軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第157話 妄想が捗るパーティだったから

「筆記試験を突破した」

「ほんとですか!? すごい! さすがシーファさん!」

シーファさんが無事にAランクの筆記試験をクリアしたらしい。

Aランクともなると、筆記もそれなりの難易度だと聞いていたのに、一発で合格してしまうなんて。

「わ、私も、どうにか突破できました」

「サラッサさんもですか? おめでとうございます!」

「喜ぶのはまだ早い。本番は実技の方」

聞けば、筆記の合格率が五割ほどなのに対して、実技はせいぜい三割しかないという。

そもそも相応の実績を持った人にしか受験資格がなく、それで合格率が一割から二割程度なのだから、いかにAランクへの道が険しいかが分かるだろう。

「でも頑張ってください! きっと二人なら合格できますよ!」

「ちょっと、わたしも一応、筆記を突破したんだけど?」

「アニィはBランクだろ?」

「そうだけど少しくらいは褒めなさいよ」

「すごいすごい」

「全然気持ちが入ってない!」

その実技の試験の日程だけれど、まずアニィが一番近くて明後日らしい。

「セナのときみたいな模擬戦?」

「わたしはセナちゃんと違ってレンジャータイプだから、戦闘力はあまり重視されないわ。試験官のパーティに同行して、実力を試験されるとかじゃないかしら」

どうやら人によって試験の内容が異なるらしい。

試験官などにも左右されるそうで、Bランクの場合、事前に何をするかは教えてもらえないそうだ。

そしてサラッサさんが五日後、シーファさんが一週間後だという。

それぞれ試験日が違うのは試験内容が違うことと、試験官の都合によるからだ。

「試験の内容によっては、パーティメンバーなら見学もできるはずよ」

そう言えばセナが受けたとき、僕はまだ冒険者じゃなかったから見に行けなかったんだっけ。

特にシーファさんの試験のときは、絶対に応援しに行かないと!

アニィの試験は彼女の予想した通り、一時的に試験官のパーティに加わり、そこで斥候などの役割をこなすという内容だった。

なので僕たちが見学することはできなかったけれど、高評価を受けて無事にBランクへの昇格が決まったそうだ。

続いてのサラッサさんもまた、試験官のパーティに同行し、後衛として魔法でサポートをするというものだった。

こちらはAランクへの昇格試験なので非常に厳しく実力をチェックされたらしい。

単に魔法の熟練度だけでなく、味方を援護するタイミングなどといった、パーティ内での立ち回りも評価対象だったそうだ。

実力は確かでも、人見知りで緊張しやすいサラッサさんなので、唯一それが心配だったけれど……なぜかその日は上手くいったという。

「よかったですね、サラッサさん」

「は、はい……(い、言えません……妄想が捗るパーティだったから、興奮で緊張が吹き飛んだだけだなんて……)」

それにしてもAランク冒険者か……凄いなぁ。

まぁサラッサさんの魔法、同じ魔法使いでAランクのリヨンがびっくりしていたくらいだしね。

順当な結果だろう。

「次はシーファさんですね」

「うん、頑張る」

その翌日、シーファさんの実技試験が王都東のギルドで行われることとなった。

アニィやサラッサさんのときのような野外実戦ではないため、僕たちも見学できるという。

ギルドに行ってみると、地下に設けられた訓練場が貸し切られていた。

Bランク以上の実技試験では、冒険者の意向により見学を制限できるのだとか。

シーファさんの場合、【女帝の威光】というレアなギフトをあまり公にしたくないため、僕たちパーティメンバーと試験官以外は入場できないようにしたという。

もちろん試験官には守秘義務がある。

「シーファさん、頑張ってください!」

「シーファちゃん、がんばれー」

僕たちが二階の見学席から声援を送ると、シーファさんは手を振って応えてくれた。

緊張はしてなさそうだ。

「それではこれよりAランクへの昇格試験を行う」

そう宣言する試験官は一人だけで、しかも見たところ魔法使いらしかった。

魔法使い一人で、槍を使うシーファさんの相手をするのだろうか?

だけど試験官がいるのは僕たちと同じく二階の見学席だ。

訓練場のだだっ広い空間にはシーファさんしかいない。

シーファさんも首を傾げていると、試験官が何やら魔法の詠唱を始めた。

そこから攻撃してくるつもりなのかな、という顔をするシーファさん。

「サモン――ヘルビースト」

やがて広い訓練場の一画に魔法陣が展開される。

紫色の光が煌めき、長めの詠唱が終わったときにはそこに巨大な生き物が姿を現していた。

「グルルアアアアアアッ!!」

自らの顕現を誇示するかのように、強烈な咆哮を轟かせる。

「わー、おっきい!」

頭部は山羊のようだが、胴体は熊のそれに近い。

しかし両脚は蜥蜴で、背中には鳥の翼があり、鼠の尾が生えている。

何とも形容しがたい見たことのない魔物だけど、全長は五メートルを超えていて、その威圧感からして最低でも危険度はA以上だろう。

「召喚魔法……?」

「そうだ。魔界に棲息している魔獣を召喚した」

試験官が、ようやく試験の全容を明かす。

「その魔物を単身で討伐することできれば合格。できなければ不合格だ」