軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第129話 私が原因を突き止める

シーファさんの後を追ってオレンジ色の屋根の家へ。

「おおっ! 誰かと思えば、シーファではないか!」

「うん、久しぶり」

すると信じられないことに、家の奥から現れたエルフの男が、いきなりシーファさんと抱き合った。

なっ……こいつ、シーファさんから離れろ……っ!

「よく来てくれたのう。こんなに大きくなって……」

「おじいちゃんは元気そう」

え? おじいちゃん……?

三十歳くらいのダンディな男性にしか見えないけれど、このエルフ、どうやらシーファさんのお爺さんらしい。

そう言えば、エルフって人族と比べると長命で、歳を取るのも遅いって聞いたことがある。

「シーファ、そちらの人たちは?」

「パーティのメンバーたち」

僕たちは簡単に自己紹介する。

「アニィと言います」

「セナだよ!」

「さ、サラッサです」

「ジオです」

……僕は冒険者でもパーティメンバーでもないけど、いちいち説明する必要はないよね。

「それで、ママは? 悪いの?」

シーファさんが心配そうに訊く。

するとお爺さんは申し訳なさそうな顔で、

「医者に見せても、何の病気なのか分からなくての……。ポーションも一時的にしか効果がなく……日に日に弱ってきておって……」

「……そう。ママに会っていい?」

「ああ、会ってやってくれ。きっと喜ぶだろう」

「うん。もしかしたら、ママの病気、治せるかもしれない」

「それは本当か?」

「凄くよく効くポーションがあるから」

僕たちは単に、シーファさんのお母さんのお見舞いにきたわけじゃない。

マーリンさんが作ったポーションをぜひ飲んでもらいたかったのだ。

ポーションは傷を治すだけじゃなく、病気にも効果がある。

シーファさんのお母さんがどんな病に侵されているのか分からないけれど、マーリンさん製のポーションなら治癒できるかもしれない。

……それでもダメなら、エリクサーを使えば絶対に治るだろう。

先天的な病気すら治してしまう万能薬だしね。

マーリンさんに頼んで作ってもらわないといけないけど……。

さすがに僕たちが寝室に入るわけにもいかないので、居間で待たしてもらっていると、

「ママ、動いて大丈夫なの?」

「ええ、お陰で随分と身体がすっきりしたわ」

シーファさんに付き添われながら、お母さんらしき女性が部屋から出てきた。

すごく若い。

ハーフエルフだからだろうけれど、シーファさんのお姉さんと言われても納得しちゃうくらいだ。

もちろん目が覚めるほどの美人で、シーファさんによく似ている。

「みなさん、こんなところまでわざわざ来ていただいて……こんな格好でごめんなさいね」

「い、いえ! シーファさんにはいつもお世話になってますから!」

「シーファと仲良くしてくれているみたいで嬉しいわ」

柔和に微笑むシーファさんのお母さん――シーナさん。

だけどあまり顔色はよくない。

「ポーションを使うと、こんな風に一時的にはよくなるのだが……しばらくするとまた調子を崩してしまうのだ」

「もしかしたら、空気のせいかも」

「空気のせい?」

「うん。なんだか、ずっと息苦しい。前に里に来たときはこんなふうじゃなかった」

「そ、それは本当かの?」

どうやらお爺さんはまったく感じていなかったみたいだ。

……鈍感なのかな? あるいは、エルフには何らかの耐性があるのか。

「シーナさんの体調不良の原因はこれなんじゃない?」

「……人族の私たちが影響を受けていることを考えると、ハーフエルフだからかもしれませんね」

「あたしは平気だけどー?」

「お前は馬鹿だから気づいてないだけじゃないか?」

いや、待てよ……。

セナの剣、ミランダさんが色んな魔法を付与していたけど、その中に自然治癒や色んな耐性も含まれていた気がする。

だから一人だけ何の影響も受けてないのか。

馬鹿なわけじゃなかった。

……いや、馬鹿なのは間違いないだろうけど。

「確かに言われてみると、体調が悪くなり出した頃から、ずっと息を吸うのが辛い感じがあるかもしれないわ……」

と、シーナさん。

「そう言えば……」

「お爺ちゃん、何か思い当たることがある?」

「狩りのため森の奥へ行った里の若い衆が、帰って来てから少し妙なことを言っていた気がするのう。森の奥地の空気が淀んでいた、とか。しかも体調を崩す者が続出してしまい、結局それ以上は立ち入ることができずに諦めて戻ってきたそうだ」

つまり森の奥はもっと酷い状態になっていて、そこまで行くとエルフでも影響を受けてしまうということだろう。

「私が原因を突き止める」

「し、シーファ……? 何も、お前が危険を冒す必要は……」

「大丈夫。私は冒険者だから。それに、ママを助けたい」

孫娘の言葉に狼狽えるお爺さんだけれど、シーファさんは心配ないと告げる。

僕はすかさず言った。

「僕も協力します!」

「ちょっと、なに点数稼ごうとしてんのよ」

「そ、そういうんじゃないって」

僕たちが息苦しさを感じるようになったのは、結界から出た瞬間からだ。

ということは、あの結界の中にいれば防ぐことができるはず。

「もちろん、私も手伝うけど」

「そうですね」

「ジオ、皆、ありがとう」

「でも何すればいーの?」