさんとのんびりしてきて。多分、このあと忙しくなるから」

「レイズ様が仰っていた件ですか」

「うん。もう少し先になるとは思うけど」歴史の通りならまた、大きな戦いが起きるはずだ。

それでも少し考えていたウィックハルトだったけれど、ルファの「婚約者の人に愛想をつかされないように行ってきなさい」という言葉に苦笑しながら「では、ありがたく」とお休みが決まる。

翌日早々にウィックハルトは帰途に。僕らはノースヴェル様とザックハート様に先触れを出して、明日か明後日、ゆっくりと出発予定。

結局同行者は、ルファとディック、そしてレニーを含めたロズヴェルら新兵5人組。それにリュゼルと、ネルフィア、サザビーという面子になった。

ロズヴェル達を連れてきたのはリュゼルの提案だ。

「経験の浅い騎兵が伝馬箱に詰めることになるなら、担当するのはこいつらだからな、実際に見ておくのもいいだろう」とのこと。確かに。

ネルフィアとサザビーは完全に物見遊山。

「そろそろ王から休みを取るように言われていたので、ちょうど良かったです」とはネルフィア。

というわけで、今回もバラエティに富んだ面々で、僕らはゲードランドを目指すことになったのである。