軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第32話 メガゴーレム初陣 2

スキンヘッドが現れたことで、僕はようやくこの襲撃の理由を悟った。

(この間の復讐っ!? 夜に襲撃してくるとか、ヤバすぎるでしょっ!?)

危険な奴らだとは思っていたけど、本当に敵に回してはいけなかったらしい。

こんなところから借金するなんて、シーファさんの親父さん、迂闊すぎると思う!

ともかく、この状況を乗り切らなければ。

ゴーレムたちのお陰で侵入者たちを押し返していたけれど、スキンヘッドはたぶん別格だ。

実際、飛びかかっていくゴーレムが次々と瞬殺されていく。

新しいゴーレムを作っていくけど、どんどん数が減っている。

「おいガキ、これはてめぇの仕業か? 余計な手間をかけさせやがってよ」

近くのゴーレムを倒し終え、スキンヘッドが近づいてきた。

ど、どうすれば!?

「ニィ!」

「こっちか!」

ミルクに先導され、僕は慌てて元は隣家だった方へと逃げた。

丸ごと菜園に変えたため、こっちの方がずっと広い。

「ちっ……手間かけさせるんじゃねぇっつってんだろうがよ!」

スキンヘッドは追いかけてきた。

普通のゴーレムじゃダメだ。

あいつ相手には足止めにもならない。

〈メガガーディアンを作りますか?〉

それだ!

菜園の土が盛り上がり、高さ五メートルはあろうかというメガゴーレムが出現した。

その大きさのせいか、ものすごく頼もしい感じだけれど、できればもっとたくさん作りたい。

〈メガガーディアンを作りますか?〉

お願い!

〈メガガーディアンを作りますか?〉

うん!

〈メガガーディアンを作りますか?〉

もういっちょ!

やった!

同時に四体も作ることができたぞ!

気づけばスキンヘッドは四体のメガゴーレムに取り囲まれていた。

「は、はは……冗談だろう……?」

震える声でそう呟きながら尻餅をついたスキンヘッドの身体を、一体のメガゴーレムが掴み上げた。

そして思い切り地面に叩きつける。

ばしんっ!

「うわっ、痛そう……」

僕は思わず顔を背ける。

スキンヘッドは背中から思い切り地面に激突し、大きくバウンドした。

どうやらそれで意識を失ったらしく、起き上がる気配はない。

四体も要らなかったかな……?

「あ、兄貴!?」

「撤退だ! 逃げろ!」

「こんなのに敵うわけがねぇ!」

気絶したスキンヘッドを配下たちが慌てて回収すると、一目散に逃げていく。

「た、助かったのかな……?」

「ニィニィ!」

ミルクが「もうだいじょうぶ!」とばかりに鳴いた。

「ありがとな。ミルクがいてくれたお陰だよ」

「ニィー」

「それにしても疲れた……眠い」

まだ空は真っ暗だ。

もうひと眠りしたいところだけれど、

「……寝室で寝るのは危険かな」

また襲撃がある可能性もあるし、このまま菜園にいた方が安全だろう。

僕はミルクと一緒にその場でごろりと横になった。

ミルクの身体はもふもふで柔らかくて、そこらの毛布よりずっと気持ちいい。

もしまた襲撃があっても、ミルクが起こしてくれるだろうという安心感もあった。

ゴーレムたちもいるしね。

お陰で僕はすぐに眠りに落ちたのだった。

◇ ◇ ◇

「ここが水中エリア……」

「うわー、ほんとに水の中なんだー」

シーファたち女冒険者三人組は現在、このダンジョンにおいて最も難易度が高いとされているエリアの手前までやってきていた。

未だかつて攻略者はゼロ。

火山エリアより遥かに攻略は難しいと言われていた。

それもそのはず、このエリアは入り口からして水没しているのだ。

探索のためには泳ぐしかないのだが、しかし当然ながら水棲の魔物が大量に生息しており、陸上生物である人間にとって水中での戦いは困難を極める。

そして何より呼吸が続かない。

エリアの大半が水中であるため、ほぼ息継ぎが不可能なのだ。

「でも、わたしたちにはこれがあるわ」

そう言って、アニィが腰のポーチから一本の瓶を取り出す。

そこには空色の液体が詰まっていた。

「水棲ポーション……これを飲めば、水中でも陸上と変わらない行動ができるようになる」

「すっごいよねー」

神妙に呟くシーファに、暢気に声を上げるセナ。

マーリンによれば、身体の周囲に空気の膜が生じ、そのお陰で水中でも呼吸ができるし、歩いたり剣を振ったりすることもできるというのだ。

「とりあえず試してみる?」

「そうね」

普通ならその効能を疑問視するところだが、氷冷ポーションという前例がある。

彼女たちは今回もまた大きな効果を発揮してくれるだろうと期待していた。

ごくごくごく、と三人同時に飲む。

「ぷはー、なんかシュワシュワしてて、変な感じー」

「喉が痛い」

そんな感想を言い合いながら、彼女たちは恐る恐る足から水に浸かっていった。

さらに意を決し、頭まで水中へ。

「(すごい! 本当に呼吸ができるわ!)」

「(服が濡れてない)」

「(走れるよー)」

声はくぐもった感じにはなるが、聞こえないわけではない。

これなら水中でも連携を取って戦えるだろう。

「(っ! 早速、魔物が近づいてきたわ!)」

アニィが警戒を促す。

どうやら水中でも【狩人の嗅覚】は機能するようだ。

「(魚)」

「(わー、お魚さんだー。……結構おっきい?)」

それは鋭い牙を有する魚――いや、サメの魔物だった。

全長は二メートルほど。

水中を猛スピードで泳ぎ、こちらに迫ってくる。

セナが剣を無造作に構え、迎え撃つ。

「(よっと)」

「~~ッ!?」

まさか陸上生物に反撃されると思っていなかったのか、魔物は脳天に斬撃を喰らってあっさりと絶命した。