軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

【第145話】騎士団合同演習④ 対する厄介者達

合同演習3日目は実戦的な訓練。

十騎士弓や弩、長柄槍を配備した各騎士団と新兵の混合部隊による本格的な演習に加え、前回も行われた新兵の試練でもある。

新しい武器は全て、第10騎士団からの貸し出しとなってる。

ただし十騎士弓に関しては、ロア隊にも人数分は揃っていないため、大半は弩を装備しての出陣だ。

弩は既に生産方法が確立されており、今回参加の騎士団にある程度の数を”お土産”として渡すことができる予定。

お土産で足りなくとも、各騎士団の砦でも造れるよう製造方法も惜しみなく公開した弩は、有用性が認められれば第三、四、五、六、七の騎士団で急速に普及してゆくだろう。

十騎士弓に関しては、まだネジの製造が追いつかないので各地での量産は無理。

演習に関してはいつものように東西に分かれての模擬戦となったのだけど、ここで一悶着あった。

多くの騎士団がロア隊との対決を望んだのだ。

大きな理由としては、弩および十騎士弓を唯一実戦で運用している部隊であること。その威力を体感するには、味方よりも敵の方が分かりやすいと考えたらしい。

唯一ロア隊と同じ西軍を望んだのは双子。

「なんだロアは人気がないのか」

「ならせめて私たちが味方してやる」

いや、多分嫌われているからじゃないけれど、、、なんだかんだ言って気の良い双子である。

ともあれ、相対する東軍は新兵を含め4000。こちらは2000ではバランスが悪い。

それならば、と言うことで参加したのは、ラピリア様とグランツ様、それぞれ600である。両隊には新兵が割り振られていないので、公平を期してこの人数となる。

なお、レイズ様は今回は参加しない。ドリューと一緒に見物だ。騎士団との演習よりも、十騎士弓や弩の運用に興味があるらしい。

思い返せば、レイズ様の前で十騎士弓や弩を実戦使用したことがなかった。

「ロア、あんたが指揮しなさいよ」ラピリア様に言われた僕は

「ええ!? グランツ様の方がいいと思いますけど?」と返す。

「経験で言えば圧倒的にグランツ様だけど、今回は新武器のお披露目も兼ねているんでしょ? なら、一番使い慣れているアンタが指揮した方が効率がいいわ」

そんな言葉を受けてグランツ様を見れば

「ラピリアの言う通りでしょうな」と穏やかに同意。

「私たちもかまわんぞ」

「ありがたく思え」

双子はどちらかといえば、誰が大将でもどうでも良いと思っている顔だ。多分納得のいかない策ならレイズ様の命令でも無視しそう。

そう考えると双子をうまく使いこなすボルドラス様と言うのは、存外すごいなぁ。

ぼんやりしている場合ではない。僕はてっきりグランツ様が大将をやるのだとばかり思い込んでいたので、これは困った。早急に何か考えないといけない。

とはいえ立てられる戦略は限られる。

ラピリア様と双子は、自由に動いてこそ特性を生かし切ることができる。僕らロア隊とグランツ様で敵を引き受けて、自由に動く両隊に敵をかき回してもらうのが理想だろう。

なら、十騎士弓や弩はラピリア隊とユイメイ隊に割り振って、僕らとグランツ隊は長柄槍を受け持ちたいところ。

だけど、十騎士弓の特性を最大限に生かすのであれば、使い慣れたロア隊が持った方が良いだろうから悩ましいところだ。

新兵はロア隊とグランツ隊で預かって、長柄槍を運用させるとして、十騎士弓の割り振りを考えよう。

今回、全部で1500ほどある十騎士弓は、第10騎士団以外の各騎士団には、それぞれ200が貸与されている。

つまり東軍の所有数は800。そしてこちらは第四騎士団の200も入れて700の十騎士弓を保持している。

現時点で十騎士弓はこの1500が全て。それでもこの短期間によく、というくらい製造を頑張ってくれた。

もう少しすれば、ロア隊全員に行き渡る予定となっている。

手元にある700の十騎士弓のうち、残る500が僕らが自由に使える分だ。

いっそ、リュゼルかフレインのどちらかの部隊を十騎士弓ごとラピリア様に預けるか?

、、、、、アリかもしれない。

弩よりも射程も長く、慣れてくれば連射が可能な十騎士弓は、まとめて使用した方が効果が高い。中途半端に分散するよりも、、、、いや、待てよ、、、それなら、、、、

「ロアが怖いぞ」

「大丈夫かロア」

そんな双子の言葉は僕の耳には遠くに聴こえる感じだったけれど、ずっとぶつぶつと独り言を言い始めた僕を見て、双子が心配になったようだ。

僕の肩を叩こうとしたメイゼストを、ラピリア様が制する様子が視界の端に見えた。

「大丈夫よ、いつものことだから」と。

ラピリア様がそんなふうに言っているのが、頭の隅の方に届く。

それからしばらくそのまま考え続けてから。

「うん。こんな感じはどうかなぁ」と口に出してみる。

「おい、なんか思いついたのか?」

「早く、早く言え!」

急かす双子に向かって僕は殊更ゆっくりと視線を移す。

「うまくいくかは分からないけれど、一応考えたよ」

僕の言葉に双子は今日一番楽しそうな顔で、期待に満ちた視線を向けるのだった。