軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

【第120話】帝国騒動⑦ 会談

「ここが、、、王都、、、、立派なものですね」

「グリードル帝国の帝都よりは小さいでしょう?」

「いや、決してそんなことはありません。というか、帝都とさして変わらぬ規模、失礼ながら正直驚きました。なるほど、父上が欲しがるわけだ、、、」

道中を通してすっかり仲良くなったゼランド王子とツェツィーの会話。最後にツェツィーがまぁまぁ不穏なことを言ったけれど、とりあえず聞き流すことにした。

ツェツィーの失言よりも、無事に王都に着いたという達成感が大きい。ツェツィー、ルルリアはもちろん、同行してきた帝国の側近もすこぶる協力的で道中は何事もなかったとはいえ、やはりそれなりに気は張っていたのだ。

何せ相手は皇帝の第四皇子。何かあれば、小康状態の帝国と即時に全面戦争、ということもない訳ではない。そうなれば僕の知る未来よりも早くルデクが滅びかねない。

まだまだ任務半ばだけど、とりあえず第一段階は無事完了だ。

ラピリア様さえ少しホッとした顔をしていた。僕が微笑ましく見ていると、すぐに見咎められて「何よ?」と睨まれたけれど。

僕はラピリア様から視線を外し、ツェツィーの横に馬を寄せる。

「ツェツィー。道中疲れているところ早速で申し訳ないけれど、事前に伝えていた通り、すぐにゼウラシア王と会談してもらうことになるよ」

「はい。大丈夫です。それで話がまとまれば数日待機、ですね」

ゼウラシア王には先触れを出してある。既に準備を調えて待ち構えているはずだ。ツェツィーの表情にも緊張が見てとれる。

元々後継者争いにも参加しなかった穏やかな四男。聞く通りであればこういった場面の経験は少ないはず。

「ツェツィー、表情が硬いわよ。大丈夫、私もいるもの」絶妙なタイミングで会話に加わったルルリア。

ルルリアならどんな手段を使ってでも、王とツェツィーの謁見に参加しそうだな。揉める前に先に手筈を整えたほうがよさそうだ。

僕らはまずレイズ様と合流。

前回の一件以降、帝国関係は第10騎士団担当、といった雰囲気が出来上がっている感じ。

流石のレイズ様もルルリアの同行に驚くかと思ったけれど、一切動じることなく対応している。予測していたか、僕の知らないところで連絡がいったかはわからない。

「レイズ様、ルルリア、、ルルリア姫も謁見に同行したいみたいなんですが、、、」

「ああ。そのように手配している。姫もそれでよろしいですかな?」

「もちろんです。ご配慮に感謝を」

僕の懸念など既にお見通しだった。

そして僕らは謁見の場へ。

謁見の間の左右の壁際にはずらりと要人が並んでいる。その中には当然、ルシファル=ベラスの姿もあった。

ほとんど全ての人々が、ツェツィーに厳しい視線を向けている、今ここは、ツェツィーにとって敵陣の真っ只中である。

「ルデク王、ゼウラシアである。来訪を歓迎する」

「はっ。拝謁を賜り恐悦に存じます。ドラクが子、ツェツェドラでございます!」

ツェツィーの語尾が上ずっている。そんな夫の姿を見ながら、隣にすすっと歩み出たルルリア。

「恐れながら、私もゼウラシア王にご挨拶を差し上げたく存じます」

「許す」

「ありがとうございます。ツェツェドラが妻、ルルリアと申します。いつぞやは貴国の温情により、漂流しているところを助けていただき、ありがとうございました。この場を借りてお礼申し上げます」

「うむ。そなたのことは存じている。フェザリスとは良き付き合いをしている。そなたの尽力にはこちらも感謝している」

「もったいなきお言葉にございます。されど、私はグリードル帝国に嫁いだ身、どうぞその温情を我が夫に」

「うむ。では早速だが本題といこう。帝国は反乱を企てゴルベルへと逃げた第二皇子の引き渡しの協力を願いたい、そのような話で相違はないか?」

ルルリアがワンクッション入れたことで、ツェツィーにもほんの少し余裕ができた。

「はい。貴国には関係のないことで心苦しく思いますが、何卒、領内を罪人を連れ歩くことをお許しいただけますよう」

「それで帝国は我が国に何をもたらす?」

「相応の金子をご用意いたしました」

「、、、、それだけか?」

ゼウラシア王の言葉にツェツィーはピクリと肩を動かした。表情に困惑の色がある。

そのはずだ。僕も聞いていた事前の打ち合わせと違う。今回の件、金でカタはついていたはず。ゼウラシア王がなぜ突然そんなことを言ったのか、意図が掴めない。

あるいはツェツィーを値踏みしようとしているのか。

「っ!」

ゼランド王子が何か発言しかけて、止められるのが視界の端に見えた。

「どうされた?」

ゼウラシア王が畳み掛ける。

「発言を、お許しいただけますでしょうか?」

緊迫の状況の中、口を挟んだのはルルリアだ。

「なんだ?」

ルルリアはスッと息を吸い込むと、花のような笑顔で

「ゼウラシア王は愚王でいらっしゃるのですか?」

と、はっきりと口にした。