軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

【第117話】帝国騒動④ 想定内と予想外

「何よ? 反応薄いわね」

ルファが同行するのを見た僕の反応がいまいちだったので、ラピリア様が不満そう。

「そんなこと言われても、多分、こんなとこだろうなと思っていたので」

ルファは僕らと共にルルリアと一時生活した仲だ。けれどルファだけ帝国まで見送りに行くことは叶わなかった。

そして今回。僕らはヨーロース回廊を抜けて、帝国領までツェツェドラ皇子を迎えに行く。これは帝国側からの提案で、皇子の身の安全をこちらに任せることで二心ないことを示そうとしたようだ。

ルデク領で迎えるのではなく、こちらが帝国領まで足を伸ばすのであれば当然、ルルリアも見送りに来ているはずだ。ルファと少しは話す機会もあるかもしれない。

「、、、ってところかと思ったんですが、合ってます?」

「、、、、正解よ」少し悔しそうなラピリア様。ルファはニコニコしながらこちらを見ている。今更危ないからダメですとは言えない雰囲気。

「ちゃんとレイズ様に許可はもらってきたの?」

ルファに聞くと「うんっ!」と言う元気な返事。ならいいか。

「さてじゃあ、出発しましょうか」僕が出発の号令をかけようとしたところで、こちらへ走り寄ってくる人影がある。誰だろうと思っていると、サザビーと外交官を束ねるサイファ様だ。

「ちょっと待ってくださいよ!」サザビーの声で一旦停止。

「どうしたの? サザビーも同行するの?」

「とりあえず俺は同行します。王からの命令です」

「そう。いつものことだから別にいいけど。、、、サイファ様もですか?」

僕の視線を受けたサイファ様は、少し珍しく、困った顔をしていた。僕の知っているサイファ様は、常にどこかゆとりがありそうに微笑んでいる人である。

「ロア、少々貴殿に頼みたいことがあるのだが、、」

「なんでしょうか?」

「一人、同行者を連れて行ってほしいのだ」

「サザビーのことですか? さっきも言った通り、いいですよ?」

「いや、同行してもらうのは別の人物だ。。。。。こちらへ」

サザビーとサイファ様の後ろには数人の部下が付き従っており、その中から一歩前に出た人物がいた。フードを被っているが随分と小柄だなと思っていたら、、、、

「っ!? ゼ!?」

即座にサイファ様が口を閉じろのポーズ。そんなこと言ったって、今ここにはロア隊とラピリア隊の約4千がいるんですよ。どう考えても隠せないですって。

「えーっと、、、、」

「良いのです、サイファ殿。僕です。ゼランドです」

フードを跳ね上げるゼランド王子。知ってます。

「、、、、ん? 同行させてほしい人物って、まさか、、、、」

サイファ様がものすごく困った顔をする。

「いやいやいやいや、流石にまずいでしょう? え? 全然状況がわからないんですが」

「実は、僕が自ら同行を王に願い出たのです」と、サイファ様ではなくゼランド王子が口を開いた。

「、、、、ゼランド様は、向こうも皇子が来るのなら、こちらも礼儀を示すべきではないかと王に訴えられたのだ」サイファ様が補足。

「、、、、意味は分かりますけど、ルデクの第一継承権を持つゼランド王子が出るのはまずいでしょう? 王の親族とかで十分では」

「私もそのように王と王子にお話ししたのだが、、、王も乗り気になってしまってな、、「ゼランドに経験を積ませるのもよかろう」などと申されて、、、、」

なるほど、さすがのサイファ様も困惑するはずだ。

「それじゃあゼランド王子を守るために、別にもうひと部隊手配を、、、」言いかけた僕に、ゼランドが口を挟む。

「いえ。帝国の第四皇子は、ルデクに少数で乗り込んでくるのでしょう? ならばこれだけの人数がいれば十分です。私のわがままで無駄に兵を増やす必要はありません」

いや、そう言っても、ツェツェドラ皇子はそれなりの年だ、青年といって良い。僕よりも少し年下くらいだと思う。対してゼランド王子はルファよりも年下。まだ少年だ。

けれど、口を開こうとする僕より先に、ゼランドが続ける。

「父上からも、「立派に案内役を務めてみせよ」との言葉を承ってきました。最近は馬に乗る練習もしています。足手まといにはなりませんから、どうか連れて行ってください!」

その視線には、いつかの気の弱そうな気配は微塵もない。

王もこの目で見られては、断りづらかったのかもしれないなぁ。

「いいじゃないか、連れて行ってやろうぜ」と最初に言ったのはフレインだ。ちょっと意外。貴族のフレインはどちらかといえばサイファ様のような反応になるかと思った。

素直にそのように告げると「ゼランド王子が今、自分で高貴なる者の義務を果たそうとしているんだ。なら、協力してやるべきだろう」と言う。

他の部隊長、およびラピリア様も同行を了承して、最後にルファが「危ないと思ったら、すぐに逃げるんだよ!」と少しお姉さんっぽい事を言って、まさかのゼランド王子の同行が決まったのである。

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王都を後にする第10騎士団の面々を、王宮の最上階から見送っているのはゼウラシア王とレイズだ。

「本当に宜しいのですか?」

レイズが問うのはゼランド王子のことだ。流石に今回ばかりはレイズも難色を示したが、王に押し切られる形となっていた。

「先日の演習、ゼランドはあの勝利で随分と変わったように思う」

「さようですな。自信がつき、顔つきも変わりましたな」

「此度の進言、私は父としてももちろん、王としても嬉しく思ったのだ。あやつが王族の義務を口にしたのだからな。故に、今が成長の時と思った」

「否定は致しません」

「それに、ゼランドが自信を持つことになったロア隊への同行だ。ちょうど良かろう。10年先を考えれば、ロアや、その周りの者たちは、ゼランドの良き相談役になるやもしれぬ」

「さようですな、、、」

そんな会話をしながら、2人はロア達が完全に見えなくなるまでその場で見送るのだった。