軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

40 イベント準備と自由活動

最終到達地点が前世における『アレ』だとしても、流石にあの規模の実現は今は不可能だ。

いつかはその夢に……といったところ。

なので、私が開くイベントはもっと、アレと比べて、かなり小規模な『オンリーイベント』ね。

変に多方面に手を伸ばすのではなく、一ジャンルのみを取り扱う。

またそれも前世のような文化が根付いていない状況で全く同じものをやってもウケないだろう。

なので大枠は『学生主体の同好会』で、かつ『絵画の展示』をメインコンテンツとして催す。

普通に美術館とかと同様の楽しみ方をしてもらう形だ。

どちらかというと前世の漫画家さんの展示イベントみたいな?

絵画を提供してくださるのは、公爵家が雇った画家たちだ。

きちんと彼らにも収入が発生している。

また、参加者には参加費を支払ってもらい、その収益は運営側に回ってくれた者たちへの還元や、設備費に使う。

赤字になるなら私のポケットマネーで補填ね。

人件費等をペイした上で黒字になりそうならば、教会や養護施設などに寄付すると予め通達しておく。

チャリティーイベントとしての側面も持つようにすれば、貴族令嬢も参加しやすいだろう。

そこで私がオーナーとして登録されているカフェ『マリーゴールド』から出張店も出す予定。

スムージーの宣伝も兼ねるつもりだ。

あと重要なのは『自ら創作に参加する』という、後々に続く文化の種を蒔くことね。

なので、ここは貴族令嬢お得意の刺繍を基本に、何でもいいので題材に沿って作ったものを提供してほしい、と広めてもらった。

小規模な芸術祭を開催するようなもの、と思ってもらえればいいかな。

売り子も雇い、バザー形式でそれらを売り買いしてもらう。

今回、オンリーイベントでもあるし、この国の文化的に考えて女性向けのみの開催だ。

男性向けもいずれは発展するかもしれないけど、前世のように男女自由に同一イベントに参加というのは、まぁ厳しいだろう。

あとは比較的、量産のしやすいものを用意して……。

何が身近かしら?

うーん、扇の柄に薔薇でも……?

色々と大きく考えてしまいがちだけど、あくまで小規模かつアングラな、同好会の集まりだ。

規模を大きくするのは後々である。

そんなこんなも、私自身は基本、プランナーの立場になるだけで色々な人にお願いして実現していってもらうスタイル。

ふふふ、悪役令嬢が主催する秘密の集会ね。

「当初の企画予定と、現在の進捗具合と、最終的な全体像はこんなところね。これの許可を陛下や宰相に取るわ。あと教会にも?」

「……許可取るんですか、これ。お嬢様」

「どの道、私には監視が付いているし、私自身も日々の行動記録とか残しているもの」

「確かにどうせ知られているなら、許可もいただいた方がいいでしょうね」

「でしょう? 流石、話が分かるわね、弟子1号」

フィリップ様も中々慣れたものだわ。

「あとは……」

「まだ何か?」

「稲藁が欲しいわね」

「いなわら?」

「藁が欲しいの」

フィリップ様は首を傾げる。

「農業系の施策ですか?」

「うーん、どうだろう? この国には馴染みないからねぇ」

農業関連、ふわっとした知識しかないため、知識無双は出来ない。

多分、この国だと基本は家畜の飼料とか敷き藁、肥料などに使うのが主のはず。

「まずは『ござ』を作ってもらいたくて」

「ござ?」

『ござ』とは畳の表面みたいな敷物のことだ。

当然、この国には馴染みがない。

全く利用されていないワケではなさそう……?

どちらかというと工芸品カテゴリーかな。

残念ながら作り方はいまいち分かっていない。

転生しても別にチートではないのだ。

チートなのは、むしろ公爵家という身分と財力、人脈である。

「『畳』を作りたいのよねぇ。あと和室?」

「何かよく分かりませんね……」

さて。畳はどうやって説明して作ってもらったものか。

い草は、この世界にあるのかしら?

似たようなものを探すしかないわね。

「草を織って作った敷物が欲しいのよ、それが『ござ』。で、床板にそのござを貼り付けて、それをパズルみたいに組み合わせて一室分の床にする感じで」

「草の織物……糸でも布でもなく?」

「そうそう」

「ありはするかもしれませんが、王都では見ませんね……」

「でしょうねぇ」

でも、い草もどきが生えている領地が、もしもあるなら、その領地は地元産業に出来るかもしれないわね。

まぁ、この国で『ござ』やら畳やらが根付くかは怪しいところだけれど。

工芸品カテゴリーで悪くないと感じるのは私に前世があるからか。

「それは開催予定の催しに何か関係あるのですか?」

「いいえ、まったく?」

「む、無軌道……!」

「思い付きで行動するって言っているじゃないの」

カフェ『マリーゴールド』にオーナー用の和室を作るのも悪くない。

完全に『ゲーム世界転生』じゃなくて、転生お金持ちライフを楽しんでいる今日この頃。

まぁ、所詮は前世、別に何の専門家でもない私だ。

いずれはアイデアも尽きるでしょうけど、その時はその時ね。

後の世のためと考えると素人の私でも思い付くようなものって他に何があるだろう?

うーん、『歯車』技術の研究に投資して、それを継続するようにすること?

今、つまり今世の今でも、あるわよね? 歯車。

目立って注目されていないのは、そういうものなのか、基本的過ぎて注目するほどではないのか。

たぶん、あるけど木製歯車がメインよね、きっと。

金属製の歯車には何が使えるかとか研究部署を作っておいてもらおうかな。

水車とかには、既に当たり前に利用されているのかしら。

あと思い付くのは、ゴム製品関連への投資とかよね。

まず、それ以前に技術職人への投資環境を整えておくのがいいかしら?

現在でも蔑ろにされているというワケではなさそうで、差別されている様子もないけど。

でも、技術者の確保は徹底しておいて損はあるまい。

あと思い付くのはー……『ガラスの温室』って、この国にあるかしら?

公爵家にはないわよね。

眼鏡や窓があるのでガラス製品はこの国でも作られている。

ガラス温室は、農業? それともガーデニング?

どういう効果が期待出来る? 温かさと保湿よね。

「意外と思い付くこと、いっぱいあるわねぇ。どの分野に対しても大して専門知識もないのに」

思い付きには、きっと問題点も沢山あるだろう。

知らないだけで既にある技術だったり。

何か不都合なことが出てきたり。

私が思い付いたことのすべてが成功するとは限らない。

やっぱり色々と試してみたいことや、投資して研究させたいことが沢山ある。

王子妃なんてやっている場合じゃないわよねぇ。